- 2019年10月29日 06:15
「巨乳に見える服着るな」教員いじめの低レベル
2/2ヒエラルキーの上位に君臨する意外な教員
一般社会から見ると「どうして上の者が注意できないのか?」と不思議に感じる。だが、それがなかなかできない。教員は一種の職人だからだ。教員はよくも悪くも一国一城の主といった意識が学校内にはある。
例えば、自分の受け持ちクラスには責任を持つが、隣のクラスのことは知らない。責任も持たない。ゆえに、その指導テクニックは“門外不出の奥義”。さらに、同じ学校内の出来事であっても、そこここに“治外法権”が張り巡らされているなどの特徴がある。

要は管理職であっても、簡単には「指導」「注意」「警告」という行動には出にくい社会なのだ。
学校には校長と教頭といった管理職は存在するが、トップ以外の教員たちとは互いの「○○先生」と呼び合う横並びの関係に見える。ただ、力関係の上下はしっかりある。「生徒をまとめる能力がある」「学校トップに好かれている」「押しが強い」など、目に見えない“圧力”を持つ教員がヒエラルキーの上層部として君臨するのだ。しかも、一度、ヒエラルキーの下層部に認定されると、意見を言える空気は皆無になるという。
「やるだけ損・やっても無意味」という「ことなかれ教員」を大量産出
加えて、学校は営業成績や前年比などの数字には左右されない世界。逆に言えば、学校や生徒のために身をていして仕事をしたとしても、その貢献度は評価をされにくいのだ。また、よほどでない限りは教員免許も剥奪されず、雇用も安泰だ。
これらが複雑に絡み合い、強固なヒエラルキーが形成され、「やるだけ損」「やっても無意味」という「ことなかれ教員」を大量に産出することになる。そして、そうした空気がやがては東須磨小学校の教員暴行傷害事件といった、一部の教員の暴走を許す土壌となっているのである。
心ある先生方が「やる気の搾取」されない仕組み作り急務
しかし、筆者が現実に接している先生方の多くは、情熱を持って、献身的に仕事に取り組んでいる。ある私立中高一貫校で勤続25年を数えるベテランの先生はこう言った。

「なりたいと思ってなった教員という職業。この仕事をどう職場で楽しんでいくかだと思います。目の前の慕ってくれる在校生や卒業生、彼らのためにもこの母校を失くしてはならないという、個人的な使命感から自分は、何があろうとも職場に残って、心が通じ合う教員仲間と共にこの学校を支えていくつもりです」
「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018」でも明らかになったように、日本の教員の仕事時間は世界一長く、中でも、部活動や事務が負担になっているとの結果が出ている。国は2019年1月25日の中央教育審議会答申を受けて、「学校の働き方改革」を推し進めている。
心ある先生方が「やる気の搾取」をされることなく、本来の業務である授業準備や児童・生徒と向き合えるに十分な時間を確保して、やりがいを持って職務に励めるようになってほしい。そのためには、文部科学省や教育委員会から現場の学校へ、というトップダウンだけでなく、現場発信のボトムアップができる、透明性を伴った環境づくりが必要であることは言うまでもない。
少子化を踏まえ、学校存続の危機が叫ばれている中、これまで以上に、学校トップの責任は重くなるだろう。今回の事件を「他山の石」とできるような「教育の使命・ビジョン」を持った学校が増えることを期待したいところだ。
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鳥居 りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー
執筆、講演活動を軸に悩める母たちを応援している。著作としては「偏差値30からの中学受験シリーズ」(学研)、「ノープロブレム 答えのない子育て」(学研)、「主婦が仕事を探すということ」(東洋経済新報社 共著)などがある。最新刊は「鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ」(ダイヤモンド社)。ブログは「湘南オバちゃんクラブ」「Facebook 鳥居りんこ」。
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(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ)
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