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理念なき「大連立」話への違和感

 ここ数日、大連立のような話がささやかれ、メディアでそのような発言も出ているようです。

 確かに、長期金利の動向、利払いの負担という、財政を考えるうえでの基本要素を完全に無視した、消費税率引き上げへの強硬な反対論を振りかざす非現実的な一部の政治家や政党を考えれば、現実的な政策を志向する勢力でまとまって、安定し決断できる政治を実現しようという「思い」は理解できます。

 しかし、この大連立論は大きな視点を忘れてしまっている。私はそこに大きな違和感を感じますし、今出ている大連立論に賛同することはできません。

 忘れ去られた視点は何か。それは自民党の一部の消費税率引き上げ論者と、民主党などの主張する増税は似て非なるものだということです。

 改革を進め、小さな政府を実現する、そして国民に無駄な負担を強いない。これがいわゆる自民党の改革派の目指している姿です。

 無駄な負担を強いないためには、少なくとも長期金利の上昇は絶対に防がねばならない。仮に長期金利が3%くらいになるだけで、毎年の利払いが10年以内に40兆円、消費税率にして20%以上に相当する額が何も生み出さない利息の払いに消えてしまう計算になります。また40兆円と言えば、ここ最近の税収の合計も大体40兆円程度です。それがすべて利息の払いに消えてしまえば、国家の運営は完全に破たんしてしまいます。

 そうしないために、将来の大増税をさせないために、今必要最小限の消費税率引き上げを行って、市場の懸念を払しょくする。将来の経済成長のためにも必要不可欠な痛みであります。

 一方、民主党の増税論は、社会保障などのバラマキの財源として消費税を充てるというものです。また自民党の一部の国土強靭化論者に関しても、消費税増税は結果として公共事業のバラマキに充てられることになってしまします。乗数効果等を考えても、これでは将来の経済成長やビジョンを描くことは到底できません。これらの方々のいう増税はまさに官の論理であり、旧い政治の姿そのものです。

 同じ消費税率引き上げと言っても、まさに同床異夢であり、まったくその理念は異なります。

 そんなゴールの違う両極が、たまたま消費税率引き上げという手段で一致したからと言って、大連立など組めるはずもないし、それではまさに野合であります。

 改革をきちんとすすめ、無駄をなくし、それでもやむを得ない分については将来にツケを先送りしないために必要最小限の範囲で消費税の負担をお願いする、こうした「現実的な小さな政府路線」という選択肢を国民・有権者から奪ってしまうことになってしまいます。断じてするべきではありません。

 そのような理念なき大連立には断固として反対であります。なぜ急にそんな話が出てきているのかという点も含めて、私は非常に違和感を感じています。

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