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調査結果から、日中両国民の認識ギャップが浮き彫りに ~「第15回 日中共同世論調査結果」記者会見報告~

⇒ 【言論スタジオ】第15回日中共同世論調査をどう読み解くか
⇒ 工藤の分析「なぜ日本人に中国へのマイナス印象が大きいのか」を読む
⇒ 「第15回日中共同世論調査」結果


 言論NPOと中国国際出版集団は10月24日、「第15回 東京-北京フォーラム」(10月26~27日、東京)の開催に先立ち、北京のRENAISSANCE BEIJING CAPITAL HOTEL(富力万麗酒店)にて共同記者会見を開き、「第15回日中共同世論調査」の結果を発表しました。 今回の会見には日本側から言論NPO代表の工藤泰志、中国側からは中国国際出版集団副総裁の高岸明氏が出席しました。会場には、日中両国のメディア関係者が多数参加するなど、国内外から高い関心が寄せられました。

 また、言論NPOの工藤は同日、「なぜ日本人に中国へのマイナス印象が大きいのか」との調査結果の分析を、公開しました。


 今回の世論調査では、米中対立が深刻化し、世界の経済構造に困難が広がる中で行われたものです。日中両国政府は関係強化のために様々な取り組みを行っていますが、国民レベルではお互いの意識に対照的な傾向が出ており、日本人の中にはむしろ現状の日中関係は悪化しているとの見方が出ています。

 この分析文ではその背景を解説し、その上で「世界やアジアの将来を見据えた日中協力の具体的な姿について議論を開始する必要がある」と提起しています。

 この調査は2005年から日中共同で毎年、行われているもので、中国で国民の意識を継続的に調査しているものとしては、世界で唯一の調査となります。今年の調査は、9月上旬から下旬にかけて日本全国と中国の北京、上海、南京など主要10都市で実施されました。
 
 今回の世論調査のポイントは以下の4点です。(詳細はこちらをお読みください)

日中両国の相手国への意識は対照的な傾向を強める結果に

 
 まず、日中両国民のお互いの意識に対する対照的な傾向が高まった、ことです。

 相手国への印象について、中国国民の対日印象は今年も改善を続けています。中国人で日本に対する「悪い印象」を持つ人は、尖閣諸島の日本の国有化で92.8%とピークに達した2013年の調査から減少を続け、今回は52.7%と半分近くにまで改善しています。

 ところが、日本人の対中印象の改善のテンポは鈍く、今年も84.7%と未だに8割を超える日本人が中国に「「悪い印象」を抱いています。
 
 また、中国人で、現状の日中関係を「悪い」と考える人は2016年の78.2%から改善を続け、今回はその半分の35.6%となりました。これに対して、日本人の日中関係に対する判断は、これまでの改善傾向を否定するように今回は再び悪化して44.8%(昨年は39%)が「悪い」と回答し、この一年間で日中関係が悪化したと感じている日本人は31.8%(昨年は18.5%)となりました。

米中対立が深刻化する中、中国人は日本人よりも米中対立に楽観的

 二つ目は、米中の経済対立の関する両国民の認識です。

 米中の貿易摩擦が、日中関係にも「悪い影響」を与えると考える中国人は45.7%と最も多いものの、17.8%が日中関係に「良い影響」を与えると考えています。これに対して、日本人は「悪い影響」が50.2%と最も多く、「良い影響」と考える人は2.7%しか存在しません。また、今後の世界秩序に関する見方も違いが目立ちました。

 中国では、今後もルールに基づく自由貿易や自由経済秩序は発展する、と考える人は33.2%存在しており、一部の制限はあっても基本的には現在の開かれた自由な仕組みは残る、の40.1%を加えると7割以上が楽観的な姿勢を堅持しています。

 これに対して、日本人は「分からない」が38.3%で最も多く、米中が世界を二分し対立するようになる、が26.2%でそれに続いており、今後の世界秩序について不安視しています。

新しい中国人の日本人観は、資本主義、軍国主義、民族主義

 三つ目は、中国人の日本に対する意識で昨年までの異なる変化が見られたことです。

 まず、中国人の軍事的な脅威感についてです。「軍事的な脅威を感じる国はある」と感じている中国人は昨年より13ポイントも減少し、55.5%となりました。それに対応して「脅威を感じる国はない」が29.9%と3割程度にとどまっています。

 日本人は毎年7割が、軍事的な脅威を感じる国があると答えており、変化はありません。中国人が、軍事的な脅威を感じる国は昨年同様に日本と米国が最も多く、調査結果だけを見るとその脅威感が薄まったように見えます。

 また、中国人の中に新しい日本人観が出てきたことも注目されます。

 日本の社会や政治体制をどのように見ているのか、という毎年聞いている設問ですが、昨年、39.5%と4割近い中国人が日本を「覇権主義」と見ていましたが、この一年でそれが18.5%と半分以下となり、「大国主義」も昨年の12.1%から5.8%に半減しました。

 日本の本来の姿である「民主主義」や「平和主義」「国際協調主義」を選ぶ中国人が増えています。

 この結果、日本を「資本主義」「軍国主義」「民族主義」と見る人が上位に並び、それが中国人の新しい日本観、となっています。

日中両国民はお互いの重要性を認め、 新しい協力関係に動き出すことでは両国民の半数以上が賛同している

 両国民は、日中関係や相手国に対する意識では非対称性を強めているものの、日中関係が重要だと思う日本人は72.7%と7割を超え、中国人も67%が重要だと回答し、世界の中でもお互いを意識し合う関係である、ことが明らかになっています。

 さらに、今回の調査では、世界の繁栄やアジアの平和を実現するために、日本と中国が「より強い新しい協力関係を構築すべきか」と尋ねたところ、必要だと考える日本人は52.5%、中国人で62.2%と、両国民の半数以上が賛同しています。

 また、日中両国の協力やアジアの課題に、両国が協力して進めることに対して、日本人の63.5%、中国人の69.3%が参加している。

 今回の調査結果を踏まえながら、言論NPOは10月26日・27日の2日間にわたって15回目の「東京-北京フォーラム」を開催します。ぜひご注目下さい。

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