- 2019年11月02日 06:31
たけし&さんまが名コンビである理由 フジ三宅恵介Dが明かすリスペクトの関係
2/2■2人が久々に繰り出す“ボケ”
――あらためて、今回の収録はいかがでしたか?
「有名人の集まる店」は20年ぶりでしたけど、空気感や間は変わってないなあと思ってね。ファーっと一瞬のように当時が蘇る感じがして、その場にいるのがうれしかったですね。今回演出をやった渡辺琢も、20年前チーフディレクターをやっていたんですけど、「こうやってまたやることができて、感慨深いです」と言ってましたよ。“ガラケーのくだり”も、先ほども話したさんまさんが1個足す貪欲さの精神が変わってないことに感激しましたし。それと、今回やってよかったなと思ったのが2つあったんです。
1つは、20年以上前からやってる形だから、たしかにそれだけ見れば古いかもしれないけど、そこに村上くんが入り、今のアスリートが入るだけで、“今”になるんですよね。だから、あの関係性の設定があれば、中身を変えるだけでやっぱり今でも面白いんだということが分かったということ。それと、たけしさんとさんまさんの中に、村上くんが1人入るだけで“三角形”になるので、20年前とは違う伝わり方が出たなと思いました。
もう1つは、たけしさんとさんまさんの“ボケ”が久々に出たなと。2人とも、いまやそれぞれ看板で番組をやってると、ポジション的にはツッコミになるので、ボケをやってないんですよ。たけしさんは、所さんくらいの方がいればボケに回れるんですが、特にさんまさんは衣装を着てボケるっていうのは、やってないですからね。だから、お互いがツッコミながらボケて、さんまさんがウケるのを悔しがるたけしさんがかわいいなとか、そこに生き様が出るんだなあとあらためて思いましたね。
――逆に20年経っての変化はいかがですか?
当たり前のことだけど、久しぶりに貴子ママを見たら「やっぱり老けたなあ」と思いましたよ(笑)。僕、昔から痩せてて出っ歯の人が好きなんだって言ってて、さんまさんの女装がタイプだったんですが、アップは耐えられなかった(笑)。終盤になると、権ちゃんもお疲れでしたしね。でも、これはしょうがない(笑)
あとは、昔のことを覚えてないことが分かりました(笑)。でも、逆にそれがいいんですよ。昔やったことを覚えてると、そのイメージに合わせようとしちゃうから。忘れているほうが、今何が面白いかというのを考えて面白くなっていくんですね。だから今回、は2人は昔のVTRを見ないでやってるんです。
■いじめているように見えない技術
――20年の変化といえば、たけしさんもバツイチになって、さんまさんからたけしさんに離婚イジりができるようになりましたよね。
何が良いって、2人とも扮装してることなんですよ。これはわりと大事なことで、“ビートたけし”と“明石家さんま”で組むことがあっても、そうそうはツッコめないんです。だから、もし『さんまのまんま』にたけしさんが出て、同じ話をしても、どこか違う雰囲気になると思いますよ。
――貴子ママが権ちゃんに離婚をイジるから、思いっきりツッコんでいけるんですね。現実なのか設定なのか不思議な感覚です。
例えば、村上くんは権造の息子という役割だから、ウソを言ったっていいんですよ。ゲストのアスリートの皆さんも、“お客さん”という役なので、どちらかと言うと、本当のことを言わなくてもいいんです。
――“暴露トーク”のような、最近のテレビの潮流とは一線を画しますね。
暴露トークも面白いんだけど、ちょっと負の気分が残っちゃうのが嫌なんですよね。収録の時にさんまさんにも言ったんですけど、ボケを演じる上手い人がいないから、暴露系になるとみんなでいじめてるように見えちゃうんです。ボケがうまく返せばそれが笑いになる。今回も権ちゃんと貴子ママでやり合ってましたけど、ごまかしたり、違うところに持っていくというボケのすごさがありましたよね。
――ドリンクを何杯も飲むはめになってしまう「CMコント」も、まさにそれですよね。
そうなんです。あれはCM収録で決めゼリフを言うために飲むんですけど、そのセリフがきちんと言えないから、うまくいくために結果として何杯も飲むというだけの話なんですよ。下手をすると、飲むさんまさんがいじめられてるように映る場合もあるんですが、一生懸命なあの“ボケの顔”で救われるんですよね。『ひょうきん族』でも、たけしさんがさんまさんを何度も水に突き落としたりしていましたけど、何事もなかったかのように「パァ~」ってやって全部笑いになるんです。
村上信五のツッコミは「素晴らしい感覚」
――あの2大巨頭の中に果敢に入った村上さんは、いかがでしたか?
彼はいろんな人と組んでやってきてるから、素晴らしい今の感覚でツッコんでくれましたよ。今回は、権造の息子という設定で出てもらいましたが、たけしさんが真面目な話をして、さんまさんが「オチないの?」って言うと、「この父ちゃん、真面目なことすぐ言っちゃうんですよ~」ってちゃんとフォローしてくれる。
――たけしさんが台本と違う名前を言いだしても、それに乗って対応していましたよね。
ああいう場面は、変にたけしさんに「台本と違うじゃないですか!」ってツッコミを入れちゃう人が多いんですよ。でも、確かに違うんだけど、台本を読んでないお客さんには関係ないですからね。今のツッコミって注意ばかりで、それが時代なのかもしれないですけど、たけしさんとさんまさんは、1回乗ってからツッコむんですよ。それは、相手を否定しないということなんですよね。
この前、内山(信二)が結婚しましたけど、さんまさんは『あっぱれさんま大先生』でも、子供たちの意見を否定しないで、大人ぶらないで同じ目線に立って、全部受け入れるんです。これは、実生活でも大事なことですよね。
――それって、実は今の時代に合っているツッコミのような気もしますね。
みんなそれをやればいいのに、全面否定から入るからね。一度相手の気持ちを考えてごらんってことなんですよ。だからさんまさんは「こんな食べ物が美味いわけないやろ…ホンマや!」って1回口に入れますから(笑)
――そのイズムを、自然と村上さんは継承していたんですね。
この収録の“三角形”を経験して、たけしさんはこう処理してくれる、さんまさんはこう処理してくれるっていうポジショニングが分かって、信頼性ができたと思いますから、生放送ではまた一段と成長していると思いますよ。
――そして今年も、三宅さんはたけしさんの中継コーナーを担当されますが、見どころを伺えれば。
今年の火薬田ドンは、テーマのスポーツにちなんだ花火を上げられたらいいなと思っています。それとは別に、「離婚体操」(※)を披露するので、それを見てもらって、スタジオのさんまさんなど離婚経験者や、結婚生活がうまくいってない人と絡んでいくなんてことを考えてます。みんな「離婚」ってネガティブに捉えていますが、お互いが良かれと思って別れるわけだから、いろいろ面倒くさいことあるかもしれないけど、新たな一歩を踏み出すために「離婚体操」をやって、心身ともにリフレッシュして前向きに行こうという体操なんです。
(※)…ビートたけしが、自身の離婚報道後初めての『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS)のオープニングで突如披露した体操
■やりたい思いを発信するテレビに
――今年の『27時間テレビ』は、原点に帰って3年ぶりに生放送中心ですね。
印象深いのは、オープニングがあって、最初のコーナーが『令和教育委員会』なんですよね。昔、たけしさんと逸見(政孝)さんが『平成教育委員会』をメインにこの特番をやっていましたから。その時に生まれた企画が、さんまさんの愛車の“車庫入れ”だったんですよ。
それと、生放送なので、やっぱり流れを大事にしなきゃいけないですよね。先ほどのツッコミの話と同じで、前に起こったことを否定するんじゃなくて、受け止めて、どうバトンを渡して最後にもっていくか。それができると、日本テレビとは違う、フジらしい番組になるのではないかと思います。『有名人の集まる店』のセットに、たけしさんとさんまさんがそろうのはすごいですが、それで満足しただけで終わらないで、そこから何かを生み出さないと意味がないんだよね。若い奴らに、そういう空気を感じてやってほしいですね。
――今回の復活をきっかけに、そういう流れができるといいですね。
今、SNSとかがあってテレビもいろいろ言われてるけど、自分たちがこうやりたいという思いをテレビが発信していけば、絶対伝わってくるはずなんですよね。この人を使ってこういう笑いがやりたいっていう思い。ある人が言ったけど、SNSは使い手が見たいものを選ぶ一方、テレビは選ばせる立場だから、その思いをいっぱい用意しておくことが大事なんですよ。ラグビーだって、あれだけの熱い思いがあるから、視聴率を獲るんですよね。
あと、今回の「有名アスリートの集まる店」は、我々がずっとやりたかった『笑点』の裏なんですよ。これは『ひょうきん族』のときから、たけしさんとさんまさんとよく言ってて、あの『笑点』の裏で「こういう笑いもあるんだよ」っていうのを提示したかったんです。それは、ドリフの『8時だョ!全員集合』(TBS)に『ひょうきん族』が立ち向かっていったようにという思いもあって、この枠でやりたいと総合演出の竹内(誠)にお願いしました。
――あらためまして、たけしさん、さんまさんと40年のお付き合いで、まだこうやって一緒にお笑いをやるっていうのは、感慨深いですよね。
いやあ、ありがたいことだと思いますよね。たけしさんにしろ、さんまさんにしろ、まだまだいろんなところで活躍されてらっしゃるから、自分が現役でやってるうちは誰かに勝手されたら腹立つと思いますけど(笑)
●三宅恵介
1949年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、71年にフジポニーに入社し、機構改革に伴い80年フジテレビジョンに転籍。
『FNSの日テレビ夢列島』『FNS27時間テレビ』のほか、『スター千一夜』『欽ちゃんのドンとやってみよう!』『笑ってる場合ですよ!』『オレたちひょうきん族』『ライオンのいただきます』『ライオンのごきげんよう』『タケちゃんの思わず笑ってしまいました』『心はロンリー気持ちは「…」』『あっぱれさんま大先生』『タモリ・たけし・さんまBIG3!世紀のゴルフマッチ』『たけし・さんまの有名人の集まる店』『明石家マンション物語』などを担当。
現在は『はやく起きた朝は…』『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』に加え、『ビートたけしのオワラボ』で監修。千代田企画代表取締役、日本大学芸術学部放送学科非常勤講師も務める。



