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(追悼)緒方貞子さんに見る「文系博士人材」の可能性

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4●単に戦前の日本に単に「反省しろ」という視座からは、米中対立も北朝鮮問題も解決できない


ともあれ、例えば東アジア(特に日韓関係)で出口の見えない対立が続いている歴史問題ですが、これもとにかく「イデオロギー」を「多面的な現実理解」に置き換えることでしか解決できません。

なんか、こういうことを言うと、リベラルの人は「そうだそうだ、知的な私たちリベラルは常に”多面的理解”をしているが、あのアホなネトウヨどもは事実関係を全然理解してない独善的なカスどもでホント困るよねー!!」みたいな感じのことを言ってるように誤解されるんですけど・・・

個人的には「そういうリベラル側の態度」が持つ隠れた独善性の方が、今の時代見過ごされているぶん深刻な問題がある

と私は考えています。

これはブログ一回で述べられるような話じゃないし本能的反発も招くような内容なので慎重に聞いて欲しいんですが。

単純に言うと、

単に戦前の日本に「反省しろ」というだけの視座からは、米中対立も北朝鮮問題も解決できない

んですよね。

物事をアカデミックに徹底的に多面的に見ようとしていった先で、昔も今もちゃんと考えなくちゃいけない課題は、

「当時の国際社会の力学」が厳然と存在している中で、その中で欧米社会から周縁化されてしまう存在(当時の日本、今の北朝鮮やある意味で中国共産党)が暴走しないようにするにはどうしたらいいだろうか?

・・という問いであるはずなんですよ。

緒方さんの論文は「そういう視点」が深いところにある感じがして感動したんですよね。

単なる「犯人探しと糾弾と懺悔の強要」が暴走するのとちゃんと抑止した上で、「その地域トータルで見て紛争が解決するにはどうすればいいか?」について考えている印象で。

そういう人だからこそできた難民問題へのアプローチというのもまたあったはずだと思われます。

「欧米社会側」からその「外側」をただ単純に断罪してハイ終わり・・・とかいう「よくわからない理由で世界征服を目指す悪の組織が出てくる子供向け漫画」レベルの世界観では結局自分の「逆側」にいる人間を糾弾したり罵りまくったりすることしかできない。

当時の日本について、国内のいろいろなプレイヤー・・・だけでなくさらに国外の国際列強の色んなプレイヤー同士の相互作用を多面的に分析していくこと。

それによって実現されるべきことは、「犯人探しと糾弾と懺悔の強要」みたいなのじゃなくて、「どうしたら国際社会から周縁化された存在が暴走しないで済むようにできるか」についての冷静な分析であるべきです。

そういう視点から見た「本当のフェアネス」に基づいて、韓国側の主張の中に含まれている「フェアな部分」と「韓国側の盲目的なナショナリズム」にあたる部分をちゃんと適切に分離して扱うことができれば、やっと日本の保守派側が「過激化する真因」の方から解決できるわけです。(→この話についての詳しい話はこちらのリンク先記事をどうぞ)

日韓歴史問題とか言うときにリベラル勢力は「韓国人の気持ち」の話はするけれども、「日本側の保守派の気持ち」は無視されて当然だと思っている感じなのは、真剣に良くないです。

なぜなら、そういう視点になっている時点で、今度は現代において、北朝鮮や中国共産党と”欧米側にいる社会”が対話することも不可能になるじゃないですか。

だから単純化して言うと、「日本のネトウヨさんをバカにする態度」を取ってる時点でダメなんですね。そういう世界観では、結局現代においては北朝鮮や中国共産党に対してどういう態度で望めばいいのか、どうすれば人類は戦争をせずに済むのか、が全然見えてこないからです。

これは別に旧日本軍が進出先で完全に品行方正で悪いことしてないとか、我が軍の持つアジア解放の大義の前に大東亜の人民は歓呼の声で迎え入れたのである・・・とかそういうことを言いたいんじゃないんですよ。

「単純化して誰かを糾弾」して「自分はその罪の外側にいる」と思っている時点で、そういう態度じゃあ「戦争の再発防止」は絶対できないってことです。

私の新刊「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」からの図を引用すると、




日本のネット右翼さんの発言に対して、単にその事実関係を指摘して云々するだけじゃ足りないんですね。

そういう感情的ムーブメントが厳然としてそこに存在することを理解して、相手側の立場を、自分たちの理想から見てもOKな世界観で代理的に解決する姿勢が必要なんですよ。

欧米社会が人類のGDPのほとんどを占めていた時代は終わり、中国人13億人と、多くの発展途上国が「中国モデル」での国の発展を目指し、「民主主義とかもう終わった制度じゃない?」とかいう声が地球に満ち満ちてきつつある時期には、むしろ「欧米文明が周縁化してしまったその外側」で起きている現象に対して、「断罪でない対話」をしていくことが必要になっているんですよね。

その中で、「欧米文明の外側で生きている人たち」でも「主体的に受け入れ可能な世界観」をいかに構築できるか・・・欧米文明が持つ独善性を中和しつつ、欧米文明が持つ本当の理想は捨て去らずにいられるか・・・そういうチャレンジが放置されていることが、今リベラル側から見ると「日本の右傾化」的な問題として生起しているわけです。

ちょっとブログ一回で述べられる話じゃなくなってきたので、もしこの話にご興味があれば以下の記事↓をお読みいただければと思います。

この視点にみんなが立つまでは決して解決しないで紛糾し続ける・・・東アジア問題に関する「メタ正義」的解決について

ある程度以上に「多面的に」ちゃんと物事が見れるはずの人には当たり前な視点だと思いますし、結構熱烈な反応もいただいております。

「この形」以外の形式は果てしなく感情的対立を激化させるだけに終わることが、最終的に「この形の理想」へと人類を導くと私は感じています。だからこれを読まれてる日本の保守派の方がいらしたら、妥協せずもう少し頑張っていただければと思っています(できれば関係ないヘイトとかは可能な限り減らしていただけると助かります)。「今のあり方」から「次の着地点」へとジャンプするためにも。

世界中の「意識高い系」の論理から断罪されても前に進もうとするあなたがたのチャレンジは、いずれ「あたらしい着地点」を人類にもたらすでしょう。

こういう「視点」から、資本主義vs共産主義みたいな極端から極端へのイデオロギー闘争を超えて、日本社会を「みんなで豊かになる」社会へ変えていくための提案については、以下の記事↓をお読みください。

みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?

この記事への感想など、聞かせていただければと思います。私のウェブサイトのメール投稿フォームからか、私のツイッターに話しかけていただければと。

倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
公式ウェブサイト
ツイッター

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