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「地味ハロウィン」から学ぶ、"リアル"とは?

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お祭り騒ぎの脇で街を清掃するボランティアたちもいれば(第1回参照)、お祭り騒ぎの代わりに「地味ハロウィン」を楽しむ一群もいる。彼らは、派手なハロウィンの終焉の兆しだろうか。慶應義塾大学の小野晃典教授は、「そうでないにせよ、自分だけの“リアル”を見定められた彼らは、そうでない人たちが多様性を認識する契機になるだろう」という——。(第2回/全2回)


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel

インスタ映えに対するもう一つのアンチテーゼ

第1回では、ハロウィンが企業のマーケティングの手段として日本に輸入された後、現代的な祭りの機会を見いだしてお祭り騒ぎを行ってきたパリピたち、それに乗ってインスタ映えする光景を求めて参加するパンピたち、そして、祭りによって汚された街を清掃するボランティアたちがハロウィンに求める三者三様なリアルさについて論じてきました。

最後の清掃ボランティアが、注目点かもしれません。ツイッターで語られるゴミ問題を契機として集まった彼らは、お祭り騒ぎにインスタ映えを求めるパンピたちと同じく、清掃に参加することでリア充を実感しているはずですが、「インスタ映え」を狙うという下心があっての偽善的清掃者ではなさそうだという点においてです。

第2回では、そんな清掃ボランティアに匹敵するような、もう一つのインスタ映えのアンチテーゼについて論じていきましょう。

ハロウィンの清掃ボランティアたちは、インスタ映えを狙ったハロウィンの大騒ぎにアンリアルでフェイクな感覚を抱いて、自分がよりリアルだと感じる清掃という道を歩むことにしたのだろうというわけですが、それと同様の感覚に基づいて、別の道を歩むことにしたのであろう人たちがいます。それは、「地味ハロウィン」のイベントに集う人たちです。

地味ハロウィンとは

「地味ハロウィン」は、魔女やゾンビの衣装を着て騒ぎ立てたりはせず、それゆえに、インスタ映えを狙ったりもしないけれども、ハロウィンは楽しそうなので、等身大の地味な仮装に工夫を凝らして、その仮装を鑑賞し合うことによって知的に楽しもう、というイベントです。

ハロウィンの仮装は、元々、収穫祭のこの時期に先祖の霊と共に降臨する悪霊を退散させるためにカボチャの実をくりぬいて作ったジャックオランタンに火をともす一方、それでも近づいてくる悪霊をやり過ごすために悪霊の仲間を装う目的で行われるのだそうです。

それなのに、地味ハロウィンは、「魔女やゾンビは禁止、カボチャも禁止」です。このルールは、元来の趣旨から逸脱してしまうということを意味します。

このルールのせいで、イベント会場を訪れても、ハロウィン本来の雰囲気を味わうことはできません。インスタ映えとは無縁な、説明がないと何の仮装をしてきたのかさえ分かりにくい、きわめて地味な仮装者同士が、お互いにニヤリとした笑いで盛り上がるだけなのです。

それにもかかわらず、このイベントは、5年ほど前の初開催以降、年々、ツイッターのリツイート数を増やし、イベント参加者数も伸びているし、東京会場を阿佐ヶ谷から“派手ハロウィン”の最大拠点といえる渋谷に移すと共に、いくつかの地方会場においても同時開催するという盛況ぶりをみせています。

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