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厳しい撤退戦の続く大阪カジノ構想

私にとっては「だから以前から申し上げてましたよね」案件でしかないのですが、日テレNEWS24が大阪IRに関して以下のような報道を行っています。以下、転載。
IR 万博前全面開業は困難 事業者側の声
http://www.news24.jp/nnn/news16225170.html
府の幹部は、読売テレビの取材に対して現在の状況をこう話した。「IR事業者が工事を巡って、いろいろ条件を出してきている。その中で(万博前の)全面開業は無理だと伝えてきている。府市としては事業者がそう言ってきている以上は、断念せざるをえない状況だ。」
大阪府市は2024年の万博前開業に拘って来ましたが、私自身は現実的に考えてそれは無理でしょうという話は前々からしてきたワケで、ここに来てやっと正式に断念したとの報であります。という事で、今後は万博前に開業可能部分と、万博後開発を分ける一部早期開業を前提としてプロジェクトの検討が進むものと思われます。

一方、これも以前から申し上げている事ですが、万博の様な大型国際イベントというのはテロ対策の為に会場近隣で工事途中の現場が残っていることが憚られるのが一般的で、2020年に東京で行われるオリンピックなどを例にとれば、通常はこの種のイベントの半年前までには近隣の大型開発を完了させる様にと警察側から要請が来るもの。果たして、大阪は万博開催期間中のセキュリティ上のリスクを毀損しながらも、その隣でIRの開発工事を継続させるのか。はたまた万博前に一旦施設開発を完了させた上で、終了後に残存部分の工事を再開させるのか。どっちを選んでも、何かしらの問題や懸念が発生するだけに、大阪府市には非常に難しい舵取りが求められます。

今回の件に留まらず、大阪IR構想を巡ってはここの所、かなり厳しい報道が続いています。例えば、先月報じられた以下報道。
IR用地、賃貸で対応 松井市長「主導的立場を維持」
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/191018/20191018032.html
行政が「主導的立場を維持する為」などという説明がなされていますが、そもそも我が国のIR法制は国からIR設置の承認を受ける主体は都道府県等とされており、最初から行政側に主導的立場があるものとして形作られています。要は、本件にあたって府市が説明する「主導的立場を維持する為」というのは一種の方便であって、実態としてはこれもIR事業者と大阪府市の間の「要件闘争」の中で、行政が一歩引かざるを得なくなった結果なのでしょう。

同じく先月末には以下のような「大阪府/市がIRへの1兆円投資を要望として提示する」などという報道もありましたが、これもまた直後に松井市長から否定コメントが出てきております。
カジノIR、投資1兆円規模要望 大阪府・市が事業者に提示へ
https://this.kiji.is/562218523437368417?c=39550187727945729
大阪府市、もしくは府政/市政をあずかる大阪維新の会は、これまで様々な場面で「大阪IRで見込まれる投資金額が1兆円前後である」と表現してきたワケですが、投資見込み金額に関してはここに来て各種表現が徐々に控えめになってきているのが実態。

松井市長が回答をした元twを投稿した辻よしたか議員(大阪市議)が懸念するように、大阪市がこれまで主張し続けてきた1兆円という数字は日本の市場に対してはオーバースペックであるという認識が業界の中に広がりつつあり、それを「要件」としてしまった場合、最悪IR事業者のさらなる大阪離脱が進む可能性もある。そういうリスクを見ての松井市長の「具体的な金額を提示要請するつもりはありません」という回答なのでしょう。

【参考1】ラスベガス・サンズが100億米ドルは単なる「開始点」、日本の開発コストへの懸念に言及
https://www.asgam.jp/index.php/2019/10/25/las-vegas-sands-cites-concerns-over-japan-development-costs-with-us10-billion-only-the-starting-point-jp/
【参考2】ウィン・リゾーツ、日本のIR開発コストの上昇に対するLVSの懸念を反映
https://www.asgam.jp/index.php/2019/11/08/wynn-resorts-echoes-lvs-concerns-over-rising-japan-ir-development-costs-jp/

かつて7社が進出意向を示していた大阪IRでありましたが、既に過半が大阪からの撤退を表明し、残す所、候補が3社にまで絞られております。この種の競争というのは、希望者が多いうちは「選ぶ側(=行政側)」に主導権がありますが、一旦、候補者の数が減り始めるとその主導権が徐々に「選ばれる側(=事業者)」に映ってくるのが常。

上記で挙げられた要件以外にも例えば事業者側からは;

①大阪府市が事業者に対して当初から求めて来た、向こう30年の営業補償
 (※国の認定期間は10年)
②夢洲と本土を繋ぐ地下鉄敷設の負担金200億円

この辺りは当初から「重すぎる」という批判が内々で存在してきたのが実態。大阪府市としては、徐々に強まる事業者側の発言権に対して、どこまで当初想定してきた「要件」を守り切れるのか。厳しい撤退戦を強いられているというのが現状であります。

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