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ギリシャの選択肢

 週末のギリシャの選挙が世界の関心事項になっています。選挙が終わったら、直ぐユーロ圏のメンバーで電話会議が開かれるのだ、とも。

 まあ、我々日本人としては、そこまで関心を有している人は少ないとは思うのですが、それでも選挙の結果が株価や為替に大きな影響を与えると思われるので、否が応でもギリシャの選挙結果をウォッチしておかなければならないのです。

 では、選挙の結果、どういうシナリオが想定されているのか? 如何でしょう。

 「ギリシャがユーロを離脱するか、ユーロに留まるか、ということでしょ?」

 まあ、そんな風に世間では言われている訳なのですが、しかし、よく考えてみると、ギリシャ人のなかでユーロに残るか、ユーロを離脱すべきかで議論が分かれているのではないのです。ギリシャ人の多くは、あくまでもユーロ圏に残りたい、と。

 では、何について議論が分かれているかと言えば、緊縮財政をこのまま受け入れるか、或いは緊縮財政を拒否するかで分かれれているのです。

 で、ギリシャを取り巻くユーロ圏の国々は、もし、ギリシャが緊縮財政を拒否するのであれば、ギリシャに対する支援は打ち切るしかないという考え方であり、その結果、仮にギリシャの国民が緊縮財政を拒否したら、ギリシャはこれまでの支援が打ち切られ、自ずからユーロ圏を去るしかないということになるのです。

 「ドイツやフランスは、ギリシャがユーロを離脱することを受け入れるの?」

 問題はそこなのです。以前は、ドイツもフランスも、ギリシャがユーロを離脱するなんてありえない、
ときっぱり言っていたのですが‥どうも最近は、最悪の事態もあり得るとの考えに変わっているようなのです。

 「そうなるとギリシャがユーロを離脱することもあり得るの?」

 まあ、ドイツとしては最悪の事態も想定しているとは思うのですが、それでも本音としてはギリシャにユーロ圏にとどまっていてもらいたいと思っているでしょう。

 「どうして? そんなにギリシャのことが心配なの?」

 というよりも、ギリシャが緊縮策を放棄して、ギリシャに対する支援がストップしてしまえば、ギリシャの元利払いは滞り‥つまりデフォルトになってしまい‥そして、そうやってギリシャがデフォルトを起こせば、またしてもギリシャ国債を保有する銀行の経営状態が懸念され‥つまり、金融危機がぶり返す、と。

 もっとも、問題がギリシャだけに留まるなら、それほど大きな影響はもはやないのかもしれませんが、そうした動きがスペインやイタリアなどの大所に飛び火すると、もうこれはかなりやばいことになってしまうのです。

 従って、ドイツやフランスは、できれば、ギリシャの問題も穏便に処理したい、と。

 「だったら、ギリシャがユーロを離脱しないで済むように、緊縮策の内容を緩和したり、或いは実行の時期を先送りしたりすることができないの?」

 確かに、そういう手段がないとは言えないのです。あくまでも緊縮策は維持するという表向きのスタンスは維持しつつ、その一方で、ギリシャ国民の不満を抑えるために、緊縮策の実行は少し先延ばししてもいいよ、と。

 つまり、一方では、ギリシャに甘い顔をすべきではないという不満を持つドイツ国民の考えに配慮しつつも、他方では、ギリシャ人の不満にも気を配る、と。

 これ、世間では玉虫色の解決策とか、二重スタンダードと呼ばれるものですが、そういう現実的な妥協策を採用することができれば、取り敢えずは問題を先送りすることができる、と。

 「その可能性はどの位?」

 私は、相当その可能性が大きいと思うのです。何故かと言えば‥それは、ギリシャ危機が勃発して以降のメルケル首相の発言を振り返ってみれば分かるのです。いつもいつも厳しい発言を繰り返してきたメルケル首相ですが、同時に、いつもいつも現実に押されて意見を修正してきたのがメルケル首相であるのです。

 最初は債権の棒引きなんてあり得ないと言われていたのが、結局、借金を半分以上棒引きする羽目になっている訳ですから。

 ギリシャ人自身がユーロ離脱を望んでいるのであれば別ですが、彼らの多くはユーロ圏に残ることを望んでいる訳ですから、多分、ユーロ圏に残ることを前提に、話し合いが進められることになるでしょう。

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