先日、延期が妥当と指摘した、2020年度から始まる大学入学共通テストで予定していた英語の民間試験の活用が、実施5ヶ月前の1日に延期が表明されました。萩生田文科相は、延期を表明した会見で「(実施)団体任せにした点も反省しなくてはならいない。」「当然文科省にも責任がある」と述べました。
萩生田文科省の「身の丈発言」によって、以前から指摘されていた、受験生の住む地域や経済状態で格差が避けられない新制度の問題点が浮き彫りになって、方針転換をせざるを得なかった、ということだと思います。1年かけて検討し、2024年度の共通テスト全体の見直しと合わせて、新しい試験制度を始める方針、と報じられています。徹底的に見直しをしてもらいたいと思います。
そもそも、民間団体との協定が、契約や委託ではなく、文科省に試験の実施について命令する権限はなく、団体は利益を考えるので対応は限られた、という指摘があります。9月には、全国高校長協会が導入延期を要望したり、異例の事態になっていましたが、一度決めたら変えられないことが問題だと思われます。
英語を民間試験の活用で「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価することを目指して、高校の教育もそれに沿ったものに変えようということでした。しかし、高校教育を変えるには、入試だけでなく学習指導要領の見直しなどでもできることではないでしょうか。
延期されたことで、今回導入しようとしていた民間試験の活用は難しくなるのかと思います。もっと抜本的には、日本の大学が入試は難しくて、大学時代は社会に出る前のモラトリアム期間として遊んでしまう学生が多く、入学すれば卒業はわりと簡単にできる、というあり方が、おかしいと思います。
欧米の多くの大学のように、入るのはわりと簡単で、しっかり勉強しないと卒業は難しい、という仕組みの方が、大学に行く意味があると思います。これだけ大騒ぎをして、受験生や高校、大学を混乱させたのですから、抜本的な見直しにつなげてもらいたいものです。
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- 2019年11月03日 19:39