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「居酒屋で政治の話をしたいとすら思っていない」若者の投票率はなぜ上がらないのか【原田謙介×たかまつなな対談】

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投票率の低さ「予想通り」にショック


たかまつ:あと私は、選挙の次の日の夜にYouTubeの生配信をして、若者×政治とか、投票率を上げようとしている団体の人たち10人くらいと、電話で10分ずつ話したんです。その時に今回の投票率をどう受け止めますかと聞いた時に、「予想通り」みたいな意見が多くて。

一緒に戦ってきたと思っていたのに、めちゃくちゃショックだったんですよ。しかもそれに対して「質の高い投票をしなきゃ」って意見が多くて、ただ単にみんなが投票に行けばいいというものではないという意見で、結構感覚が違って、そこは怖さを覚えたんですよ。原田さんはどっちだと思ってました?

原田:俺は投票に行けばいいと思ってた。

たかまつ:じゃぁ似てるというか、同じ。やっぱりびっくりしちゃったんですよね。

原田:なんでなんだろうね。

たかまつ:トランプが大統領になったり、れいわ新選組が支持されるのを見て、ポピュリズムに対する警戒心が強くなっているのか。

原田:ブレグジットだったりとか。

たかまつ:意識は高いけど、投票にギリギリ行かない人をまず行かせないとポピュリズムが起こるみたいなことを自分の活動をしていても言われます。

原田:投票率が上がる時は自然とそういう人から行くんじゃないかな。政治のことを日々何も考えていない人から盛り上がることなんてないと思っていて、それほど世の中暇じゃないじゃない? 投票に行くか行かないか決めてない人から徐々に行きだすっていうのは、そうなると思うよ。

60代以上の人に「山本太郎の動画見た?」


たかまつ:れいわとかは、そのいつも行かないような人が投票に行ったから躍進じゃないのかな。

原田:いやー、れいわ、難しいね。

たかまつ:野党が今まで取らなきゃいけなかった層を取っていなかった。れいわは本当に貧しくて困っていて、もう明日どうしていいか分からないっていう人に、お金を回さなきゃいけない、金持ちダメだ、大企業ダメだ、って不安を煽ったけど、立民とかって労働組合とかが支えているから、「大企業ダメだ」とはやっぱり言えないんじゃないかなと。そのポジションがぽっかり空いているはずなんですよ。枝野さんもそこにいけばよかったのに。そこのポジションでもう少しまともなことを言ってくれる人がいればいいのになって、私なんかは思ってしまう。

原田:俺の感覚で言うと、れいわは今までも投票に行ってた人の票が、結構行ってるんじゃないかなと。

たかまつ:立民とかの票が流れているということ? 共産とかも?

原田:立民の票が流れていると思う。もちろん共産やあるいはもう少しさかのぼると政権交代の時に民主党に入れた人とかの票が流れてきているんだと思っていて、これまで投票に行かなかった人が大挙して行ってる感覚はあまりない。

たかまつ:そこはどこかが分析しないと分からないか…。

原田:れいわの山本太郎さん、演説とか動画とかを一瞬見ただけでは主張が分からないじゃない。別にワンフレーズポリティクスというわけではない。ちゃんと長い演説を見るとデータが出てきて、ここはこうあるべきだ、人を救うためにはこうしなければいけないって論じている。長い動画なので、あれを普通の人は全部見ないって。

確かに、他の政治家より引き付けられるものはあるから、関心ある人が見だすと、5分10分見ちゃうと思うんだけど、その関心を持つまでは政治の動画なんて見ないので、今まで投票に行ってないひとが行ったというよりも、政治に何らかの関心があって投票所にも行って、でもまぁ今の自民党にも野党側にも不満のある人たちの票が行ったという感じかな。

たかまつ:実際のところ、どういう人が投票に行ったかは、まだ分からないですよね。

原田:あと、高齢の方の票も行ってると思う。地元で「岡山選挙区で原田君に入れたよ!比例はれいわに入れたから!」って結構いわれた。「山本太郎さんのYouTube見た?」ともめっちゃ言われる。しかも60代以上の人に。結構60代ぐらいでもYouTube見てるんだなって。

たかまつ:やっぱり年金のことじゃないですかね。

原田:うーん、年金もあるかなー、山本太郎さんってそんなに年金の話いっぱい言ってたっけ?

たかまつ:消費税の増税は全額社会保障ではなく、大企業の大減税を進めるために取られている。とはすごく言っていましたよね。世論調査で一番関心が高かったのは社会保障で、朝日新聞なんかはキーワードにして年金は一番だって出していたけど、そこがあんまり。争点になっていたといえばなってたんですけど、そこは自民党も議論を遠ざけていたという感じがすごいしました。

原田:憲法改正は争点にはなっていなかったよね。少なくとも自民党は争点にする気はなかった。

大幅に下がった10代の投票率

ーー今年7月の国政選挙は、18歳に選挙権の年齢が引き下げられて2度目の参議院選挙でしたが、前回に比べて10代の投票率が大幅に下がってしまいました。若者と政治をつなぐ活動を続けてこられたお二人は、今回の投票率の結果をどうお感じになりましたか。

たかまつ:3年前に18歳の選挙権が導入されましたが、初回に比べて今回は15%ぐらい10代の投票率が落ちました。


たかまつ:低いと予想はしていたけれども、予想以上の数字でショックでした。でもこれに対して問題意識を持っているメディアの方がどれだけいるのか。政治家も全く問題だと思っていないように見えて、本当に恐ろしい社会だなと。

総務省には本気で投票率アップを頑張ってもらいたいです。18歳選挙権が実施されながら投票率の低かった10県に対して、私どもの「笑下村塾」は無料で出張授業に行っています。そうすることでワースト10に入ると恥ずかしいと県の担当者が感じてくれれば、その分、頑張ってくれるだろうと期待したからです。

原田:そういうことでトップは取りたくないですもんね。

たかまつ:実際、前回ワースト1位だった高知県は頑張っていました。それで総務省に今回の選挙の18歳投票率のデータはいつ出ますかと尋ねたら、今回は出しませんと言われてしまったんです。そういうところだと思います。ここをちゃんとチェックしてデータを揃えて問題意識を共有していかないと、若者の投票率が上がるわけがない。

原田:10代の数字は出しているでしょ?

たかまつ:10代は出ています。でも年齢別の18、19がない。いい案を思いついたと思っていただけに、総務省の返答はかなりショッキング。次の方法を考えないと…。

原田:俺も10代の投票率がこんなに綺麗に下がったのを見て、選挙に出た側としてもショックでした。今後のことは、たかまつさんと同じで総務省に期待するんだけど、期待の仕方が俺はちょっと違う。投票率を上げるためには教育が大切で、そのために学校もいろんなことをやっていいんだよというメッセージを、もっと強く出してほしい。

たかまつ:それそれ! 私も一緒の考えです!

原田:こんな取り組みもできますよというのをNPOが提示して、個々の学校現場の主権者教育を支援する。それを総務省がネットワークを使って、いい取り組みの情報を伝えるなどして全国の学校をバックアップする。総務省や文科省が選挙を学校で扱っていいよと積極的に勧めないと、主権者教育については学校や自治体が萎縮しているところが多い。

たかまつ:そういう人を取り締まるものを作ればいいんじゃないかなと思うんです。通報せずに見て見ぬふりした人も同罪。やらなきゃダメですよ。そのくらいしないと、萎縮したままやらないが正義になっちゃう。


原田:やっぱり俺らふたりの間には考え方にギャップがあるな(笑)。俺はね、逆の発想で、いいことをやっているところを盛り上げて、周りにもあれをやるといいんだっていう話が広がっていくように変えていきたいんだよね。やらなきゃダメ、じゃなくて。

たかまつ:私には3年やって負けたという認識があるんです。3年、若者と政治をつなげる活動をしてきて、私たちが15%下げたんです。

原田:うーん、俺はそう思わないよ。投票率が下がって悔しいけど、それが敗北ではないと思っています。たかまつさんも、俺らも、学校現場もやってきた主権者教育は、この3年間で広がってきているのは間違いない。それは実施回数、実施学校数を見ても明らかで、そこは良かったと思っています。

でも、教育委員会、市議会、県議会の理解のなさというのは大きい。学校現場が何かやろうとした時、法的に問題がないのにわざわざ議会で取り上げたり、市議会が教育委員会にどうですか? と話を大げさにして現場を萎縮させてしまうことがある。

だから、若者の主権者教育については総務省、文科省、といったところが学校現場にある程度のお墨付き、裁量権を与えていかないといけない。

それから学校での政治教育に関して、政治家自身が不勉強なままで、発言をし過ぎだなとも思う。「学校に議員呼んじゃいけないでしょ?」 とか、「実際の選挙のことは扱ってはいけないんでしょ?」 だなんて、どこにも書いてないことを言う政治家もいる。むしろ扱っていいけどルールがあるから、それを守ればいいだけなんです。

教育現場が主権者教育にビビっている

たかまつ:それを言うと、申し上げにくいんですけど、原田さんも関わられた副教材は結構罪深いと思いますよ。4年前に総務省と文科省が100ページくらいの副教材(『政治や選挙等に関する高校生向け副教材』)を作りました。そこにあれやっちゃダメ、これやっちゃダメとか、そういうことが書かれすぎている気がします。そういうのを見るとやる気が失せます。結局、文科省はやりたくないんだという印象を受けました。あの本は討論の仕方、ディベートの手法集に見えます。どうすれば政治的中立性を守れるか、現場の先生はそこが一番知りたいのに、そこが書いてない。

原田:憲法改正を言っていいかどうか、とか?

たかまつ:政党の名前はどこまで出していいのか、政党要件を満たしているところなら出していいのか、政治的中立性を保つにはどうしたらいいか。そういったすぐ使えるものを提示して欲しいです。

原田:実は、すぐ使えるものを出そうと思って作っていないんです。あれをエッセンスにして欲しい。そのまま使うより、自由にアレンジしてというくらいのイメージです。逆に言うと、先生にもアレンジするぐらいはできるでしょ? という感じです。

たかまつ:現場の先生にそれを期待するのは無理ですよ。先生の働き方が問題視されていますが、もう主権者教育どころじゃない。先生たちは死ぬぐらい働いているんです。

そんな中で、原田さんが目指す主権者教育の像はすばらしい。今のこの現状でその素晴らしさを伝えるのなら、先生の負担軽減を考えた、すぐ使える教材を出さないと無理だなと思いました。本来は政治的中立性を守るためにも、学校の先生独自でいろんなことをやった方が私もイイと思いますけど、それが実現するのは、もっと遠い未来です。

今の現場にはあまりにも教材が少ないと思います。数学でも英語でも教材はいっぱいあるのに、主権者教育にはない。

原田:ないね、蓄積がないからだね。これまでやってきたものと全然違うから。

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