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先月17日にIOCのトーマス・バッハ会長が「IOC理事会と大会組織委員会は札幌市に移すことに決めた」って、いきなり決定の発表をしてたけど、大会組織委員会のトップである森喜朗さんは最初から無抵抗のイエスマンだ。招致に関わったラグビーワールドカップが盛り上がって自分の株も上がってるからね。ヘタな立ち回りは一切しない。森さんはラグビーの旗は振るけど、いざとなったらタックルしない(笑)。小池都知事に丸投げのパスを回しちゃったね。
小池さんも当初は森さんに対して「丸投げかよこのジジイ!」って思ったろうけど、そのバックにバッハさんというさらに面倒なジジイがいて、結局逆らえないのがわかったから、あとは都民の顔色ちらちら見ながら「あくまでも東京開催を」という役柄のお芝居をしてたんじゃないの?
だって小池さんっていざとなると、もっとじたばたするじゃない。前にもあっただろ、東京湾のベイエリアにボートとかカヌーの会場を作るのに建設費が高額過ぎるって問題があがったときは、いきなり宮城のほうのボート場を視察に行ったりしてさ。ここは自分が有利だって匂いを嗅ぎつけると急にスタンドプレーで張り切るんだよ。
だから、今回の札幌移転案にホントに交渉できる余地があって、IOC相手に勝負が出来そうだったら、小池さんは「私の見せ場だわ」って張り切るよ。もっと粘るよ。ほら、築地が豊洲に移転する時の小池さん見ただろ。やたらと粘ってただろ。
でも結局、思わせぶりなことを言うばかりで、落としどころも見失って、時間の浪費でたっぷりと税金を無駄遣いしてたけどね。あの強引な粘りを発揮するのが本来の小池百合子さんなんだからさ(苦笑)。
それがさ、相手がIOCで勝ち目無しってわかるから2週間で「合意なき決定」なんて言ってケンカにならない。ゴネてるように聞こえるけど、あれはIOCの一座の中で、愚痴る東京都知事っていう役柄を演じてただけだね。
札幌移転で責任逃れしたい面々

秋の大通公園
まずIOC。ドーハの世界陸上で女子マラソンが深夜0時スタートでも暑すぎて68人中28人棄権。棄権率4割以上って大会運営として大失敗だよ。あれは主催がIAAF(国際陸上競技連盟)か。ああいう大失敗をもしオリンピックで起こしたら、その非難の大きさは世界陸上の比じゃないよ。IOCのバッハさんは責任を問われて進退問題になりかねない。これは自分のクビに関わって来るぞって肝を冷やしたんだよ。
IOCの会長って最近誰がやってるかわかる? ファン・アントニオ・サマランチさん(1980年~2001年)に、ジャック・ロゲさん(2001年~2013年)か。そのあとがバッハさん(2013年~)だな。バッハさんは就任してまだ6年、できればロゲさんと同じ2期12年は会長をやりたいはずだ。
だから、6年かそこらで引きずり降ろされたくないんだ。猛暑の中でマラソンを決行すれば、失敗が目に見えている。もはやオリンピックの開催都市がどうこう言ってられない。IOCとバッハさんは東京五輪の開催を決めた責任、東京の猛暑問題を放置していた責任を取りたくない、その「責任逃がれ」で、強引に札幌案を作り出したんだな。
次に森さん。東京五輪パラ五輪の大会組織委員会トップである森さんは、ここでIOCの考えに楯突けば、東京五輪でのマラソン&競歩に何かが起きたとき「IOCの提言があったのに、ほら失敗した」となって自分が責任を負うことになる。それにもうご高齢で抵抗する気力もないみたいだよね。「IOCのおっしゃる通りで」と長いものに巻かれて「責任逃がれ」だよ。
そして都知事の小池さん。ここでIOCと森さんの考えに楯突いても、札幌移転という結論ありきが引っくり返らないし、開催地の首長なのにその相談も無かったわけで、すっかりコケにされちゃったんだよな。だけど、IOCには逆らえないのを政治家としてわかってる。IOCと東京都民の間に挟まれて、外ヅラは「IOCの考えには合意できない」としてるけど、内ヅラはIOCに従うしかない。今さらどうしようもない、お手上げですっていう「責任逃がれ」だよ。そのお芝居が「合意なき決定」って話だ。
札幌への移転費用を誰が負担するかっていうお金の問題が焦点になっていたけど、あれも芝居だろ。だってIOCは幾らでも金あるよ。出そうと思えば出せるんだよ。だけど最初からすんなり出したら、森さんや小池さんが「何かしら交渉しているように見せる」という芝居が出来なくなっちゃうからね。費用の負担はどうしようか、っていう場面を白々しく残したんだ。
そうして、「札幌移転の費用を東京都は負担しない」ってことを、さも小池さんが交渉勝ちしたみたいに見せてたけど、別に胸を張って言えることじゃないよね。だって東京都はこれまでマラソン開催の為にけっこうな経費をかけてきたわけだろ。人とモノ、かなりの大金を費やしてきたわけだ。これみんな税金だ。その中には札幌に移ることによって、ただの捨て金となってしまう経費がたっぷりある。その賠償をどうするって話だ。
その部分で公表された合意が「すでに東京都、組織委員会が支出した2種目(マラソン・競歩)の経費は精査・検証の上、都が別の目的に活用できないものは都に負担させない」って話だ。つまりIOCが賠償するってことなんだけど、文言がタマムシ色だよな。これまで出費したもので、オリンピック以外であろうが別の目的に使えるものならIOCは払わないってことだ。
冗談じゃないよ、オリンピックの為の支出だろ。だから支出の為の予算が認められたんだ。都議会だって別の目的だったら予算通さないよ。都民の血税だもん。これまで使った分はたっぷりきっちりIOCから取り立てないと。「合意なき決定」よりも、「合意がどうあれ経費取り立て」だ。小池さん、それが都知事の仕事だ、よろしく頼むよ。