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「もはや絶滅危惧種」超少子化時代の日本、国の施策は誤りだった?




 ラグビーワールドカップ依頼、日本のラグビー熱は高まる一方。しかし先月行われたラグビー全国高校大会・東京都予選の2回戦で大東文化大第一高と対戦していたのは、都立高と私立高4校による“混合チーム”。実は少子化などによって部員が競技人数に足りず単独では参加できない学校が増えており、今回も全体の3分の1以上のチームが“合同”なのだ。



 強豪・大東文化大第一から1トライも奪うことができずに敗退した合同C。副キャプテンの高橋海誠さんは「全員が揃っての練習はあまりなく2校だけの練習もあった」と振り返った。



 1990年代に出生率の低下が表面化して以降、国では様々な対策を講じてきた。出生数は下がり続け、厚生労働省が9月に発表した人口統計の速報値では、今年は90万人割れするのが確実な状況となっている。一昨年にシンクタンクが試算した数値と比べて2年早いペースに、安倍総理も先月5日の所信表明演説で、少子化を“国難”と位置づけている。

 6日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、さまざまなところに影響を及ぼしている「少子化」について議論した。

■「若い女の子たちに経済力を」



 ニッセイ基礎研究所の天野馨南子・准主任研究員は、「人口統計的にいえば、やるべきなのは“人口消滅対策”だ。1995年以降、出生率が1.5を下回り続けているが、これは“超少子化”の水準。歴史上、この状態が長く続いた民族は絶滅しているし、日本も“絶滅危惧種指定”から“絶滅危惧種”の域に達している」と指摘する。

 「国は2010年以降、少子化対策に毎年3兆円以上を投入してきた。本来、人口消滅に対して打つ政策が少子化対策のはずだが、その主な内容は“子育て支援”だった。そうではなく、カップルの中で産まれにくくなってしまったところを助けてあげなければならないし、カップルが減っているなら、それをどうするのかという話だが、その視点が抜けている。

ただ、私が生まれた1970年と2017年を比較してみると、カップル数が46%まで減っている一方、子どもの数も46%まで減っている。つまり、夫婦間の子どもの数は減っていないということだ。私はこの2017年に政府の委員会に入らせていただいたが、当時は若い子たちの環境が恋愛どころじゃない、結婚どころじゃない、ということで、企業の環境整備検討会も立ち上がっていた。

しかし“官製婚活の話をしているのでは”という批判が出てきて、きちんとした説明もされないまま、話がしぼんでしまった」。



 その上で天野氏は少子化対策として「若年人口マイノリティ“しか”当事者になれない」「若年カップリング+次世代育成」を挙げる。

 「“晩婚晩産化”と言われているが、統計的に日本の出生率を牽引しているのは20代後半で、その次に強いのが20代前半。やはりこの世代が家庭を持ちたいのであれば持てるようサポートすることが必要だろう。一方、日本のジェンダーギャップはインドや中国以下。

男性の非正規の方が結婚に踏み切れないなら、女性の非正規の方が踏み切れないのは当然だ。男女の経済格差の部分をきちんと埋めていくこともが先なのではないかと思う。男性は“いつでも結婚できる”という感覚が強いからかもしれないが、結婚相談所の登録者は女性の方が圧倒的に多いし、大手の結婚連盟の会員数を足すと、20代では男性が1に対して女性が4。30代だと、これが1対3まで変わり、40代になってやっと1対1だ。

女性が産まない、産むのが遅いなど、誰が原因作っているのかと言いたくなるし、もし若い女の子たちに今よりも経済力があったなら、シングルマザーも含め、産む決断をしたかもしれない。そう考えると、この国はさらに100万人近い子どもを授かれたかもしれない。いわば“失われている命”がたくさんあるということだ」。

■「どう対策しても人口減少は進む」



 “独身者研究”の第一人者で、「博報堂ソロもんラボ」の荒川和久リーダーは「必要がないとは言わないが、どう対策しても人口減少は進む。ただ、私は6000万人くらいで減少は止まると見ている。というのも、人口ピラミッドで層の厚い高齢者がいなくなれば、人口のバランスは元に戻るからだ。

そして少子化というと女の人が子どもを産んでいないように皆さん思いがちだが、結婚したお母さんはだいたい2人は産んでいるし、出生率が2.0を上回ってくれば、理屈上は6000万人という静止人口に収まる。また、未婚化が進んでいて生涯独身の人たちがいっぱいいるが、その人たちが年を取り、いなくなれば是正されていく。

歴史的には江戸時代に同じ状況が見られたが、幕末になると独身男性の人口の部分が是正されている」と話す。



 荒川氏は、単身(ソロ)の増加で消費行動が変化しており、子どもを持つ家庭が現状維持にお金を使う“モノ・コト消費”であるのに対して、単身者は現状を変えることにお金を使う“エモ消費”だと分析している。エモ消費は、「うれしい」「楽しい」など感情(エモーション)を得るための消費だ。
 
 それを踏まえ、荒川氏は「単身の人たちは日常の中に欠落感があるので、やはり自分が行動することによって、それを埋めなければいけないところはあると思う。逆説的だが、日本の場合は独身の男女をマッチングさせようと思うから失敗する。彼ら彼女らの中には結婚したいと思っている人もいると思うが、半分ぐらいは“別に1人でもいいや、結婚する必要はないな”と思っている。そうであれば、結婚相手としてマッチングさせるよりも、お友達としてマッチングさせた方が、結果的には結婚に結びつくかもしれない」と提案した。



 ジャーナリストの堀潤氏は「国は移民政策をガンガン進めていて、この国土で産まれた人々のことなんて、あまり考えてくれていないと感じる。僕は氷河期世代、ロストジェネレーションだし、国は安い労働力が欲しいな、今すぐ手当てできる人材が欲しいな、という目的なのではないかとさえ思う。だから今後、いわゆる日本国籍を持っている人という意味での人口を維持する、という意味での政策が掲げられるのだろうし、国の形も少しずつ代わっていくのだろう」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶映像:もはや少子化対策ではなく“人口消滅対策“ 個人の経済力を上げることが先決?

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