- 2019年11月08日 17:50
【デジタルユーロはいかが?】
フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」に刺激を受けて中国がデジタル人民元の研究を急いでいるのは知っていました。
今度は、デジタルユーロが誕生するかもしれないと報じられています。
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ReutersはAlarmed by Libra, EU to look into issuing public digital currency: draft(リブラに刺激され、EUが公的なデジタル通貨研究の草案)の中で、フェイスブックがデジタル通貨「リブラ」を発表し各国の通貨当局から敵対的な反応を受けたあと、EU=ヨーロッパ連合がECB=ヨーロッパ中央銀行に対して公的なデジタル通貨の発行を検討するよう求めるペーパーの草案が明らかになったと報じています。
あわせて仮想通貨/暗号資産については高リスクのものは禁止するなどEU域内で共通の対応を取るよう促したということです。
草案では「ECBと域内のほかの中央銀行はデジタル通貨発行に関するプラスとマイナスを検討することが有用だ」と記しています。
仮想通貨については、リブラのように法定通貨で裏打ちされるステーブルコインとビットコインのように法定通貨裏打ちされないものがあるとしています。
8日に予定されているEU財務相理事会で協議された上で12月5日の次に会合で正式に話し合われる可能性があるということです。
ECBのクーレ専務理事が9月にデジタル通貨について検討を加速するべきだ(step up)と発言。20億人以上にリーチは届くリブラの登場までステーブルコインは無視されていましたが、リブラは規制当局をビビらせた(spooked)と指摘しています。
また、フランスとドイツは、リブラは金融市場のリスクになるとしてヨーロッパでは認可しない姿勢を示したと同時に、代わりとなる公的なデジタル通貨の創設を支持する考えを表明したということです。
一方New York TimesはChina Gives Digital Currencies a Reprieves as Beijing Warms to Blockchain(中国、ブロックチェイン接近でデジタル通貨は一時的に救済)の中で、中国政府が4月にビットコインほかの仮想通貨を扱う産業を禁止するリストに加えたものの、6日の最終リストからは除外されていたとして中国政府による「大きな変化(significant shift)」と伝えています。
中国ではかつて仮想通貨の製造(マイニング)の消費電力が大きいとして懸念されていましたが、最近は雇用や税収を生み出すとして成長鈍化の中国で期待が高まっているそうです。中央集権的でないことが特徴のブロックチェインは政府が管理するのが難しい一方で、中国政府は政府が完全に牛耳る形でデジタル通貨の発行を検討していてリアル通貨の人民元に結び付けられるということです。
一方、FTはChina fears weigh on launch of Hong Kong virtual banks(中国問題、香港の仮想銀行に構想に暗雲)の中で中国のテック大手のアリババ、テンセント、シャオミなど7社が香港金融当局から仮想銀行の新規設立の免許を取得したものの、香港の抗議活動を弾圧する中国政府に対する反発から構想に暗雲が立ち込めていると報じています。
新たな仮想銀行は伝統的な銀行と同様のサービスを提供するものリアルな店舗を持たずに手数料を抑えるということです。
ことし3月から5月にかけて香港の1社を含めて合計8社に免許が与えられたものの、香港問題のより、果たして香港の住民が中国のサービスを使うかどうかの試金石になると総括しています。