記事

精子情報を提供する婚活パーティーが大盛況 参加男女に直撃

みなさんは、結婚相手を選ぶとき精子や卵子の「生殖能力」を事前に知りたいだろうか――?

晩婚化や女性の社会進出が進むにつれ、出産年齢も上がった。それにともない不妊に悩む人も増え、不妊検査や治療したことがある人は、夫婦の5.5組に1組にのぼるなど、社会問題となりつつありる。

そうした背景を踏まえ、メディアでも卵子や精子の老化などが取り上げられるようになり、「子どもを作る力」に注目が集まるようになった。

妊娠を希望している人の立場から考えれば、相手の生殖器の状態を事前に知り、「子供を作る力」を互いに確認しておく方が合理的だ。

しかし、そのように交際を開始するカップルは未だかつて見たことがない。

そんな中、男性が精子情報を提供するという婚活パーティーが開催されると聞き、私は現場に向かった。

「精子の情報」を開示した婚活パーティが大盛況

2019年9月28日夜、「〜子孫を残すことに特化したハイスペック婚活パーティ〜ハイ婚〜」という名の婚活パーティーが某所で開催された。

工藤まおり

一見、通常の婚活パーティーと変わらない。最初に全員の異性と1分間会話をし、その後フリータイム、次にミニゲームを行い、再度フリータイムをはさみ、最後に気になった異性の名前を提出する流れだ。

しかし、1点大きく異なる点がある。それは名札だ。男性は自分の名前や趣味とともに「精子状況(精子濃度、運動率)」を記入した状態で婚活パーティーを行うのだ。

工藤まおり

男性は、当日までに簡易精子検査キット『Seem(シーム)』を使い、スマートフォンで精子の濃度と運動率を検査して数値を把握しておく。そしてイベント当日に検査結果の数値を名前の下に記入し女性に開示する。

参加金額は、女性が3000円に対し、男性は8000円(約4000円の検査キット代を含む)。ちなみに女性側の生殖情報に関しての情報開示はない。

女性席は約1週間で満席になったという。反対に男性席は、イベント当日ギリギリ定員に達したようだ。

「男性が精子の状況を知るキッカケにしたい」。

今回のパーティーの主催者であり、精子についての情報発信を行っているYouTuberのおおさきさんは「私自身、もともと精液中に精子がほぼいなかったんです」と自身の経験を語る。

工藤まおり

「関係のあった女性にある日、『精子、薄くない?』と言われ、気になって自宅で検査できるキットを購入し、チェックしてみたんです。すると本当に自分の精子が見当たらず、ショックを受けました。私は元保育士で、子どもが大好きですし、もちろん将来自分の子供を望んでいましたから。

今は体質改善を行い、運動率も濃度も基準値以上にはなりましたが、その経験から、男性も早期に精子を検査した方が良いという情報を発信しようと決めました。

でも、男性にとって精子検査をしに病院に行くことは抵抗感がある。どうしたらもっと検査へのハードルを下げるのかを考えたときに、恋愛と絡めてみようと思ったんです。この婚活パーティーを通して、まだ妊娠を考えていない男性も自分の精子状況を知るキッカケになればと思っています」

子どもの予定がないうちに精子の状況を確認したい。

おおさきさんの狙い通り、参加男性に話を聞くと、「精子の状況を見てみたいと思った」と、精子を調べることに対して面白みを感じたことが参加の決め手になった男性が半数を占めた。

参加した20代後半のリョウ(仮名)さんは、

工藤まおり

「婚活目的というより、精子を知るという点が面白かったので応募しました。そういう機会がなければ、中々自分の精子の状況を知る機会がないので」と参加動機を話す。

「精子を調べることに対して、抵抗感はなかったのか?」と聞いたところ、リョウさんは、「逆に、結婚した後に精子の状況が悪いということを知る方が嫌じゃないですか。まだ結婚を考えていない、子どもの予定がないうちに精子の状況を確認したかったんです」と答えた。

精子情報は、恋愛にどう影響するのか。

一方、女性側に参加理由を聞くと、「すぐに子どもが欲しいわけじゃないけど、いずれは考えているので参加しました」という声が多かった。

工藤まおり

31歳のヨウコ(仮名)さんは、

「周りの友人が、妊娠できないのを理由に離婚に至ったケースがいくつかあったので、事前に知っておく大切さを感じ参加しました。

今日会った男性の中にも、精子の運動率が少ない男性がいました。今まで授かりものなので、そんなに意識はしていなかったけど、現実に妊娠しにくい男性もいることを改めて実感しました」と答える。

ヨウコさんに「男性を選ぶ際、精子の状況は影響するのか?」と聞いたところ、「結構優先順位は下の方です」ときっぱり答えた。

「0だったら少し気になりますが、精子が元気ないからといって恋愛対象ではないのか?と聞かれたらそれは違います。それよりも大切なのは、話しやすさとか清潔感です。いくら、運動率と濃度がいいからといって、私にも相性が合うとは限らないです。なので、優先度は高くないですが、大切なひとつの事柄として考えています」

確かに妊娠希望の女性からしたら、精子状況が良い男性の方が妊娠の確率があがるだろう。しかし、そもそものお互いの相性自体がよくなければ本末転倒だ。結婚生活を共にすることは難しい。精子と卵子の相性の前に、自分と相手の性格の相性の方が何より大切に感じる。

精子の情報は出してもいいが、女性の卵子情報は知りたくない。

今回取材するにあたり気になっていたのが、「”男性のみ精子情報を公開し、女性の卵子情報は非公開”は不平等と考える人も中にはいるのでは?」ということだった。

工藤まおり

そこに関して男性参加者に聞いたところ、ほとんどの人から「確かにフェアではないと思うが、女性の卵子の情報は知りたくない」という返答が返ってきた。

参加者のカズキさんは、

「自分は精子の結果とかをそんなに気にしないですけど、女性にとって子供が産めるか産めないかはかなり重たい問題だと思うので、付き合う前には知りたくないです」と答えた。

また、女性側に「女性側だけ把握することに対してどう思うか?」を問うと、「申し訳ないと思うけど抵抗がある」という回答が多かった。

ウミさん(仮名)は、自身が過去に妊活をしていた経験があると振り返った上でこう話す。

「妊活で卵子の生殖能力を検査をしたことがありました。その時の結果を知らされる辛さを知っているから、このような会で公開することは極力したくないですね。もし女性が公開し男性が非公開という内容の婚活イベントがあったとしたら、否定はしませんが私は参加するのはちょっと嫌です」と答えた。

精子は、生活習慣によって数が増えることがあるが、女性は胎児の時に一生分の卵子のもととなる原始卵胞が作られ、それは年を重ねるほど減っていく。減ることはあっても、数が増えることはない。

女性の各年齢における卵子の数の変化


そういった経緯もあり、男性に比べ女性の方はセンシティブになるのかもしれない。

実際に数値が低かった男性に、「結果を見てどう思いましたか?」と聞いたところ、「体調によって変わるみたいだから、そんなに気にはならなかったです」と、さらりと話す男性が多かった。

精子情報を公開してもいいけど、卵子情報を知りたくない男性と、 精子情報は確認したいけど、卵子情報は公開したくないという女性。

不平等さは感じつつも、参加者のニーズは上手く噛み合ったイベントと感じた。

恋愛において精子は重視しないが、妊娠について考えるキッカケに

イベント最後に、女性にどういう男性が気になったかを聞いたところ、ほとんどの女性が、相手の精子状況をそこまで注意深く見ていない様子だった。

まだ好きになってもいない男性と、未来の子供について考えるのは少々タイミングが早かったのかもしれない。

しかし、今回の婚活パーティーをキッカケに、自分の精子をチェックする機会がなかった男性が、自身の精子を調べることになったのは、非常に良い機会になったと思う。

今後、実際に妊娠を考える時に検査結果を思い出し、早い段階でパートナーと一緒に検診ができるはずだ。

主催者のおおさきさんは、

「あまり硬すぎると、参加のハードルが上がるので、引き続き“楽しさ”や“面白さ”を入れた違う窓口から精子を調べることの大切さについて発信していきたいと思っています。次回は事前に精子に関する情報共有をしたいです」

と、次回の開催に向けての意気込みを語った。

実際の婚活現場では、精子と卵子の状況をお互い確認せずに、結婚を決意するカップルが多いだろう。

しかし、「妊娠ができない」ということが原因で破局する夫婦もいる。周りの人が続々と妊娠出産していると、自分も当たり前のようにできると思いがちなのかもしれないが、最初に述べたように不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は 5.5組に1組なのが現実だ。

もしあなたが、将来子供を望んでいるのであれば、恋愛関係になる一歩前に、自分だけでも自身の精子や卵子チェックをしてみた方がいいのかもしれない。

大切な人と子供をつくりたいと思った時に手遅れにならぬよう、「子供を作ろう」と行動を始めるその前に、自分の身体の状況を知って欲しいと願う。

あわせて読みたい

「婚活」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    N国が退潮か 我孫子市議選で落選

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  2. 2

    女子大生が教える最新ラブホ事情

    BLOGOS編集部

  3. 3

    自宅ビール用 究極の節約つまみ

    中川 淳一郎

  4. 4

    秋篠宮さま「即位辞退」の現実味

    NEWSポストセブン

  5. 5

    宗男氏 枝野代表に「お門違い」

    鈴木宗男

  6. 6

    新エンジン投入へ マツダの知恵

    片山 修

  7. 7

    GSOMIA破棄目前 韓国に奇策も

    文春オンライン

  8. 8

    前夜祭 安倍首相は会費払ったか

    郷原信郎

  9. 9

    過去作否定? ターミネーター新作

    いいんちょ

  10. 10

    水害補償に山本太郎氏「お粗末」

    鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。