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野球国際大会「プレミア12」が盛り上がっていない理由 - 新田日明 (スポーツライター)

(ericb007/gettyimages)

いまひとつ盛り上がっていない。野球の国際大会「第2回WBSCプレミア12」のことだ。日本代表・侍ジャパンも今大会に参加し、1次リーグB組が行われる台湾で最終調整に励んでいる。5日のベネゼエラ戦からスタートし、6日にプエルトリコ、7日には台湾と戦う。この1次リーグで上位2チームに入れば、日本で行われるスーパーラウンドへ進出することになるが、侍ジャパンの面々からは現状で「何が何でもやってやるぞ」というような威勢のいい言葉があまり飛び出していないように思える。そんな空気感を察しているからこそ世の中の人たちもあまり興味が沸かないし、どうしても話題になりにくいのだろう。 

今大会は参加する国々にとって東京五輪出場権をかけた戦いでもある。だが侍ジャパンは開催国のため東京五輪への出場はすでに無条件で決定済み。だから他の参加国に比べて重圧は圧倒的に少なく、今大会を制覇する意義についてもやや見つけにくい。ホスト国として「プレ東京五輪」の今大会で優勝し、来年夏の金メダル奪取に弾みをつける――。チームを率いる稲葉篤紀監督はこうしたテーマを代表メンバーの面々に掲げながらプレミア12初制覇を目指しているが、気の毒なことに笛吹けど踊らずの感が否めない。

NPB(日本野球機構)が母体となって侍ジャパンを引っ張っていながら特に今大会に関しては、プロ野球セ・パ12球団すべてから後押しを受け切れていない状況も大きなマイナス要素になっている。事情通は次のように言う。

「今年のプレミア12は過去の国際大会と比較して侍ジャパン史上、最も多くの参加辞退者が出たと言っても過言ではありません。コンディションが悪くてどうしても出られないケースが大半だと信じたいですが、その中には『本当にケガをしているのか』とツッコミを入れたくなるような選手がいるのも事実。それとは別に『大会参加による疲労蓄積やケガの誘発を不安視され、球団の中から出場ストップをかけられているのでは』と色眼鏡で見られているケースもあります」

一部の球団ぐるみで今大会出場に「NG」を出したのではないかと疑念を向けられている例や、それ以外にも複数の選手がプレミア12どころか侍ジャパンへの参加そのものに興味を失って断りを入れたとの未確認情報まで球界内では飛び交っている。それぞれの信ぴょう性は別にしても、これまで輝いていたはずの侍ジャパンのブランド価値が球界内で低下しつつあることだけは間違いないようだ。

そして今大会の開幕直前には侍ジャパンに参加するリスクについて一考を余儀なくされそうなアクシデントが起こった。開幕直前の強化試合・カナダ戦で死球を受けた秋山翔吾外野手(西武)が右足第4趾基節骨骨折と診断され、チームから無念の離脱へと追い込まれた一件だ。海外FA権を行使し、今オフ中のメジャーリーグ移籍を視野に入れていることから秋山にとっては文字通り痛恨の足かせとなってしまう可能性も出てきてしまったのだ。

「いくら秋山本人がメディアを通じて『(侍ジャパンに参加したことに)後悔はない』と口にしても、大ケガを負ってしまった事実は変わりません。

これを機に侍ジャパン参加中に負傷すれば今後、所属チームでのプレーに影響を及ぼすような形になってしまったら元も子もないと多くの選手が考えるようになっていくでしょう。しかも侍ジャパンでケガをしてしまったとしても、基本的に何らかの補償があるわけでもない。こう考えると秋山の負傷は、侍ジャパン招集にあたって白羽の矢を立てられる選手たちが躊躇する流れを作り出すきっかけになるかもしれません」と前出の事情通は警鐘を鳴らす。

他のスポーツと違って、野球の代表チーム招集は非常に難しい。来年夏に行われる東京五輪は例外としても、基本的に侍ジャパンの国際大会や親善試合はシーズンの開催期間を除くタイミングで組まれている。だから今の侍ジャパンの選手たちはまだプロ主体の代表チームが結成されていなかった時代に比べれば、所属チームと代表で合わせた試合出場数が圧倒的に増えたことで身体にはかなりの負担もかかっていると思われる。それだけ疲労が増せば、当然ながら秋山のように大けがを負ってしまうリスクも念頭に置かなければいけない。

まともなプライオリティを与えるべき

こうした〝負の流れ〟に歯止めをかけて改善の方向へと進めたいのであれば、このプレミア12やWBCなど国際大会の開催時期をシーズンの開催中に組み込みように働きかけるなど、選手たちをタイトなスケジュールによって忙殺させないようにする工夫も必要になってくるだろう。

加えて侍ジャパンへの参加した選手に対し、もう少しまともなプライオリティを与えるべきだ。このプレミア12やWBCなど国際大会への出場には〝謝礼レベル〟の薄給しか用意されないとの話も伝わっており、プロと二足のわらじを強いられる大変な役回りの割には明らかに見合っていないという現状もある。選手たちが侍ジャパンへの参加に強い魅力を感じるような土台作りを再度行っていくことは急務だ。

これらの足がかりを作る意味でも侍ジャパンは何とか5日の初陣からフルスロットルで熱い戦いを見せ、世界一に突き進んでほしい。いざ、フタを開けてみればプレミア12は大きく盛り上がっていたという流れになれば侍ジャパンにとって東京五輪・金メダル奪取へのプロローグとなる。

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