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通説を疑え(1) -日本人は本当に特殊なのか?-

日本人は特殊である。というのは日本人にとっても外国人にとってもうれしい話だ。

やっぱり特殊と言われるとなんだか自分の文化に誇りを感じるのか、それともやっぱり日本ってのはすごい国なんだと思うのか。同時に自虐趣味からやっぱ俺らは変な国でだからダメなんだというのを肴にして酒を一杯飲むことができるからなのか?とにかく多くの日本人は日本人特殊論が大好きだ。

一方で欧米人にとっては日本が特殊であることはあっさり受け入れやすい。唯一の黄色人種の国家として戦前から列強の仲間入りをして日本に不思議さを感じたいというのは当然の話だろう。

また、他のアジア人や有色人種の国家の人々にとっても彼らに先駆けて発展した日本という国に特殊さを見出しそれを学びたいと考えるのは当然のことだ。

だから、巷にあふれる「日本人特殊論」は多くの人に支持されたのは想像に難くない。需要があるところには供給がある。そう考えると本当に日本人特殊論は正しいのだろうか?

僕は多いに疑問を持っている。その理由はきわめてシンプルだ。

①同じ人間であるからには日本人も欧米人も根っこの考え方は変わらないはずだ。
②日本人とアメリカ人が違うようにアメリカ人とイギリス人、アメリカ人とイタリア人も違う。多くの日本特殊論は日本人と○○人の違いを取り出して書いているだけだ。またその対象が欧米人と一くくりにされていることも多く、比較に呈をないしていない。また、多元的な比較の視点を欠いている。
③日本はが欧米同様に発展したということは欧米的な何かを日本はかなり持っていたはずだ。が、その視点からの議論はあまり聞かれない。
④類似点を無視して相違する点ばかりを指摘してもどの程度特殊なのかの測定は不可能

などなど。理由は多岐にわたる。この辺りはこのブログを読んでくださっている読者の方ならば僕の持論としてご存知かと思う。

そして、先日橘玲氏が出したこの本はその僕の主張とまさにどんぴしゃな部分が多くある本だ。


リンク先を見る (日本人) [画像をブログで見る]


この本の後半部分は正直言えば聞き飽きた内容である。が、前半部分。特にチャプター1は日本人の特殊性をより他の民族との多元的な比較の中で捉えている。そして、もちろんその論拠のほとんどは感覚ではなく科学的な研究に基づくものである点が非常に頼もしい。

いくつか本書からエピソードを紹介する。

まず、僕が述べるように橘氏も多くの日本人論は需要の賜物であり、また多くは日本人を特殊と位置づけたい外国人の研究・日本人論の輸入に過ぎないと述べている。そして、その輸入品の日本人論を今度は日本人が重宝がるというわけだ。

また、新渡戸稲造の「武士道」は当時、アメリカにあった古きよきアメリカの伝統を取り戻したいというアメリカ人の心情にマッチしたというわけだ。金銭万能の資本主義に犯されていくアメリカや欧州で失われた騎士道精神を保ち続ける日本という国があるというのは非常にウケがよかったというわけだ。需要のあるところには必ず供給が・・・。といういい例だろう。

また、日本社会が持つ西洋との対比における特殊性は同様に東洋のムラ社会では見られるものである。これも冷静に考えれば当たり前だが、日本と欧米の比較となると日本人は他の東洋人のことなど忘れて「日本はムラ社会だから」といい始めるわけだ。そして、氏によると日本は東洋においてはむしろムラ社会的ではないというのである。

このように様々な視点から日本の特殊性を否定しつつ新しい日本論を展開していくのが本書の1章から2章である。

手にとって読んでみる価値がある一冊といえるだろう。

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