記事

野田民主党政権の末期と小沢叩きに奔走させられたつけ

 野田首相は、消費税増税について政治生命を掛けるとしていますが、大飯原発の再稼働といい、TPP参加は見送ったものの、ここまで財界と米国にのみに奉仕する人は、旧来の自民党政権の中にも小泉政権を除けば、なかったのではないでしょうか。
 TPP参加見送りについても、米国内においても反対論が根強く、是が非でもという状況ではなくなったことから、消費税増税を最優先しようということが目的ですから、別に米国の意向に反したわけではありません。
 野田首相にとっての声は、財界と米国の意向だけです

 もともと、民主党は、構造改革との決別をマニフェストに掲げ、政権交代を果たしました。
 この時期には、小沢元代表(当時、幹事長)と鳩山代表(当時)には、それぞれ政治資金問題が既に明らかになっていました。

 他方で検察当局は、取調可視化を掲げる民主党のマニフェストを敵視し、政治介入を始めます。2009年5月、小沢代表の秘書の逮捕に踏み切ります。通常であれば政治介入という批判を避けるため、選挙後に行う強制捜査を敢えて、この時期に行います。
 小沢一郎氏が民主党代表を辞任。しかし、検察の介入を見越し、そして、それを逆手に取った小沢一郎氏は、鳩山由起夫氏を民主党代表に据えることに成功(構造改革派の岡田克也氏を代表戦で破る。)、小沢氏自身は代表代行で来たるべき総選挙を取り仕切ることになります。マニフェストは、構造改革と決別する政策が盛り込まれました。
 他方で、麻生内閣は死に体となっており、いよいよもって、構造改革とは決別した政権交代が現実のものとなってきていました。

 2009年8月 総選挙で、鳩山代表、小沢代表代行の民主党が政権を獲得します。
 もっとも、財界や米国の意向に反した政策は、その後の鳩山政権が追い詰められていくことになります。
 子ども手当など小さな政府とは真っ向から反する政策を掲げたことが政権獲得の道でしたが、他方で、財界の暴利に切り込むことなく、無駄を省くというだけで財源を確保しようとしたことで、限界も示しました。
 また、普天間基地問題では、米国と財界からの圧力を日本のマスコミが迷走を招いたのは鳩山元首相が原因だという反鳩山キャンペーンを繰り返し、結果、政権の座から引きづりおろされました。

 鳩山氏が迷走させたというマスコミによる宣伝がデマであったことは、日隅一雄氏の「鳩山氏の最低でも県外発言が迷走の原因なのか?~違うでしょう?」でも明らかです。
 さらに小沢一郎元代表に対する政治資金問題をさらに蒸し返してきたのも、この時期です。
 2010年4月、検察審査会が一度目の起訴相当決議をしました。
 2010年6月、鳩山内閣が倒されました。

 鳩山元首相の政治資金問題も、この時期に蒸し返され、鳩山内閣倒閣のための材料に使われたのもこの時期です。
 鳩山内閣の後をついだ菅直人内閣は、構造改革路線を推進していくことになります。しかも、その手法として小沢叩きを正面に据え、それによって、当時のマスコミが流布していた反小沢キャンペーンを利用し、地方の大量の党員票を獲得、代表の座につきます。

 菅直人氏は、参議院選挙の直前に消費税増税を言い出し、参議院選挙(2010年7月)では民主党を敗北に導きます。
 直前に自民党が消費税増税を主張したことに、乗る形で菅直人氏も消費税増税を主張したのですが、もともと自民党の支持層と民主党の指示層では、消費税に対する考え方が異なります。
 従って、消費税増税という民主党の公約がどのような結果を導くかは選挙前から明らか、自民党が勝利したのではなく、民主党が自滅しました。

 その結果、民主党は、参議院では少数与党となりました。民主党そのものをぶっ壊す下地を作ったのが、菅直人元代表ということになります。
 菅直人氏は、財界、マスコミ、米国の支持を得ることによってのみ政権を浮揚させようとしたもので、菅直人氏には、かつての市民活動家としての面影は全くなく、完全な財界、米国の手先でした。小沢叩きは、この露骨な財界、米国の利益追求を隠すための手法として利用されたのです。

 ところが菅政権にとっては思わぬ事態が発生します。2011年3月の大震災です。
 対応を批判された菅政権は失脚します。
 それに代わって野田政権が登場するわけですが、この野田政権も、財界や米国の利益のみを追求する政権となります。
 しかも、その手法は小沢叩きです。野田政権も、財界や米国のみの利益を追求する姿を覆い隠すための格好の手段としたのが、この小沢叩きです。

 既に、現時点で、政治生命を掛けるとした消費税大増税では、自民党と共謀し、社会保障とは切り離された消費税大増税のみが先行しようとしています。
 大飯原発の再稼働も同様です。
(鳩山政権も原発の増設も主張していましたが、他方で二酸化炭素削減25%の目標も打ち出していたのです。自民党政権では絶対に言えなかったことです。しかし、現在、この25%も見直されようとしていますね。)

 野田佳彦氏が掛ける政治生命とは、国民から指示を受けない構造改革を断行することです。その結果、民主党そのものが分裂しようと、下野しようとがどうでもよいということなのです。
 自民党が次期総選挙で勝利するというよりは、民主党が壊滅するでしょう。
 総選挙になれば、選挙基盤の弱い小沢グループが落選する? だけでは済まないでしょう。民主党そのものが国民から、そっぽを向かれるのです。党議拘束を忠実に守って、民主党の公認を得たところで、その価値はなくなります。

 構造改革に待ったを掛けようとした鳩山政権、それを主導した小沢幹事長、この路線に危機感をもった財界と米国の圧力によって民主党が変質し、つぶされようとしている、そして、財界や米国の意向を代弁するマスコミが反小沢キャンペーンを流し続ける、その本質が覆い隠されている
 小沢叩きがどのように利用されているのか、見極めることこそ大事なことです。

 政治とカネ?
 何を今さらという感じでしょう。今までの自民党は、きれいだったのですか?
 鳩山代表と小沢幹事長の下で、何故、民主党が政権を獲得したのか、民主党議員は、今一度、振り返るべきでしょう。
 野田政権そのものを倒す必要があります。
 そうなると、野田佳彦氏は、解散総選挙? 野田首相は、民主党を道連れに自壊しようとするでしょうけれど(首相になると、どうしてもみな解散権を行使したがるんですね。)、民主党議員は、本当にそのようなドロ舟に乗りたいのでしょうか。

あわせて読みたい

「民主党政権」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    “愛国芸人”ほんこんが「デマツイート」で提訴される 原告代理人・米山隆一氏は怒り

    SmartFLASH

    07月26日 09:58

  2. 2

    中国、ロシア製ワクチンと立憲民主と共産党 まあ少し可哀想ではあるけど、ブレインが悪いのとセンスがないというだけ

    中村ゆきつぐ

    07月27日 08:26

  3. 3

    野球は7回、サッカーは60分に!若者のスポーツ観戦離れを「時短化」で食い止めろ

    土屋礼央

    07月27日 08:11

  4. 4

    60歳4人に1人が貯金ゼロ 原因は晩婚化による“支出三重苦”

    女性自身

    07月26日 13:23

  5. 5

    ソフトバンクG株が連日の新安値、8カ月ぶりに7000円割れ

    ロイター

    07月27日 11:16

  6. 6

    作曲家がLGBT差別の杉田水脈氏を肯定…開会式のドラクエ起用に疑問続出

    女性自身

    07月26日 12:26

  7. 7

    東京五輪「手のひら返し」が驚くほど早かった理由 - 新田日明 (スポーツライター)

    WEDGE Infinity

    07月26日 08:17

  8. 8

    配信が充実した東京オリンピック 無観客開催でも十分なお釣りが来る内容

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月26日 08:32

  9. 9

    酷暑下の札幌五輪マラソン 市民の冷ややかな声も少なくない

    NEWSポストセブン

    07月27日 09:36

  10. 10

    「世襲議員」は是か非か、制限することは可能なのか。まずは政治資金団体を課税対象にするのが現実解?

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    07月27日 10:14

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。