
[東京 1日 ロイター] - 自民党の岸田文雄政調会長は1日、都内で講演し、アベノミクスを評価する一方で、分配や持続性に課題があるとの見解を示し、成長戦略の重要性を強調した。安倍晋三首相からの指示に先立ち、補正予算と2020年度本予算や税制改正について政調幹部に指示したことを明らかにした。台風などからの災害復旧は単なる復旧ではなく、防災機能の強化が重要だと語った。
今年9月の党役員人事で政調会長就任3期目に入った岸田氏は、「長ければ良いというものではないが、政策責任者として存在感をしっかり示していかないといけない、という思いで取り組んでいる」と強調。「今の政権の取り組みを高く評価する立場だが、これから先を考えた場合、成長の果実の分配について色々考えていかないといけない」と述べ、分配面で課題があるとの認識を示した。
アベノミクスに関して「財政と金融を連動させて政策を進める基本的な部分は評価する。今しばらく続けていかないといけないと思う」と述べる一方、「マイナス金利や先進国最悪の財政状況を考えると、財政・金融の一体的取り組みで時間を確保している間に、生産性を高める成長戦略を進めないと、持続性の面ではどうだろうかと思う」と指摘した。
<補正は規定路線、首相指示に先立ち議論指示>
予算編成については「大きな災害が続発し、しっかり対応が必要で、補正予算の編成は規定路線になっている」と指摘。「12月20日ごろまでに議論を終える必要があり、安倍首相から指示は出ていないものの、政調幹部に対して補正予算、本予算、税制改正に向けて議論を始めるよう指示した」と明らかにした。
台風などの災害対策について「生業(なりわい)の再建は当然だが、今までにない災害の状況を前にして、復興も現状復旧ではなく、バージョンアップした改良復旧が求められる」との考えを示し、「先に備えることが大切で、国土強じん化、防災・減災の観点からしっかり取り組む必要がある」と述べた。
(竹本能文 編集:山川薫)