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トランプ大統領とシリアにとっての「IS指導者の殺害」の意味

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・トランプ大統領はIS指導者アル・バグダディ容疑者を殺害したと発表した

・これが確かなら、ISは求心力を低下させることはほぼ確実だが、各地に飛散したIS戦闘員による強盗まがいの活動はおさまらないとみられる

・これに加えて、「バグダディ殺害」によってトランプ氏は念願だったシリアからの撤退に弾みをつけたが、これによってロシアが中東での影響力を伸ばすとみられる

 トランプ大統領は27日、「イスラーム国」(IS)指導者アル・バグダディ容疑者を殺害したと発表した。これが本当なら2014年に「建国」を宣言したISは大きなダメージを負うことになる。その一方で、その真偽にかかわらず、「バグダディ殺害」そのものがアメリカとロシアの「手打ち」になるといえる。

トロフィを手にしたトランプ大統領

 ISと敵対する各国にとって、バグダディ容疑者はいわば「トロフィ」だ。そのため、これまでに何度もロシア、シリア、イラクなど関係各国が「バグダディ殺害」を発表したが、その度にISはこれを否定し、バグダディ容疑者本人のものとされる肉声メッセージがネット上で発表されてきた。

 今回のトランプ氏の声明に対して、ISが今後どのように反応するかは不明だが、仮にこれを認めた場合、ISの求心力がこれまで以上に低下することは間違いない。

 そればかりか、「バグダディ殺害」はトランプ氏個人にとっても大きな意味をもつ。

 トランプ氏は2016年大統領選挙でシリアからの撤退を掲げた。これに最も強く抵抗したのは、「IS対策」の必要性を訴えるアメリカ軍自身だった。

 「バグダディ殺害」が確かなら、アメリカ軍の撤退に弾みがつく。それはトランプ氏にとって来年の大統領選挙に向けての有利な材料となる。

国際的なメンツも立つ

 また、「バグダディ殺害」はトランプ氏の国際的な面目をもほどこすことになる。

 10月上旬からアメリカ軍は、トルコ軍によるクルド攻撃と歩調を合わせて部分的に撤退し始めだが、これはシリア内戦で支援してきたクルド人を見捨てるものと批判を呼んだ。

【参考記事】トルコのクルド攻撃はどこまで本気か?――関係国の落とし所に泣くクルド人

 「バグダディ殺害」でISの勢力がこれまで以上に低下すると見込まれるなら、トランプ政権は大手を振って撤退できる。

 また、今回のトランプ氏の声明に前後して、バグダディ殺害作戦に協力したとみられるシリアのクルド人勢力もアメリカ政府に謝意を表明している。これも「クルド人を見捨てた」という悪評を緩和するものといえる。

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