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人生の目的は見つけるものじゃない。いま、やるべきことにベストを尽くすだけ──ティール組織 著者の天職との出会い方

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目的は見つけるものではない。目的が自分を見つけてくれる

この体験はアーティストがよく言う、「アイデアが突然降ってきた」というものと同じだと思います。わたしが本のアイデアを選んだのではなく、アイデアがわたしを選んでくれたんですね。

実はこういう話はあまり人には話さないようにしてるんです。「どうかしちゃったんじゃないの?」って言われるから(笑)。

それでも、みなさんにお話ししたのは、人生の目的について、勘違いしている人が多いからです。

多くの人は、「人生の目的は一度定めたら、一生変わらないものだ」と考えがちです。また、日本にあるかどうかはわかりませんが、欧米には「人生の目的を発見する」という名目のワークショップやセミナーが数多くあります。でも、わたしはもうそのやり方を信じていません。

わたしが信じているのは、米国の作家パーカー・J.パーマーによる、もっと美しい考え方です。パーマーはこう言っています。「長い間、わたしは自分がこう生きたい、と思って人生を過ごしてきた。でも、あるとき『自分を通して実現されるべき人生』 を生きればいいのだと発見した」 と。

いま、わたしはそういうふうに生きています。人生の目的は神秘的なもので、自分で発見するようなものではありません。わたしがすべきことは、人生の目的がわたしを通して実現されるように、できる限り自分の人生をオープンにし、目的が入ってくるためのスペースを用意することです。

この生き方を実行する過程で発見したのは、頭脳は大して役には立たないということでした。本当にすべきことか、しなくてもいいことかは、身体が決めてくれます。どうしてその決断をしたのか、それが今後の人生にどうつながっていくのかを頭で考えるのは、身体が決めた後です。この生き方を始めてから10年の人生はとても順調に進んできたと感じています。

マッキンゼーで働いたころは、「どんな人生にすべきか」「でも幸せじゃないな」という考えで、頭がいっぱいでした。

でも、いまは人生が自ら語ってくれるのを待ち、その声が聞こえたらベストを尽くすだけ。人生の目的は自分が宣言するものではなく、突き付けられるもの 。自分はそれに従えばいい。

これは個人だけでなく、組織の人生にも当てはまることです。

だから、「組織には目的が必要。みんなで考えて定義しよう」という話には、違和感があります。個人の人生の目的同様、組織には、組織を通して、実現されたがっている目的がある 、というのがわたしの考えです。必要なのは目的を考え出すことではなく、この会社を通して、目的がどのように実現されたいのかに耳を澄ませることなのです。

心の傷がのちの人生を助けてくれる

最後に、人生における「傷」が、わたしたちの人生にとって大きなギフトになる、という話をさせてください。人は、人生の中でいろいろな傷を負うものです。でも、その傷自体がギフトとなり、人生の目的の実現を助けてくれるという話です。

再びわたし自身の話に戻りますが、8歳のころ、クラスメイト全員から突然無視されたことがありました。これはとてもつらかった。

休み時間もひとりぼっちだったので、クラスメイトを観察することにしました。すると、関係性の力学がわかったんです。実は、わたしにいちばん意地悪をする子は、次に無視されるのは自分なのではないかととても恐れていました。また、リーダー役の強い子はいつも強い存在でなくてはならないから、 ちっとも幸せそうじゃない。

この小学校時代の経験が、わたしにとってのギフトです。この経験を通して、人を観察する能力を持つようになり、のちに『ティール組織』という本を書くことにつながったのだと思います。

「傷」がギフトとなり、その後の人生によい影響を与えてくれるということは、個人だけでなく、組織にも当てはまることです。

だから、わたしは「自分の組織をティール組織に変えたい」というリーダーによく伝えています。

「あなたの人生を振り返ってみてください」 と。

すべて過去の傷が結果的にギフトとなって、あなたや組織を通して実現されることを望んでいる目的とにつながっている、ということがわかるはずです。

人生に対するギフトを受け入れる準備はできてますか?

執筆・編集:鈴木統子/撮影:高橋団

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