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【読書感想】8050問題の深層: 「限界家族」をどう救うか

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 40代、50代の未婚の親同居者は、単身世帯に比べて経済的に苦しい人が多い。2015年に公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構がおこなった2083人を対象にした調査によると、年収100万円未満の人は男性25.4%、女性38.5%だという。

 非正規雇用者は男性19.6%、女性34.7%である。無職は男性18.7%、女性20.3%にのぼる。このように、親と子が同居しているとはいえ、子ども世代は経済的に弱い立場に置かれているので、親が衰えたり病気になったりすれば共倒れしかねない。

 このような子ども世代の苦境が大きく表れる層の1つが、現在の40代だ。バブル崩壊の初期に大卒で就職を経験した若者は、そろそろ50歳に手が届く(1991年度に大卒で新卒採用になった人は、2019年にほぼ50歳になっている)。それ以降、2003年ごろまでに就職活動の時期を迎えた世代を「就職氷河期世代」と呼び、およそ現在の30代後半から40代に重なる。この数年間、8050問題やひきこもりの高齢化が問題化してきたのは、こうした世代の動向が大きく影響していると考えられる。

 超高齢になった親を高齢の子どもが介護する「老々介護」というのが珍しくない時代なのですが、「ひきこもっている子どもたち」も次第に高齢化してきているのが実情です。

 そして、「家にひきこもっている子どもがいるから」と、その親が、家に外部から介護者を入れるのを拒む、という事例もみられてきています。

 そんなの「恥ずかしい」なんて思う必要ないのに、と言われても、本人たちは受け入れられない。

 2014年4月、ある老親の死が、娘の逮捕という結果に至った。愛知県名古屋市で母親(76歳)と暮らしていた娘・C(43歳)が、母親が意識不明となったことを誰にも連絡できず、保護責任者遺棄致死罪に問われたのである。母親は脳内出血で意識を失ったが、Cは外部に助けを求めることができなかった。母親は死亡し、Cは逮捕された。

 Cは小学校6年生のとき、周囲に容姿をからかわれて不登校になった。以降30年以上自宅にひきこもり、外出したのは10代後半に病院に行った一度きりだったという。事件の12年前に父親が亡くなってからは、母親と二人暮らしだった。母親の年金や貯金を取り崩して生活してきた。

 しかし事件のあった年の春、認知症が悪化した母親は自宅で転んで骨折し、外出できなくなった。Cは介護や買い物の必要性に迫られ、恐る恐る外に出はじめたという。
 
<32年間のブランク。何も分からん。何もできん>

<行けた、〇〇(スーパーの名前)>

<レジで質問されて答えられなかった。話しかけられると緊張する>

 当時の日記にはこうした言葉がつづられ、緊張しながら社会との接点をもとうとする姿勢がうかがわれた。そして事件が起きたのは、Cが外出を始めて1か月たったころだった。

 裁判で、検察官から母親が意識を失った際の心境を聞かれ、「母は助けてほしかったと思う。でも、人と会う怖さが勝った」と語っている。Cは6日たってから市内に住む親族の女性に「母親が息をしていない」と連絡し、事件が警察に伝わることになった。

 判決は、事件までCが母親の世話をしていたこともふまえ、懲役3年保護観察付き執行猶予5年となった。Cは裁判で、「ひきこもりから立ち直れず母につらい思いをさせ、申し訳ない気持ちでいっぱい」と話したという。

 これを読むと、「もう少し、お母さんが病気を発症する時期が後で、Cさんが他者とのコミュニケーションに慣れていれば……」と思いますし、この状態にある人に罪を問うのは妥当なのか、と考えずにはいられません(だからこそ、執行猶予になったのでしょうけど)。

 むしろ、お母さんがひとり暮らしで、お母さんが定期的にデイケアに行ったり、近所の人が様子を気にかけていたりすれば、もっと早く見つかっていた可能性もあります。

「家族」で暮らしているからこそ、周りからは介入しずらくなり、孤立が深まってしまう、ということもあるのです。
 
 親は、なるべく子どもをサポートしたい、社会に「迷惑」をかけたくない、と思っている。

 でも、多くの場合、先に寿命が尽きてしまう親にできることには、限界があるのです。

 そもそも、「家庭」の機能不全が珍しくないのに、この問題を家庭単位で解決するのは、あまりにも酷な話でしょう。

 ひきこもり問題が若年層特有の課題としてとらえられてきた時代もあった。しかし、先に述べたような複合的な理由から引きこもり問題は明らかに長期化・高齢化しているため、問題はより複雑化し、社会から孤立する人に支援のアプローチを試みることは容易ではない。

「どこまでが親の役割なのでしょう」

「老親介護のために仕事を辞めた人はどうやって社会復帰したらいいのですか」

「親子関係に不安をもちながら、長い老後をどう生きていけばよいのでしょうか」

 親子共倒れのニュースが報じられるたびに、人々の声を代弁した質問が記者の方から投げかけられるようになった。現代の日本において、社会的孤立はすぐ隣にある。そのことを実感している。

 まさに、他人事ではない「8050問題」。

 ひきこもりのきっかけになる、失職や親の介護での離職や離婚なんて、誰にでも起こりうることでしょう。

 しかも、これからの人口動態を考えると、こういう「家族」は、しばらく増え続けていくのです。

fujipon.hatenadiary.com

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