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アングル:日銀、海外リスク見極め政策判断 景気拡大シナリオは維持か


志田義寧 木原麗花

[東京 24日 ロイター] - 日銀は30─31日の金融政策決定会合で経済・物価情勢を改めて点検するが、緩やかな景気拡大シナリオを修正するまでの材料は現時点で出ていないと判断しているもようだ。海外経済は弱いものの、内需は底堅く、消費増税の影響も前回より小さいとの見方が大勢を占めている。ただ、海外経済をめぐる霧は晴れておらず、拡大シナリオを確認できたとしても政策対応をしないわけではない。リスク要因をギリギリまで見極め、予防的対応が必要と判断すれば、緩和カードを切る可能性もある。

<海外経済回復は後ずれ>

日銀は9月の金融政策決定会合の声明文で「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」との記述を新たに加え、10月の決定会合で「経済・物価動向を改めて点検する」方針を示した。

慎重姿勢を強めた背景には、海外経済の減速がある。国際通貨基金(IMF)は15日に発表した世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%(7月時点は3.2%)に引き下げた。2008―09年の金融危機以来の低い伸び率になるとみており、貿易摩擦が解消されなければ予想は大幅に悪化する可能性があると懸念を示している。

日銀はこれまで世界経済の回復時期を年後半とみていたが、「回復時期は後ずれしている」との見方に傾いている。黒田東彦総裁も17日、ワシントンで記者団に「今年から来年にかけて世界経済が成長・回復していくというシナリオの大筋は変わっていないが、回復の時期は後ずれしている」と述べ、日銀の想定よりも回復時期が後ずれしていることを認めた。

<内需しっかりも物価に弱さ>

ただ、現時点で海外経済の弱さが、堅調な内需に波及しているとは判断していない。消費が底堅く推移している上、人手不足による省力化対策や競争力を維持するための設備投資意欲も旺盛なためだ。米中貿易協議が部分合意したことや、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)で進展がみられたことも追い風となっている。

全国企業短期経済観測調査(日銀短観、9月調査)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス5と、6月調査から2ポイント悪化したが、事前予測ほどは弱くなかった。大企業・非製造業もプラス21と、6月調査から2ポイント悪化したが、事前予測を上回った。

日銀内ではこの結果について、外需は弱いが、内需はしっかりという見方を裏付けるものとの見方が多い。15日に公表された地域経済報告(さくらリポート)も、短観に沿った結果になったと評価しており、現時点では景気の見通しを変えるような材料は出ていないと判断しているようだ。

消費税増税の影響も、9月末にかけて予想以上の駆け込み需要が発生したが、その反動減は大きくないとの見方で一致している。

ただ、足元の物価は弱まっている。総務省が18日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は前年同月比0.3%上昇と、2017年4月以来2年5カ月ぶりの低い伸びとなった。目標の2%との距離は一段と広がっている。

日銀は、需給ギャップがプラス圏で推移しているほか、インフレ期待も下がっていないとして、現時点で物価のモメンタムは崩れていないと判断しているが、足元の状況を踏まえ、2019年度の物価見通し1.0%上昇(政策委員の予測中央値)は下方修正する公算が大きい。

<マイナス金利深掘り選択肢か>

政策委員の間では、底堅く推移している内需や落ち着いている金融市場を背景に、いま動く必要はないとの声が聞かれる一方で、物価の弱さや、海外経済の弱さが内需へ波及するリスクを懸念する向きもある。拡大シナリオは維持される公算が大きいが、日銀がリスクへの予防的な対応を意識している以上、緩和カードは常に切れる状態にある。

仮に追加緩和に踏み切る場合、日銀は、1)短期政策金利の引き下げ、2)長期金利操作目標の引き下げ、3)資産買い入れの拡大、4)マネタリーベースの拡大ペースの加速──の4つの選択肢を提示しているが、現時点で有力なのがマイナス金利の深掘りだ。

黒田総裁は19日、ロイターのインタビューで、「もし追加の金融緩和が必要なら、確実に(certainly)短期・中期の金利を引き下げる。超長期金利の低下は望まない」と述べた。

日銀は2016年9月に公表した金融緩和の「総括的な検証」で、経済への影響は、短中期ゾーンの効果が相対的に大きいとの見方を示し、長いゾーンの過度な金利低下は、保険や年金などの運用難を通じて、消費者マインドに悪影響を及ぼす可能性があると結論付けた。黒田総裁の発言もこの見方に沿ったものだ。

「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」というフォワードガイダンスの修正を予想する声も市場にはある。「2020年春頃」まであと半年しかないためだ。

ただ、仮に「2020年春頃」を先延ばししたとしても、日銀はそれはあくまでコミュニケーションの微修正であり、緩和強化とは位置づけていない。

(編集:石田仁志)

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