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【リオ発・諏訪京】 国連環境会議出席者と市民の間に大きな溝

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「リオ+20」会場では各国首脳の挨拶がテレビ中継された。映像はイランのアフマディネジャド大統領。=リオ時間21日、写真:諏訪撮影=


 「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が、ブラジルのリオデジャネイロで20日(現地時間)から始まった。

 リオの中心地からバスで1時間程の所にある会場は、周囲に豊かな自然が広がる。世界各国の環境団体、学術経験者、政府関係者などが続々と詰めかけ、国際会議特有の熱気を醸し出している。

 各国のVIPが出席することもあり、軍隊の警備は厳重だ。自動小銃を持つ兵士が、会場のあちこちに立ちニラミをきかせる。筆者は何とか会場内へ入った。
 
 同地では1992年、地球温暖化対策などで各国が合意した「地球サミット」が開催された。それから20年、地球環境は改善されたのか。だが今回の会議には米国、ドイツ、英国など主要国の首脳らは出席していない。国のリーダーたちがすぐに行動を起こそうという雰囲気はあまり感じられない。
 
 一方、同時に開催されているピープルズサミットでは、「リオ+20」に異を唱えるデモがピープルズサミット会場内や、街頭で度々行われていた。

 「政府は進歩していると言うが、少しみれば、社会の環境は後退(悪化)している。国の開発計画に反対する」。トラメガを片手に行進していた若い女性(20代)は訴えた。

 あるデモ隊が掲げているのは、『ブラジル初の女性大統領、ジルマ・ルセフ大統領がチェーンソーを担ぐ』絵柄だ。

 ブラジルでは今、ベルモンテダム建設計画が関心を呼んでいる。ブラジル政府はアマゾン川の支流に世界第3位となる巨大なダムの建設を予定している。ブラジルの急速な経済発展に電力が必要というのが、政府と財界の見解だ。だが、「すでに進行しているアマゾンの環境破壊をさらに加速させる」と環境活動家は懸念する。

 ダム建設予定地の河川沿いに暮らす先住民は、水没のため広範囲にわたって強制移住させられる。水量減少による川の環境悪化も考えられる。

 先住民族はピープルズサミットに結集し、ダム建設反対の声をあげている。

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「リオ+20」に反対するデモ。=リオ時間19日、ピープルズサミット会場。写真:諏訪撮影=

 会場へは環境に配慮したバイオディーゼル大型バスがシャトル運航しているが、リオ市内はバスの排気ガスがひどい。会議参加者は、町の様子をみる暇もなく、ホテルと会場の往復だそうだ。

 会議出席者と、会場に入れない市民との間には感覚の違いがあるのではないだろうか。

 会議に参加している人に質問した。

「リオ+20への抗議デモが行われていたのを知っていますか?」
「あぁ、何となくきいたわ」とブラジル在住のイタリア人女性が答えた。
「イタリアは国民投票で脱原発を決めましたね?」
「私はそれが良かったのか悪かったのかは分からない。イタリアは、(隣国原発の)リスクを共有しているが、利益は共有していない。原発は安くてクリーンなエネルギーよ」

 環境破壊の犠牲者となる住民と特権階級の国連会議出席者。同じブラジル在住者でも認識の違いは大きい。

 開発の恩恵に与る者と犠牲になる者。両者の間の大きな溝は、世界規模で存在する。「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が溝を埋めるきっかけになることを願うばかりだ。

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