なぜ2045年問題が注目されているのか
近年、2045年問題が注目を浴びるようになった理由の1つとしては、2014年にイギリスで行われた、コンピューターに知性があるかないかを判定するチューリングテストの結果があります。
この実験では、ウクライナ製のAIが「Eugene(ユージーン)」という名前の13歳の少年として振る舞いました。その結果、30%の観察者が「人間かAIか判断できない」という評価をし、大きな話題となりました。
「チューリングテストの合格が、コンピュータに知性があるかを判断するわけではない」という議論も存在します。しかし、それらを踏まえても、チューリングテストをパスした事実は大きく、AIの急進的な発展が注目されています。
現段階で活用されているAI事例

現在、強いAI、汎用型AIとよばれるAIはいまだ実現されていません。しかし、弱いAI、特化型AIなどのAIは、「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「予測」の分野で、多くのビジネスに導入されています。
これらの技術は、2012年に登場したディープラーニングがブレイクスルーとなり実現しました。
・ディープラーニングとはディープラーニングとは、データから自動で特徴を抽出し分類や予測を行う技術であり、機械学習の一種です。
従来の機械学習では、人間が特徴を定義しそれをもとに学習精度を上げていたため、認識率が低くAI研究が否定的なイメージを抱かれる「冬の時代」がつづいていました。
しかし、2012年のディープラーニング(深層学習)の登場で、学習データから自動で特徴を抽出し精度を上げていくことが可能になり、AI研究のブレイクスルーとなりました。
ディープラーニングの登場により、さまざまなビジネスにAIが用いられるようになりました。
画像認識
画像や動画から文字や顔などの対象物を認識し、検出する技術で、ディープラーニングの適用領域としてもっとも注目を集めています。
Google LensGoogleが提供するGoogleレンズ画像認識サービスです。レンズを当てると自動的に被写体を認識し、詳細な情報を表示します。ディスプレイに表示されたテキストをデータ化したり、被写体をカメラで解析しその名前や関連情報を検出するなど、応用次第でさまざまな活用が可能です。
ベーカリースキャン株式会社ブレインがレジに画像認識を導入した事例です。あらかじめ、販売しているパンの画像を登録しておくことで、AIが購入したアイテムを識別し合計金額を表示できます。ベーカリースキャンの導入により、人件費の削減、新人研修期間の短縮、レジの入力時間の短縮を実現しています。
音声認識
コンピュータにより音声を認識し、テキスト化する技術です。ディープラーニングやスマートフォンの普及により、場所を選ばず適用できる技術に進化しています。
豚の呼吸器系疾病の聞き分け産総研発のベンチャー企業Hmgommは、熊本県立菊池農業高等学校と教頭で豚の呼吸器系疾病の聞き分けが可能なAIの開発実験を開始しています。豚の鳴き声から、呼吸器系の疾病を早期に発見することで、迅速な処置を行うことが可能になり被害を最小限にとどめる期待がされています。
AIで豚の鳴き声から病気を検知する。産総研発ベンチャーHmcommが熊本の農業高校と実証実験開始
議事録書き起こしAI 「ProVoXT(プロボクスト)」株式会社アドバンスト・メディアのAI音声認識を活用したクラウド型議事録作成支援サービスです。数時間の録音データが十数分でテキストデータ化でき、茨城県庁にも導入されています。
茨城県庁、AI議事録作成サービスを導入。何度も聞き返す文字起こし作業なくなる