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菅義偉「読売の"人生案内"を欠かさず読む理由」

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内閣官房長官の在職期間、歴代1位。安倍晋三政権を支え続ける菅義偉氏。「鉄壁」ともいえる“防御力”の裏には、彼をつくり上げた名著がある。次期総理ともささやかれる菅氏に、トップに立つ人の必読書を聞いた。記者会見前に思い出す言葉とは――。

■『三国志』で学んだ、政治と人間関係


官房長官 菅義偉氏

本は大好きなのですが、内閣官房長官の仕事は忙しく、なかなかじっくり読書する時間が取れません。毎朝すべての全国紙を読むだけでも40~50分かかっていますから。各紙の内容とNHKの朝6時のニュースを見ていくと、世の中の動きがわかってくるんです。みんなどういうものに関心を持っていて、どんなニュースが流れているか、そのチェックだけは欠かせません。

ちなみに、新聞は社説も読みますし、理解を深めるために声に出して読むこともあります。

高校生のころから愛読しているのは読売新聞の「人生案内」という人生相談コーナー。「世の中にはいろいろな人生があるものだな」などと思いながら読んでいます。まず相談内容だけを読み、自分で答えを考えてから回答部分を読みますが、今ではだいたい一致するようになりました。頭の体操みたいなものですね。

そのうえでまず、紹介したい本は『三国志』です。これは学生時代から読んでいます。最初に触れたのは吉川英治さんの小説だったでしょうか。作中では登場人物が仲良くなったり裏切ったりの連続。どの武将が好きというよりは、局面によって変化していく人間関係を読みます。忠節を尽くす人もいれば、妬みを抱える人も現れます。そういうところは時代が今の世の中でも全然変わらないですよね。『三国志』は人間社会や人間そのものについて教えてくれたと思っています。政治の世界に通じるところが多いと感じています。


吉川英治●1892年、神奈川県生まれ。さまざまな職業を経た後、作家活動に入る。国民文学作家と称され、今も読み継がれている作品が多い。代表作に『鳴門秘帖』『宮本武蔵』『新書太閤記』『新・平家物語』『私本太平記』。(AFLO=写真)

学生時代は勉強はしませんでしたが、もともと読書は好きで、特に歴史ものを読み込んでいました。みんな織田信長や豊臣秀吉、徳川家康あたりはよく読むではないですか。そんな中、横浜市議会議員選挙に出る前後だったでしょうか、本屋で見つけたのが、秀吉の弟について書かれた堺屋太一さんの『豊臣秀長――ある補佐役の生涯』でした。

参謀に関する本もいろいろありますけど、このようなストーリー形式で書かれた本というのはなかなかないのではないでしょうか。農家の生まれで何もないところからスタートした豊臣秀吉がどうして大成できたのかはもともと気になっていたことでもあります。

豊臣秀吉の本の多くは、だいたい秀吉のいいところしか書いていない。でも彼が世に出た裏には、やはりこういうしっかりとした支えがあったのだということを、当時非常に納得しましたね。信長との関係性の変化など、秀吉にはいろいろなことが降りかかりますが、秀長のようにいつでも裏で必ず守ってくれる存在があったからこそ天下が取れたんだなと。

■“判断する人”に読んでもらいたい


堺屋太一●作家、元経済企画庁長官。1935年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒。旧通商産業省時代に70年日本万国博覧会(大阪万博)を手がけた。大阪府・大阪市特別顧問、内閣官房参与も務めた。「団塊の世代」の名付け親。(時事通信フォト=写真)

秀吉は最初、自分が天下を取ることなど考えていません。それがいつの間にか、たまたま秀長の支えを得たことを機に、大きな時代の流れの中で突出していきますよね。なぜ秀吉がああいう形で伸びていったのかというのがこの本を読むことによってよくわかりました。私と秀長を重ねる人もいますが、官房長官はそれほど裏方でもありません(笑)。官房長官は一日に2回記者会見をやって、表舞台にも出ていますから。

とはいえ、政権を運営するのはものすごく大変です。秀吉のころと同じく、いいときばかりは続かない。予期せぬことが次から次へと起こりますから。この本からは、リーダーが困難に直面するときこそ裏でしっかり支えなければならないということを学び取ることができます。判断は総理自身がする必要もありますが、こちら側から総理に対してさまざまな情報や状況をしっかり伝えることが大事になります。今何を考えて、何をやらなきゃまずいか。

それは国家運営でもそうですが、会社経営においても同じじゃないですかね。だからこそこの本は、自分で物事を判断するべき立場にいる経営者に読んでもらいたい一冊です。人生とはこういうものではないかな。1人では生きていけないというか、誰かそういう人がいなきゃ回りません。

コリン・パウエルさんの『リーダーを目指す人の心得』という本は官房長官になる前後に読みました。

官房長官就任後は毎日2回の記者会見をするようになりましたが、大臣の会見とはまるで勝手が違う。大臣のときは週2回、所管のことだけを話していましたが、官房長官となった今は、世の中で起きているありとあらゆることについて政府の公式見解を述べる必要があるわけですから、やっぱり構えてしまいます。

パウエルさんは黒人で初めて米軍制服組のトップになり、国務長官になるわけですけど、やはり「記者会見が大変だ」と書いてあるんですよ。自分の一言が世界に影響するわけですから。それに、記者は引っかけの質問も多いからひどく悩んだということも書いてあります。

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