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政策論争と品格

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 先日、情報法制研究所の共同研究先でのシンポジウムや政策調整会議(らしきもの)があり、永田町をハシゴする機会がありました。

 話自体はまっとうな内容であり、先生がたも相応に真剣に取り組まれる中で「いますぐ法律にして政治家としての仕事をまっとうすること」と「そうは言っても、現実はすでに悪化しているのだから、目の前で起きている問題が直接解決できること」との相克を乗り越えなければ「法律ができて、その問題がきちんと解決する」という救済にはならないわけです。

 そうなると、現状維持でいいと考える人や、場合によっては利害関係において正反対の人たち両側からの議論を受けて審議することになるわけですけれども、例えばプロバイダ責任制限法があったとして、これの改正をするべきか、改正をするとしてどういう内容にするべきかという議論が出ます。もちろん、既存のプロバイダの人たちはこれ以上ネット上の変なことでいちいち法務対応することのないよう改正に後ろ向きな一方、このプロ責法ゆえにいろんな問題を解決できない人たちは早く改正しろよと働きかけるのです。

 さらに、関係する役所は多岐に渡り、そこに介在する政治家さんも複数出てきます。メルカリなどC2Cの件でも、金融庁、警察庁、消費者庁に総務省、経済産業省、場合によっては財務省と、いろんな役所がエアポケットに入るので何か一つ変更しようとすると大変なことになります。最近ではパブリックアフェアーズなどと言いますけれども、つまりはロビイング活動をしながら各役所に呼ばれたり政党に行ったり議員会館で議員さんにお願いしたりということで、面倒は多くなります。

 で、そういう話をしていると「先日、ここに誰それが来て、こんなことを言っていった」という話と共に、かなりの割合で欠席裁判が始まるのです。何それ怖い。自分のいないところで何を言われているのか分からんぞと思うわけですけれども、議論の道筋があって、政策論争があれば、誰それが何を言い、有識者として業界関係者は紅組、この大学教授は白組だということで、いわゆる「陣営」が決まってきます。これはもう、しょうがないことだと思うんですよね。

 そうなると、例えば著作権法改正議論において目立つ人が何を言うかは必然的にみんな耳に入り、整理総括の対象となります。あの大手出版社はこういう立場である。こっちの作家はあんなことを言った。その結果として、業界は概ねこういう問題を抱えていて、このような法律にしてもらいたいのだろう。だが、それって実効性があるように法制局と話ができるのか。なんてことを整理しながら匍匐前進するようにゆっくりと話が進んでいきます。

 然るに、一方的な立場から強く政策主張をする人はノイズと判断され、せっかくいろんな実績があり活動を続けているのに「まあ、あの人はああいう人だから」というネガティブリストに入ってしまうことが往々にしてあります。著作権法改正や200個問題、プラットフォーマー規制、公取委などでの話では特に端牌扱いされると重要なことを言っているのに門前払いされてしまうケースがあるんですよね。本丸である会議体があり、そこで偉い人が議論しているところへ、一番大事な当事者の人たちの声が届かないってことはごく普通にあります。

 また、酷い場合は役所そのものが問題解決における所轄官庁であるにもかかわらず当事者能力を欠いてバンザイしてしまうことがあります。あの課長が来年人事でいなくなるからその前に通常国会で改正案をどうにか捻り出そうとか、省庁間協力の座組は年内で終わりになってしまうので調査部会から来週までに具体案を出してくれなどという途方もないオーダーが降ってくることもあるのです。いや、政策議論に直接かかわらないから調査部会なんですけど。

 さらには、与党と野党の間でたいして重要ではないけどバーターの具としては必要な案件があると、当事者の抱える問題や困惑とは異なる次元で譲歩する材料として改正案を条文つきで出せとかいう話になる。え、それをバーターにするって、次の国際会議でも我が国の代表は赤っ恥をかきにいくことになりませんか。

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