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就活なら、それでいい

小泉氏、得意の英語で環境外交=自民からは不安の声も(時事通信)

 小泉進次郎環境相が海外要人と英語で会談を重ねている。得意の語学力を生かした形だが、気候変動対策をめぐる「セクシー」発言では物議を醸した。自民党内にはパフォーマンスにも映る今のスタイルを続けることへの不安の声もある。

 「サンキュー・フォー・カミング」。小泉氏は10月上旬、アイルランドのロビンソン元大統領との会談でこう語り始め、気候変動とラグビーについて議論したいと英語で続けた。ラグビーのワールドカップで両国代表が熱戦を演じた後でもあり、場の空気は一気に和んだ。

 小泉氏は米コロンビア大大学院を修了し、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)勤務も経験。国際会議では「通訳を通してでは勝負にならない」が持論だ。閣僚になった後は必要に応じて通訳を使いつつ、海外要人と英語で極力対話している。

 ただ、小泉氏が海外メディアのインタビューで気候変動対策について「セクシーでなければならない」と英語で語ったことは、「意味が分からない」(野党幹部)などと批判を浴びた。政府は「正確な訳出は困難」とする答弁書を閣議決定している。

 昨今は校名や学部名以外のあらゆるところから教養を排し、とにかく就活でウケの良い学生を育てることに特化した大学も目立つわけですが、そうした国公私立の就活大学の特徴はなんと言っても「英語」でしょうか。何はなくとも英語重視、中身はさておき「英語で授業」、実際は旅行みたいなレベルでも「(英語圏への)留学経験」、こういう大学の皮を被った英会話学校こそが近年の流行と言えます。

 小泉進次郎は就活特化=英語特化の大学が蔓延するよりも少し先行する世代の人間ですが、だからこそ先駆者と呼べるのかも知れません。日本企業、中でも採用担当者の好む人物像を一足早く体現しているわけです。発言の一言一句を問われるでもないヒラの議員時代に、次世代の担い手として大いに期待を集めていたのは至って自然なことでしょう。

 しかるに閣僚ポストを宛がわれ、俄に注目と責任が集中する矢面に立たされるやいなや、その「中身のなさ」が衆目に晒される事態ともなっているわけです。なにしろ野党はまだしも与党内部からも懸念の声が聞こえているところ、英語力のアピールは就活では絶大な効果があるのかも知れませんけれど、政治の場ではどうなることやら。

 せっかく英語力が自慢の「グローバル人材」として国内企業に就職しても、会社で英語力を活かせる機会に恵まれる人は僅かです。英語を頑張った人ほど、結局はガッカリすることでしょう。ただ、「下々の」人ほど今後は英語力も大事になる気はします。経済成長を止めた日本では稼げない、ヨソの国に行った方が稼げる、そうした流れが強まる中、「出稼ぎに行くために」非エリートほど英語力が問われる未来は十分にあり得ますので。

 一方で、どの世界でもトップに行くほど英語力とは別の能力が求められます。英語はサッパリのノーベル受賞者もいれば、現地の言葉を全く介さない辣腕経営者もいる、語学力は皆無でありながら歴史に名を残す大政治家もいれば、言葉は全く通じないけれどチームを牽引するスター選手もいるわけです。英語が話せようが話せまいが、そんなこととは無関係に活躍している人も――上に行けば行くほど、いるのです。

 通訳など付けられようもない立場の人間であれば、必然的に英語力を問われる場面も増えることでしょう。しかし、通訳が当たり前のように付けられる地位にあれば、英語力とは別の何かが求められます。就活中の学生であれば「英語で」授業が受けられるとか「英語で」会話ができるとか、そういうものも武器になりますが、閣僚と就活学生では、やはり求められるものが違うわけです。

 「英語で」発信するのは結構ですが、一国の大臣ともなれば英語で「何を」語るかが問われます。就活なら「英語で」授業を受けたことがプラスになる、英語で「何を」学んだかまでは問われない、そういうものかも知れません。しかし政治の場は違うと思いたいです。小泉進次郎は「英語で」語ることが大きなポイントになると信じ込んでいるのでしょうけれど、政府与党から「正確な訳出は困難」と匙を投げられるような中身では、職責を果たしていないと言わざるを得ません。

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