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高床式住居に住もう

リクルートの回し者ではないが、洪水がある日本で「住もう」と思う家は高床式かもしれないと、友人Oと話した。Oの実家は利根川の北側にある。彼の家ではなかったそうだが、もう少し利根川に近い村では小舟が軒先にぶら下げてあったとか。

そもそも大水が出れば、利根川の水が流れ込む地域だったから、小舟が必需品だったようだ。今でも利根川と渡良瀬川の合流地点付近にある大きな調整池(遊水地)が、過去を物語っている。

そんな話を友人としていて思い出したのが、パプアニューギニアのセピック川、アスワンハイダムができる前のナイル川、そしてこの8月に訪れたアマゾン川である。これらはいずれも水が溢れる地域である。しかし、その水が上流から養分を運び、恵みをもたらす。洪水と人間が上手に付き合っている。

かつてのナイル川沿いの住居どうなっていたのか。情報が不足しているものの、ピラミッドの工事などから類推するに、舟が多用されていたのだろう。ナイルの水が、じわじわと溢れることで、その後に豊かな実りがあった。

セピック川もアマゾン川も雨季には増水し、平地の多くが水に浸かる。だから、住民は高床式の住居に住んでいる。東南アジアも高床式の住居が一般的である。堤防を作らず、川が自然に流れるに任せ、増水すれば自然がサイクルどおりに巡っていると感謝し、その後の収穫を期待する。そんな生活である。

もっとも高床式の床下で飼われている動物はどうなるのかと心配になる。イヌやネコもいるが、これらは家の中に入れてもらうのだろうか。訪問時に質問しなかったが、多分そうだろう。

かつての日本、川の堤防が完備しなかった頃は、少なくとも低湿地を避けて住んでいたはずだ。実家の郡山のかつての地形を見ても、城下町として機能していた地域は比較的高く、地盤は扇状地とある。武士階級はさらに小高い丘に住んでいて、城もそこにある。

子供の頃、田んぼだった地域は扇状地から外れ、湿地に近かった。城の堀も、その湿地を利用して作られていた。その湿地には、佐保川(大和川の支流というか本流というか、奈良の東側を源流とする川)が時々氾濫し、流れ込んだのだろう。

この郡山の状況から類推するに、日本の古い住宅地は洪水の心配の少ない地域だったはずである。これに対し、新しい住宅地はどうか。いろいろあるのだろうが、家を買う時には水の心配がどうなのか十分に調べないといけない。

工場の用地など、広い土地が簡単に入手できたというのは、誰も住んでいなかった、もしくはそれに近かった可能性が高い。実家も工場の用地を高度成長期に購入したが、その土地は城の堀の外、湿地に広がる田んぼだった。だから父親は道路よりも高く土入れをして、工場にした。

話題になった武蔵小杉も工場地帯だった。どこの企業だか忘れたが、アナリストとして会社を訪問したことがある。元をただせば多摩川が蛇行していた跡であり、誰も住んでいなかったはずだ。

日本の住宅政策、高床式にしろとまでは言わないが、川の中流、上流部の堤防を廃止し、川が流れるままに任せ、人間はかつて安全だった地域に転居するのがいいのではないか。

大水の時、床下浸水くらいの可能性はあるが、子供の頃は床下浸水なんて夕立の時のいつもの風景だった。今のように、堤防が決壊し、その部分に水が集中して流れ込み、床上浸水などの大きな被害を受けるよりも、そんな危険にいつも晒されるよりも余程ましだと思っている。

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