- 2019年10月30日 17:00
富士山でニコ生配信中の登山者が遭難 禁止にも関わらず絶えぬ危険登山に苦悩の声

富士山に登る様子を動画撮影し、生配信していた男性とみられる登山者が滑落、遭難した恐れがあることが報じられた。
登山者は28日午前10時30分からニコニコ生放送での配信を開始、午後2時半過ぎに滑落する様子が流れ、複数の視聴者が110番したという。静岡、山梨両県警は登山者が遭難したと見て捜索。30日午後、富士山の標高3000m付近で身元不明の男性の遺体を警察の山岳遭難救助隊が発見し、確認が急がれている。
■9月11日以降の富士山は冬山 「禁止はできないが…」と関係者は苦悩

ネット上では登山者の行動に対し「なぜこの時期に登ろうと思ったのか」と疑問の声が上がっている。
9〜10月は標高1000m未満の低山ならば、秋のハイキングシーズンとして、登山にうってつけの季節かもしれないが、標高3,776mの富士山の開山期間は、山梨県側では7月1日〜9月10日、静岡県側では7月10日〜9月10日の約2ヶ月間のみ。11日以降、「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、区間を定めて、道路の通行を禁止し、又は制限することができる」とする道路法第46条に基づき、両県は富士山の登山道を閉鎖している。
しかし、「登山」という行為自体は禁止することができない。そのため、環境省と両県で構成される「富士山における適正利用推進協議会」は、遭難・死亡事故を防ぐためのガイドラインを規定。
・万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山「禁止」 ・夏山期間以外については、「登山計画書」を必ず作成・提出すること ・山中のトイレが使用できない夏山期間以外において、万全な準備をした登山者が登山を行う場合、携帯トイレを持参して、自らの排泄物を回収し、持ち帰ること
としている。
山梨県世界遺産富士山課は「ガイドラインがあるからと言って、閉山中の登山を認めているわけではない。あくまで遭難、死亡事故を防ぐためのものであり、非常に危険であることには変わりない」と指摘する。
富士宮市観光協会は、閉山期間中の登山に関して問い合わせがあった場合、「絶対に止めるように」と呼びかけている。「今の時期でも富士山はもう『冬山』。経験豊富な人間にとっても非常に危険」(同会)だが、閉山に合わせて山小屋の管理者も下山するため、無謀な登山者の把握は難しいという。
■動画撮影をしながらの登山は夏山でも危険 自撮り中の死亡事故は世界的な問題に

今回遭難したと見られる登山者の服装が軽装であったことを指摘する声も、動画視聴者などの間から上がっている。
同協会は「シーズンに関わらず動画の撮影をしながら山を登るという行為が、そもそも非常に危険です。登山道の途中には岩がむき出しの部分も多く、足元を見ずに歩くのは”歩きスマホ”と一緒。転倒や滑落の危険性が非常に増し、命が奪われる危険につながる」と警鐘を鳴らす。
観光地でのセルフィー(自撮り撮影)が原因による死亡事故は世界的にも問題となっている。今月6日にはインド南部タミル・ナドゥ州のパンバル・ダムでセルフィーを撮ろうとした家族が水に流され、4人が亡くなる事故があったことをBBCなどが報じた。
2018年9月に発表された国際調査では、11〜17年の6年間で、セルフィーによる137件の事故が起き、259人が死亡したという。
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