- 2019年11月07日 10:49
【読書感想】僕の人生には事件が起きない
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人生にそんなに面白エピソードばかりの人って、いませんよね、たぶん。
もちろん、「なんでこの人は、こんなに変な出来事を呼び寄せるのだろう」という人だって、いなくはないけれど。
ほとんどの芸能人というのは、こういうときに、多少なりとも、自分の人生を「盛って(大げさに脚色して)」話すものではないでしょうか。また、そういうエピソードを面白く感じさせるのが、バラエティ番組の演出家や大物司会者の腕でもあるのです。
岩井さんというのは、「率直すぎて、めんどくさい人」なのかもしれません。
芸能人として、「自分は違う世界の人間だ」と、お高くとまることはないけれど、「有名人が何だ!」と、自分に突っかかってくる人をスルーできるほど、すべてを悟っているわけでもない。
同窓会が苦手な理由について。
大体、自分の仕事や私生活がうまくいっている人間が同窓会を開催したがる。仕事や私生活がうまくいっていない人間が同窓会を主催しているのを僕は見たことがない。僕はそんな主催者の思惑が嫌いだ。自分で同窓会を開いて、今どんな生活をしているかとか、どんな仕事をしているかを自信満々に答えている主催者を見ていると、こっちまで恥ずかしくなる。
しかし僕が思うのは、本当に仕事と私生活に満足している人間は同窓会など開かないということだ。端から見て私生活と仕事が上手くいっていても、どこか楽しくないとか、満足していないとか、もっと人に認められたい人間が、学生時代の楽しさのピークを更新できていないからか、同級生より上に立ったことを確認したいという理由で同窓会を開くのだ。なので、楽しさのピークを更新していて、今を楽しんでいる人間は同窓会など求めていない。
あと、こうやって同窓会を否定した時に「でも久々に昔の友達に会えるの嬉しいじゃん」などと言われることがあるが、会いたい友達なら同窓会などなくても会っているし、同窓会がないと会わない程度の友達だから”昔の友達”なのだろうと思う。
本当にそうだよなあ、と思うし、その一方で、岩井さんが、実際に起こった(であろう)同窓会での出来事について、かなり辛辣な言葉を綴っているのを読むと、せつない気分にもなるのです。
有名人になったがゆえに、昔の同級生にも「マウンティングしてみたい相手」のように見られたり、ゲスト扱いされたりしてしまう。
それでも、そういう場に顔を出しては、不快な思いにとらわれるのです。
行かなきゃいいのに!って、読みながら思ったんですよ。
それでも、「自分は別世界の人間」だとも割り切れないし、「人気商売」のめんどくささもあるのだろうなあ。
岩井さんのほうが「うまくいっている人」として、同窓会でちやほやされて当然の立場なのに、そうなるのも居心地が悪そうだし。
このエッセイ集を読んでいると、岩井さんの日常をみる目の解像度の高さに驚かされるのです。
組み立て式の棚を、なかなか組み立てられずに苦労した、というだけのことで、面白くて「僕もそんな感じだ……」と共感するエッセイを1本書き上げられるのは、本当にすごい。
僕が先日、ニトリで組み立て式のデスクを買おうとしたときに、「でも、自分で組み立てるタイプのものは、思っているより大変なのではないか……」と不安に駆られて、購入を保留してしまうくらい、さりげなく記憶に刻まれてしまうのです。
ハライチの、岩井さんのファンじゃなくても(ファンじゃないほうが、かえって)面白く読めるエッセイ集だと思います。
「コンビの陰に隠れがちな方で、ネタを書いていてラジオでは目立ちがちな、いかにも文章が書けそうな芸人」にエッセイを依頼するというのは、やっぱり、「正解」なのかもしれませんね。
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