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警察も検察もやってくれてることが、いろいろ明らかに

ここ数日、刑事司法に関して、衝撃的なことが続いています。

ひとつは、2003年に起こった東近江市の病院で、患者を殺害した罪に問われた元看護助手の西山美香さんの再審請求。

そもそもこの事件も、精神的に強くない山内さんに対して、警察官が精神的に追いつめ、虚偽の自白をさせた可能性が当初から指摘されていたわけですが、これが、そもそも殺人ではなく、病死であることが明白になったというケースです。

もう一つは、SBS(乳幼児揺さぶられ症候群)による虐待致死として、有罪実刑判決を受けていた山内泰子さんに、10月25日、逆転無罪判決が出たこと。そしてそれに対して、大阪高検が上告を断念し、無罪が確定したこと。

検察の、いったん起訴した事件について「有罪を取る」こと、さらにいったん有罪判決を取った事件に関しての控訴審や再審で「有罪を維持する」ということへの執念は、それはそれは、ものすごいものがあります。裁判所の検察への忖度の歴史もすさまじいものがあります。

弁護団がいかに新しい証拠や証言を出してきても、自白や証拠に矛盾が出てきても、なかなか裁判所は再審を認めないし、認めたところで、ほぼ間違いなく検察が異議申立を行い、それで再審却下される事例も少なくありません。なんたって、白ワインに赤い農薬が入っていても誰も気づかなかったとか、ズボンを味噌漬けにしたら縮むとか、およそ、科学や常識で計り知れない世界がそこに展開されているわけです。真犯人が名乗り出てきてさえ、再審が認められなかったケースまであるぐらいです。

だからこそ、再審が認められるとか、あるいは、検察が上告を断念する、というのは、「疑わしきは被告人の利益に」どころの話ではなく、それはもう「ぐうの音の出ない」ほどの証拠を突きつけられた、あるいは、検察側の証拠がよほど完膚なきまでに崩壊していた、ということに他ならないわけ。
つまり、そのハードルは、おそろしいほど高いのです。

その、おそろしく高いハードルが飛び越えられた事件が続いたということですから、凄くありません?

しかも、それだけではありません。

東近江市の病院の事件では、事件当時から、すでに人工呼吸器を故意にはずしたことを否認する山内さんの調書や、病死を示唆する医師の所見などが存在していたにもかかわらず、「隠蔽されていた」ことが、新たにわかったとか。
関テレ!「報道ランナー」
【解説】重要証拠を「隠ぺい」か?滋賀県警は西山さんの「12年の服役」に報いる「説明責任」を果たせ

https://tinyurl.com/yf2elbnv
こんなことが「うっかりミス」であろうはずがありませんね。つまり、そもそも殺人事件ではないことがわかっていたにもかかわらず、手柄ほしさに、無実の人間の冤罪を意図的にでっち上げたわけです。

SBS事件についてのトンデモも、この記事に詳しく書かれています。
JB Press 虐待裁判で逆転無罪、無実の祖母を犯人視した専門家
http://a.msn.com/01/ja-jp/BBWwcVz?ocid=st
その内容は衝撃的としか言いようがありません。
検察は、脳神経のCT読影の経験もないし、判断もできないような医師を起用して、裁判所に証拠を提出させ、有罪の決め手としていたのです。
その医師の、あまりにトンデモな「誤読」っぷりが、法廷でボコボコにされ、そのあまりの惨状に、さすがに裁判官も証拠価値がないことを認め、さらに、検察もさじを投げるしかなかった、ということのようです。

しかし、そこで誰でも不思議に思うのは、「検察は、なんでそんな医師を起用したのか」ということです。そしてまた、問題の医師も、なぜ、裁判で、自分の専門分野でもなく、よくわからないようなことで、一人の人間の人生がかかっているような証言をできたのか。

明らかに「誤読した」のではなく、結論ありきの、検察に都合のいい証言をした、ということでしょうね。
しかも、この医師は、他のSBS虐待裁判でも、検察側証人として、検察に都合のいい証言を行っているようで、古畑鑑定みたいに、次々と逆転無罪が出て来る可能性があるようです。

あ、古畑といっても、田村正和主演の刑事ドラマの主人公とはなんの関係もございません。
医学部では「禁句」として決して教えない、(しかし、法医学会ではいまだにその弟子たちが、冤罪事件の再審請求棄却のために跋扈しているらしい)戦後最悪の御用法医学者 古畑種基医師のことです。

こうなると、やはり再審請求中の北陵病院筋弛緩剤事件も気になってきたりするところですが、まあ、検察側の証人って、そういうものらしいです。

それにしても、この証拠を隠していた滋賀県警にしても、いい加減極まりない鑑定をした医師にしても、これが何かの罪に問われるのか、責任を取るのか、と言えば、べつに問われることはないのですよ。

なんせ、検察側の証人に立った人の場合、あとで、明らかな偽証がわかった場合でも、偽証罪に問われたケースはないのです。本来なら、検察のあるべき立証や裁判所の判断を惑わせたとして、偽証罪で裁かれることがあってもおかしくはないというか、そうあるべきだと思うのですが、絶対にそうならないのが日本。ましてや、人によっては司法取引なんていう役得もあったりするわけですから、かくして、検察に都合のいい証言はいくらでもでっちあげることができる仕組みになっているわけ。

一方で、我らが日本の検察は、起訴独占主義を利用して、どう転んでも有罪になるしかないような事件でも、自分たちに都合の悪い件については、あえて裁判させず、不起訴にすることでも有名。かつての陸山会事件で、露骨なでっちあげ証言入りの偽報告書を書いた田代政弘検事も、自己都合の退職でお茶を濁し、森友事件の文書廃棄や文書改ざんといった、やった本人たちがほぼ認めているような事案ですら、不起訴という体たらく。

かつての特捜も、いまや、その捜査能力も度胸も、週刊文春の足下にすら及ばない、と失笑されていますが、その検察を裏で支えているのが、検察審査会だったりします。本来は、検察を審査する会であったはずが、陸山会事件以来、事実上、検察の補完機関となっている模様。

笑ってしまうのは、森友事件に至っては、議事録がブラックボックスなのはもちろん、さらに不透明度が進んで、どうやって審査員を選んだのかという手続きマニュアルさえ、情報公開請求で不開示です。審査に重大な影響を及ぼすからだそうです。

なるほど。ザル法である検察審査会法を盾に、とうてい公開できないような方法で審査員を選んでいらっしゃるそうですわよ、奥様。

ということで、二例続けて、裁判所が比較的まともな判断を示した、という点で、少し喜ばしいニュースが続いてはいるけれど、それは決して、日本の司法がまともになったということではなく、テレビドラマとは違って、警察や検察のお仕事が、そんだけメチャクチャだということが、改めて露わになったということです。

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