- 2019年11月01日 11:32
続々と出てきた「トランプのうそを暴く証言」- 海野素央 (明治大学教授、心理学博士)
2/2なぜFOXではなくCNNなのか?
テイラー代理大使はソンドランド駐欧州連合大使が、ゼレンスキー大統領にトランプ大統領と会談をしたとき、バイデン親子並びに2016年米大統領選挙における民主党全国委員会に関する調査について、「あらゆる手段を尽くす」というフレーズを使用するように勧めたと証言しています。
加えてテイラー氏によれば、ソンドランド大使は調査を実施しないと軍事支援が保留になり、米国とウクライナの関係が「膠着状態」になると、ゼレンスキー大統領に警告を発しました。
その結果、テイラー代理大使はゼレンスキー大統領が米CNNのインタビューに応じて、調査開始を表明することに同意したとも証言しています。これらは、ウクライナ政府に「脅し」と「圧力」をかけたことを裏づける証言とみてよいでしょう。
周知の通り、トランプ大統領はCNNに「フェイク(偽)ニュース」のレッテルを貼り、激しく批判しています。それに対して、保守系のFOXニュースには好意的なメッセージを発信しています。にもかかわらず、なぜゼレンスキー大統領をCNNに登場させて調査開始を表明させようとしたのでしょうか。
おそらくトランプ大統領には、CNNを観る民主党支持者及び無党派層に、バイデン親子の汚職疑惑を印象づける思惑があったのでしょう。彼らのバイデン前副大統領に対する不信感が増すことを狙ったのです。仮にそうなれば、バイデン氏は票を減します。
もうここまでくると、一国の大統領であるゼレンスキー氏は、完全にトランプ大統領の「選挙の道具」になっているとしかいいようがありません。
非公開から公開へ
民主党には「ロシア疑惑」の教訓があります。下院の6委員会が約2年半かけて疑惑捜査をしましたが、決定打を打つことができませんでした。
そこで下院民主党は、外交委員会、情報委員会及び監視・政府改革委員会の3委員会においてウクライナ疑惑を巡る弾劾調査を行い、短期決戦に持ち込む構えです。下院で弾劾訴追が成立し、上院でトランプ罷免に失敗しても、短期決戦であれば、民主党には2020年11月3日の投票日までに態勢を立て直す時間があります。
現在、下院民主党は非公開の聴聞会を行い、誰が最もトランプ大統領に最大のダメージを与える証言ができるのかを見極めています。その後、公開の公聴会を開催する予定です。
米メディアによれば、テイラー代理大使、マーシャ・ヨバノビッチ前駐ウクライナ大使並びにジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の3人が候補に挙がっています。仮にボルトン氏が証言することになれば、公聴会はホワイトハウスに対する「政治的恨みを晴らす場」になるかもしれません。
今後、下院民主党が公聴会を通じて「世論を一気に変えることができるのか」「中西部ミシガン州やウイスコンシン州、東部ペンシルべニア州及び南部フロリダ州におけるトランプ弾劾支持率を増やすことができるのか」「民主党候補の援護射撃ができるのか」がポイントになるでしょう。
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