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政府に売られた、「幸せの国」ブータンの若者たち 外国人留学生の闇(2) - 出井康博 (ジャーナリスト)

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「BEOに騙されたんです」

留学生たちは口を揃えてそう話した。ただし、実名を明かして取材に応じる者は皆無だった。

「学び・稼ぐプログラム」は詐欺に等しい制度である。とはいえ、プログラムへの不満を口にすることは、政府への批判を意味する。

ブータンは2008年に絶対君主制から立憲君主制へと移行したが、民主主義が根づいているとは言い難い。言論の自由も保障されておらず、政府批判はタブーに近い。たとえ日本にいても、筆者のようなジャーナリストに情報を漏らしているとなれば、帰国後にいかなる仕打ちがあるか知れなかった。そのためプログラムが始まって1年以上が経っても、留学生が日本で直面していた苦境は全く明らかになっていなかった。

そうした状況を一変させたのが、2018年12月に留学先の福岡で起きたブータン人青年の自殺だった。同年10月のブータン総選挙で、「学び・稼ぐプログラム」を進めた与党が敗北し、政権交代が起きていた。その影響もあって、ブータン国内の報道でも、次第に同プログラムの問題が取り上げられていく。

BEO経営者らが現地警察当局に逮捕

留学生の親たちは被害者の会を結成し、同プログラムの責任追求に乗り出した。そして今年7月、BEO経営者らが現地警察当局に逮捕されることになった。さらに翌8月には、プログラムを中心になって進めたブータン労働人材省の高官に加え、同省の前大臣までも起訴された。前大臣については直接の起訴理由は別件だが、プログラムの影響も少なからずあったに違いない。ちなみに労働人材省高官と前大臣の起訴は、ちょうど秋篠宮家の現地訪問中の出来事である。

ブータン人留学生たちの大半は今年3月、日本語学校を卒業した。その多くは「簡単にできる」と説明されていた就職や進学を果たせず、ブータンへと帰国していった。留学費用として背負った借金を抱えてのことである。

「学び・稼ぐプログラム」では、留学費用の70万ニュルタム(同約120万円)を年利8パーセントでブータン政府系の金融機関が貸しつけていた。毎月2万円以上の返済が5年間にわたって続くスキームだ。

ブータンへと戻った留学生たちには、半分以上の借金が残っている。だが、帰国後に仕事が見つかった者はほとんどいない。当然、借金返済の目処も全くない。日本への留学によって、彼らの人生は台無しになってしまった。

一方、今も日本に残るブータン人留学生たちがいる。プログラム最後のグループとして2018年4月に来日し、日本語学校に在籍中の留学生たちと、日本語学校を卒業して専門学校や大学に進学したブータン人たちだ。彼らもまた、別の意味での苦しみを味わい続けている。

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