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問題だらけの文科省の不登校対策の通知

不登校の要因(出所:文科省)

日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。我が国の伝統精神である「智勇仁」の三徳に基づき、「文武経」の政策を国家国民のために全身全霊で実現します。

10月26日(土)、朝日新聞の記事「不登校生「出席」 文科省、学校復帰無理に求めない方針」を見て、驚きました。文科省は不登校対策といいながら、義務教育を放棄しようというのでしょうか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191026-00000009-asahi-soci 

問題点は、3点あります。
第一は、与党自民党に説明がないまま出されたという政策決定過程です。
このような重大な通知にもかかわらず、与党自民党・文部科学部会等に説明がないまま、初等中等局長名で通知が出されたことです。文科省の担当者は、今まであった通知をまとめただけであり、方針転換ではないとの弁明をしていますが、報告もしないということはあり得ないことです。

第二の問題点は、義務教育の根幹である就学義務の形骸化に繋がりかねないことです。
この通知の背景には、義務教育教育機会確保法(H28)という議員立法があります。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm 

この法案の当初の原案には、義務教育段階で就学義務を外すことが明記されていました。私は自民党文科部会で反対を表明し、就学義務の明記は見送られました。今回の通知は、まさに義務教育から就学義務を外そうという流れに組みするものと思われます。言うまでもなく就学義務は、憲法、教育基本法、学校教育法に位置づけられたもので、義務教育の根幹です。今回の通知は、それを形骸させるようなもので、義務教育でも学校に行かなくてもよいという間違ったメッセージを社会に流布させることになります。

第三の問題点は、この通知で不登校対策が推進されるとは到底思えないからです。
最新の文科省の調査において、小中学生の不登校生が増大し続け16万人を超えています。その受け入れ先と言われるフリースクール等の民間施設について、実情把握も十分できていない中で、いません。平成27年に文科省が調査しましたが、それによると、474施設に調査票を送り、回答があったのは319施設(67%)で、回答した施設に通う義務教育段階の子供は約4200人です。把握できていない施設や、その後施設が増加したとしても、地域間格差もあり、全体の不登校の子供たちの受け皿にはなりえません。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/05/1360614_02.pdf

 各地の教育委員会には、不登校生のための教育支援センターや適応指導教室等がつくられていますが、まだまだ十分ではありません。文科省は、来年度予算案の概算要求において、2億円で全国47都道府県及び20政令指定都市に対して、コーディネーター配置の3分の1の助成金を創設しようとしています。とても十分な支援体制が構築できるとはお思えません。

今回文科省は、通知において、学校は本人の希望に応じて、教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、夜間中学での受け入れなど、さまざまな関係機関を活用して社会的自立を支援することや、こうした学校外施設での学習を指導要録上の出席扱いにでき、その上で、関係機関が連携し、不登校児童生徒に適切な支援をしていくために、学級担任や養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーらが中心となり、本人や保護者と話し合いながら作成する「児童生徒理解・支援シート」を活用した、組織的・計画的な支援の重要性を示してはいます。

●不登校の要因は

不登校の要因は多様です。文科省の調査において、本人の要因、学校・家庭の要因と多岐に分かれ複合的となっています。

不登校の要因を「本人に係る要因」で見ると以下です。
・「『不安』の傾向がある」では、「家庭に係る状況(31.3%)」「いじめを除く友人関係をめ ぐる問題(30.6%)」が多い。
・「『無気力』の傾向がある」では、「家庭に係る状況(46.7%)」「学業の不振(32.3%)」 が多い。
・「『学校における人間関係』に課題を抱えている」では、「いじめを除く友人関係をめぐる問題 (72.4%)」が突出している。
・「『あそび・非行』の傾向がある」では、「家庭に係る状況(53.9%)」「学業の不振(27.1%)」 が多い。

 小学校段階から、英語やプログラミングの導入等、新しい学習指導要領が導入されると、さらに学業についていくことができなくなって、不登校が増加されることも予想されます。

●文科省は不登校はじめ総合対策を

10月17日(木)、文部科学省が「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」の最新の結果、平成30年度分を公表した際にも、「学校の荒廃化」が深刻となる中で、私は文科省に対して次のような総合対策を訴えました。
https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12536841572.html

子供たちの問題行動・不登校対策に、残念ながら即効薬はないと言わざるを得ません。
・国家・社会・国民の総ぐるみでの取組みが求められています。
・幼児教育・保育の無償化が始まり、来年4月から私立高校・高等専修学校や高等教育機関の経済的に厳しい世帯への実質無償化が始まるわけで、教育の機会均等とともに、質向上に取り組むべきです。
・今国会には、教師の多忙化を改善する働き方改革を促す法案を提出する予定です。外部支援員を増加させ、教師が子供たちと向き合う時間を増加させること。文科省だけでなく、全国各地に「いじめ自殺対策官」を配置すべきだと考えます。
・学校、家庭、地域社会を連携させる学校協議会(コミュニティスクール)と地域学校支援体制を義務化するべきです。
・「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」(教育基本法10条)わけで、家庭教育の充実に向けて、参院選の公約に掲げた「家庭教育支援に関する方針の作成や、家庭教育支援法の制定」実現し、各種専門家による家庭教育支援チームの配置充実も必要です。
・スマホ等のネットの活用と制限について、国が主導してルール化を図ることも大事です。

今回の文科省の通知は、不登校の要因を踏まえた本質的な総合対策とはいいがたいものです。これでは、益々不登校が増大しかねないと懸念しています。

引続き力を尽くしてまいります。

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