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チュート徳井再起の道は「国税庁の広報大使」だ

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■世間の税に関する興味は高まっている

3年前、各国首脳を含む著名人らとタックスヘイブン(租税回避地)の関わりを明るみに出した「パナマ文書」が公表され、多くの人が「税金逃れ」の実態を知ることとなった。名だたる企業であっても、合法的に日本に納税していない企業もある。知恵があってお金があれば、納税を免れてもいいのか。今、納税に関する倫理観が問われているともいえるだろう。

筆者は、以前、近畿税理士会で租税教育推進委員を務めていたことがある。自分が所属している支部の小学校や中学校で、税金についての話をするのである。

筆者が子どもの頃は、学校の教科書に税金のことが書かれていても、実際に授業の中で取り上げられることはなかった。消費税が導入されてから、子どもも、毎日の買い物する際に、消費税を身近に感じるようになったこともあるだろう。税に関する興味は高まっていると思う。

日本では、申告納税制度をとっている。そうはいっても大半がサラリーマンで、所得税は源泉徴収で給料から天引きされているので、税金を取られたという実感は薄い。一方、個人事業主や、中小企業のオーナー経営者は、自らが申告書を作成し、納税しなければならない。汗水たらして稼いだお金は、税金で払うよりも、1円でも多く自分の手元に残しておきたいと思うのが人情というものだろう。

■無申告は記者会見での謝罪で済ませられるものではない

昨今、誰かが何かのきっかけでやり玉に挙げられると、追い打ちをかけるように、SNSに書き込みがなされる。書いている人は全員聖人君主かというと、そうではないだろう。誰しもたたけば埃(ほこり)が出るのではないのか。

今回の徳井さんの件は、法律で裁けるものなら、裁いてもらった方が世間の留飲が下がってよかったのかなと思う。いつまで自粛すれば世間は許してくれるのだろか。

女性関係が原因で活動を自粛していたあるタレントは、大御所にそのことをいじられ、以降それをネタにして、仕事を再開させているという例がある。タレントではないが覚醒剤で逮捕されたが、ダルクで覚醒剤を断とうとしている人たちのための活動をしている人もいる。

納税の義務は、日本人、誰もが守るべき憲法にうたわれている。その納税を怠ったことと、私的に女性問題で休養していたことを同レベルで議論してはいけないだろうとは思う。また、覚醒剤の使用も、個人的な問題であり、直接、他人に迷惑をかけているわけではない。

重ねて言うが、納税は小学生でも知っている日本国民の三大義務の一つなのだ。だからこそ、会社を設立してからずっと期限内に申告をせず、納税を怠ったことについて、しおらしい顔をして記者会見で謝罪することで済ませられることではないと思うのだ。

■いっそのこと吉本興業は国税庁のPRを受注したらどうか

11月11日から11月17日までの一週間は「税を考える週間」である。国税庁は国民に税についてもっと関心を持ってもらおうという趣旨でさまざまなイベントを開催している。毎年、多くの予算をつけて開催しているイベントが本当に税について考えるきっかけになっているのかというと、必ずしもそうではないように思う。

筆者は、ここで、無謀な提案をしたい。

国税庁はポスターや映像などを通じて、広報活動に尽力している。

しかし、そんなありきたりな広報活動では、適正・公平な課税の実現を目指すことは難しいのではないか。

最近は、テレビを見ない人が増えているようだが、「しくじり先生」なる番組がある。一世を風靡(ふうび)したタレントが一転しどん底を体験し、その失敗談に学ぶというものである。「人のふり見てわがふり直せ」ということわざがあるが、そういう学び方がある意味、有効であると思える番組だ。

売れっ子タレントの闇営業や納税逃れが、次々に発覚したことで、吉本興業は所属タレントの教育をやり直さなければならないと発表した。何をどこまでやるつもりなのだろうか。

そこで、いっそ、吉本興業が国税庁の広報PRを受注するというのは、どうだろうか。

■反面教師として国税庁の広報を行うことで社会復帰を

徳井さんが、

「僕と同じような過ちを犯す人が無いように、これから僕は、国税のPRに協力します!」

と、国税庁の広報を行うのだ。納税を怠った反面教師となることで、社会に復活するというプランを提案したい。それを、ボランティアで行うことにすれば、徳井さんの株は再上昇するかもしれない。

現在、筆者は、「真面目だけれど、お客さまである経営者とコミュニケーションの取り方が分からない」という税理士のための本を書いている。徳井さんの事件でも、税理士とコミュニケーションが取れていなかったことが指摘されていた。

「最低限、これだけはしておかないといけないんですよ!」というふうに、指導できる税理士でないと値打ちがないだろう。

■失敗談を語ることで適正・公平な課税の伝道師になってほしい

本来、税務行政についての広報活動は国税庁の仕事である。筆者は、『税務署は見ている。』を出版したことにより、国税の実態を全国の納税協会や法人会、税理士会などで、講演するようになった。そんなふうに、国税庁から頼まれてもいないのに、税について、地道に一人広報活動を行っている。

徳井さん! 芸能活動を再開されるのは、いつになるのかわからないが、ぜひ、「ビーバップ! ハイヒール」で復帰してほしい。“かしこブレーン”としてレギュラー出演されている筒井康隆先生も、徳井さんの才能を封じ込めるのはもったいないとツイートされていた。

そして、飯田をゲストに呼んでほしい。これ以上、他局でいじられることがないくらい、番組でいじって、それ以降は、ご自身の失敗談を語ることで適正・公平な課税を目指してもらう、伝道師として活動をし続けてほしいと願っている。

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飯田 真弓(いいだ・まゆみ)
税理士
元国税調査官。産業カウンセラー。健康経営アドバイザー。日本芸術療法学会正会員。初級国家公務員(税務職)女子1期生で、26年間国税調査官として税務調査に従事。2008年に退職し、12年日本マインドヘルス協会を設立し代表理事を務める。著書に『税務署は見ている。』『B勘あり!』『税務署は3年泳がせる。』(ともに日本経済新聞出版社)、『調査官目線でつかむ セーフ?アウト?税務調査』(清文社)がある。
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(税理士 飯田 真弓)

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