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平成24年6月19日

[手探りの戦い]

 いよいよ会期末直前となり政界には疑心暗鬼の渦があちこちにできているようです。

 私の主張は至って単純です。「民主党は実現不可能であるとわかっていたマニフェストを国民との約束として政権を取った。解散を求めることにより詐欺取消しあるいは契約解除を実現するべきだ」「ただし私たちの対案を国民に示し、保守の理念に基づき民主党との差別化を図らなければいけない」というものです。

 今回の税と社会保障の一体改革についての与野党協議では、この「解散をどう求めるか」「民主党と違う案をどう出すか」ということに主眼を置くのが筋でした。しかし自公民三党は実務者レベルで合意案をまとめました。

 確かに、税の直間比率の是正や長期的な財政健全化を図って国難を回避することは必要で、消費税率の引き上げ自体は私たちも所得税法等一部改正法附則104条を決定した以上覚悟をしています。しかし、前回のこの欄に書かせていただいたとおり、それは社会保障だけでなく他の領域も含めてきちんと歳出削減を行い、経済成長を確保して国民に過度の負担を押し付けない案でなければいけません。そして自民党ならではの高いハードルを掲げて、民主党が同意できないところで野田政権を解散に追い込むのが基本戦略だと私は考えていました。

 しかも、自民党が民主党に抱き着かれるようなことがあれば、それは改革方針を掲げた維新の会などの第三局を選挙で利するだけで国益を損ないます。

 最も問題なのは、この合意が日本の未来にとっても私たち党の浮沈にとっても極めて重要な意味を持つにもかかわらず、党執行部が一任を受けていたということを根拠に、総務会の決議のみで決着されようとしていたことです。

 私は合意がなされる直前の15日金曜日午後6時からの臨時総務会に乗り込んで、決定の前には全議員・支部長懇談会を行うべきだと(総務メンバーではありませんでしたが)オブザーバー席から強く主張しました。

 そして18日月曜日朝8時から全議員・支部長懇談会が開催されました。急な案内にもかかわらず本当に多くの方々が出席され、活発な意見交換がなされました。

 これら総務会及び全議員・支部長懇談会の詳細には触れませんが、今回の法案については国際社会も成否を注視していること、また、仮に解散を経て政権を奪還しても参議院とのねじれが続くことを考えればこの時点で最大限の譲歩を迫ったうえで合意しておいた方がよいことなどが執行部から説明されました。また、今回の社会保障制度改革推進法案(自民党案)の根幹部分は堅持され、年金、医療及び介護においては社会保険制度を基本とするという明文が残っていて民主党の最低保障年金を容認する余地はなく、後期高齢者医療制度についても現在の検討状況からして、新設の国民会議における抜本的な改正はあり得ないこと、かつ三党の確認書で年金や高齢者医療改革については三党での合意に向けた協議を義務付けること(そうなるとここでは党派にかかわらず合意できるセーフティーネット部分を決めることになる)、前記した国民会議は法律施行後1年以内に結果を出し、その後消費税の引き上げというスケジュールになるとされたことから、決して増税先行のプランではないことなどについて説明がありました。

 会議の参加者たちからは、民主党が「マニフェストを守った」などという主張をしているのはおかしいとか、取り沙汰されている民自大連立は打ち消してほしい、などと厳しい意見が出されました。私も「これがマニフェストの撤回少なくとも凍結を意味していることを充分説明し、広報してほしい」「ここで合意して解散戦略が描けるのか」と意見を言わせていただきました。谷垣総裁からは大連立の明確な否定と、あらゆる手立てを講じて解散に向けた努力を尽くすという決意が表明されました。(全議員・支部長懇談会後の私のインタビューがNHKニュースで取り上げられています。)

 今日になって実施された党の合同会議では税法における三党合意案が示されましたが、消費税増税に際しての景気弾力条項における成長目標値(名目3%、実質2%程度)が維持されるなど、ギリギリ容認できるものと言えます。結論として執行部への一任が取り付けられました。

 今後は民主党内の状況も含め、手探りの解散に向けた戦いがなされていくものと考えます。

 ここで見過ごせないのが衆議院議員定数削減など選挙制度改革に向けた動きです。民主党は小選挙区の0増5減に加え、比例定数の40削減、比例ブロックの全国化と一部連用制の導入などを提案してきました。

 自民党としても小選挙区の削減、比例定数の削減は既に細田政治制度改革実行本部長が具体案を示し、数字としてはほぼ民主党案と似たものとなっています。しかしなぜ衆議院で参議院と同じ全国比例制度を導入したり、民意を小選挙区勝利政党に不利に変える連用制を導入しなければいけないのかなど、首をかしげる部分が多過ぎます。民主党は本気で身を削り、解散の環境を整える気があるのでしょうか?

[福島警戒区域の現状]

 11日に小泉進次郎局長たち党青年局の有志たちと、今なお放射線レベルの高い福島第一原発の警戒区域の視察に行きました。痛烈に感じたのは、いまだ避難されている方々が多い中で復興がほとんど進んでいないことです。倒壊家屋もがれきもほぼそのまま。防潮堤や道路の整備、土地の境界画定などの作業もこれからで(境界画定の問題は15日の衆議院法務委員会で人権委員会設置法案などとともに法務省に質問しました)、町作りをどうするかの計画も行政からは示されていません。除染や補償の加速も必要です。「視察はもういいから早く実行に移してほしい」という現地の方の声や、浪江町の牧場で牛の安楽死を行政から求められながら懸命に世話をする方の姿が脳裏に焼き付いています。

 たとえ悪者になったとしても国が方針を自治体に投げずにきちんと決めること、情報の隠蔽を決して行わないことなど、様々な課題を実感しましたので、これを今後の活動に生かしていきます。

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