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【読書感想】極限メシ!: あの人が生き抜くために食べたもの

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 著者もそのことについて考えずにはいられなかった、と述べており、巻末の角田光代さんとの対談のなかで、「その状況に陥ったきっかけが、自分から望んだものだったのか、なんらかの強制によるものなのか、なのだろうか」という仮説を立てています。
 でも、結局のところは、何がそういう「飢えた状況」での人間の反応を分けるのかは、わからない、とも。

角田光代:この本は戦争の話で終わりますが、サラエボ包囲の頃ではなく、まさに第二次世界大戦前後の時代って、国民の生活全体が、娯楽もなく食べるものもないという極限状態に置かれていましたよね。私や西牟田さん(著者)の親世代は、そのときのことを知っているわけです。それで、私たちの親やその上の世代の人たちの中には、戦後生まれの子どもに「絶対に食べ物を残すな」と言う人と、「残したかったら残しなさい」と言う人、両方いると思うんです。西牟田さんの家はどちらでしたか?

西牟田靖:「絶対に残すな」のほうでした。

角田:私の家は「残してもいい」のほうだったんですよ。たとえば、夕食にハンバーグと付け合わせの野菜が出たとしますよね。私、ハンバーグだけ食べて野菜を食べなかったんです。そういうときも母は、「それは彩りだから食べなくていい。食べたいものだけ食べたらいい」と言うんです。それで、双方の親の言っていることって真逆なんですが、実は、本質的には同じ経験がベースにあると思うんですよ。

西牟田:どういうことでしょうか。

角田:つまり、うちの親の場合は、「食糧難で食べられなかったから食べたくないものまで食べて生きてきた。だからこそ、下の世代の子どもたちは、食べたいものを食べたい分だけ食べたらいい」と考える。そして、西牟田さんの親御さんの場合は逆に、「食べられなかったから、米粒ひとつでも残すな」と考えているのではないか、と。

西牟田:なるほど。同じような体験から真逆の考え方が出てくるのは興味深いです。

角田:結局は、自らの体験をどう受け取ったかということなのでしょうね。

 「絶対に食べ物を残すな」と「残したかったら残しなさい」というのは、正反対の考えのようだけれども、そういう「両極端」のいずれかに向かってしまうのは、強烈な「飢え」の体験があったからではないか、ということなんですね。

 僕の両親は、子どもの頃、僕がかなりの偏食だったこともあって、「とりあえず食べられる分だけ食べてくれればいい」というスタンスだった記憶があります。

 でも、僕自身には、「食べ物を残すのは申し訳ない」という気持ちはあったんですよね。
 岡田斗司夫さんが、レコーディング・ダイエットについてのなかで、「ポテトチップスが食べたくなったら、少しだけ食べて、後は捨ててしまえばいい。もったいないからといって全部食べてお腹をこわしたり、ダイエットに失敗したりすれば意味がないし、あなたがここで残そうが残すまいが、その食糧がアフリカの植えた子どものところに行くわけじゃない」と書いておられたのを読んだときには、けっこう衝撃を受けたのを覚えています。
 それはそうなんだけど……それを公言してもいいのか?と。
 僕もやっぱり、「バナナを1本丸ごと食べるのが子どもの頃の夢だった」と語り続けていた親の影響を受けてきたのです。
 
 今の世の中では、食は「娯楽」の要素が強くなっていて、「生きるために、食べなくてはならない」という実感を持つのは難しい。

 だからこそ、こういう体験談を読んでみることは、有益ではないか、と思います。

 正直、「本当の飢え」というのは、いくら体験談を読んでもわからないのだろうな、という気はしますし、それを自分で体験したいわけでもないのですけど。



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