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良い官僚。悪い官僚

日々記者会見する原子力安全保安院の存在がいやがおうでも意識せざるをえなくなってきました。官房長官、保安院、東電、さらに安全委員会などどんどん情報発信の主役たちが増え、危機対応としては最悪の仕切りとなってきています。マスコミもなぜ素人でしかない保安院の記者会見を取材するのか不思議ですが、実は、この保安院こそ、日本の官僚制度の悪い実態を象徴する存在だという印象を受けます。本来は原発行政を握る中枢部の役割をになっており、今回の福島第一原発事故に関しては、事態が収集した折にはなんらかの責任が問われるべきだということをご記憶にとどめておいてください。

さて官僚と責任の問題について、この福島第一原発事故を教訓として、日本は再考しなければいけないと痛切しています。

今の官僚制度の基礎ができたのは、明治時代です。それから、敗戦があったにもかかわらず日本の官僚制度は維持され、脈々とその文化が引き継がれてきました。

その根幹となしているのが、責任が問われないということです。それは明治の殖産興業・富国強兵政策を進めるにあたって、官僚が思い切った政策の実行を促すために、失敗を恐れず、果敢に課題に挑戦することを求めたものでした。

しかし、そこに落とし穴が待ち受けていました。なにもしないことも責任が問われないという負の文化も生まれてきたのです。

しかも、経済や産業が成熟してくるにつれ、官僚文化に変節が起こってきます。官僚によって社会を改革できる領域が減ってくるとともに、社会変革を志す官僚文化が後退し保身主義がはびこってきます。

前例を踏襲するだけ、また自らに振りかかる災難を振り払うために幾重にも防御を張り巡らせる知恵がどんどん発達していきます。

しかも、「パーキンソンの法則」が働くようになってきました。「パーキンソンの法則」は、仕事の量と役人の数との間にはなんの関係もなく、仕事が増えようが、なくなろうが、そんなこととは関係なく、ひたすら役人は増大するという法則です。次に、人数が増えてくると、互いに仕事をつくり合い、最初はひとりでできた仕事も、どんどん雪だるまのように増えていって、それでどんどん忙しくなる。役人は、目的と関係なく、仕事をつくり続ける生き物だという警鐘です。

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著者:C.N.パーキンソン
至誠堂(1996-11)
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これらは、社会の変化にも対応できない、危機対応もできない体質を生み出します。自分たちの地位が危うくならないことが最大の仕事の目的になり、官僚のなかからチャレンジをしようという動きがあると、余計な仕事を抱え込み、身の危険を増大しかねないのでそれを抑えることにもなってきます。まさに「ピーターの法則」でやがて無能な悪い官僚で埋め尽くされていくのです。

リンク先を見るピーターの法則
著者:ローレンス・J・ピーター
ダイヤモンド社(2003-12-12)
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高い志をもった良い官僚がいても、保身を第一とする悪い官僚の上層部が入れば、その良い官僚の創意も新しい課題にチャレンジする意欲もすべて排除されます。

政治が主導し、人事権をもてば、こういった悪い官僚を排除し、良い官僚の活躍する機会や場づくりができるのでしょうが、なにもしなくとも責任が問われないという制度にメスを入れなければ、負の慣性を抑えることはできません。

危機対応は、なにが起こるかわからない、前例のない事態にどう対処するかの能力です。変革にかんしても同じです。将来起こり得る変化を見通し、想定される課題にたいして問題解決をはかる能力です。

それは「なにもしなくとも責任が問われない」こととは逆であり、「なにもしないことこそに責任を問われる」べきなのです。

原子力保安院は、不測の事態がおこっても原発の安全性を担保する指導を電力会社に行う責任があったはずです。

時が来れば、東電だけでなく、保安院もこの福島原発事故に対しては責任を問うべきで、マスコミも重なってしまっている情報をとることはさほど重要でないはずで、そろそろ責任を問うてみてはいかがなものかと思いますが、踏み込む問題意識のある記者が果たしているのかというと、そちらも危ういですね。

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