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超法規的な「自然災害国家補償政策」

■台風19号による保険請求額は1兆円超

 台風19号が直撃すれば、被害総額は100兆円以上になるというような事前予想も飛び交っていたが、実際のところは数千億円規模、保険請求額に至っては1兆円を超えるというような推計も出ているようだ。

 しかし、自然災害による全国単位の家屋の被害等を全て保険で賄うというのは無理があるような気がする。毎年のように今回のような台風が来れば、保険会社は全く割に合わず、保険料も値上げせざるを得ないような悪循環に陥る可能性もある。
 こういう大規模な自然災害の補償は、ある程度は国がするべきだと思う。

 こう言うと、「なんでもかんでも国が面倒をみるべきではない」とか「バラマキすれば良いというわけではない」という反論をいただきそうだが、バラマキと言っても、いろいろな方法がある。
 無意味なバラマキなら私も反対の立場だが、消失した資産を補填するためのバラマキなら、むしろ肯定したい。

 こう言うと、「税金の無駄遣いだ!」と言う人がいるかもしれない。しかし、ここで述べているバラマキは税金を使用しない。
 ではどうやって資金を作るのかというと、お金を刷るだけ。ただし、それを国の借金として計上してはいけない。超法規的にお金を追加刷りして損失補填のために配るということ。

 こう言うと、「そんな馬鹿なことができるわけがないではないか!」と言う人もいるかもしれない。

 その「そんな馬鹿なこと」という言葉には、「お金を無造作に刷れば、市場に悪影響を与える」という意味が込められているのだろうと思う。

 しかし、災害によって消失した資産を補填するために、その資産分のお金を刷っても、市場にも経済にも悪影響は及ぼさない。むしろ、お金を刷らない方が市場にも経済にも悪影響を及ぼすことになる。なぜなら、失われた資産を放置したままでは、市場に出回っている総資産が減少してしまうことになるからだ。

■100万円をマッチで火をつけて燃やしてしまったら?

 こう言っても、「何を言っているのか解らない」という人がいるかもしれないので、簡単な例え話を書いてみようと思う。

 例えば、あなたがヘソクリしている100万円の束をマッチで火をつけて燃やしてしまったとしよう。
 その場合、銀行に行って「お金を燃やしてしまったので、お金を返してください」と言っても、「無理です」と追い出されることになる。

 では、もし、その消失現場の証拠映像をスマホで撮影していた場合はどうだろう?
 その場合も、法律的には「無理です」ということになるだろう。

 しかし、資金をどれだけ消失したかということが明確に判っているのであれば、その分を追加刷りしても、世の中に出回っているお金の量が増えるわけではない。せいぜい、紙代とインク代と印刷の人件費がかかるだけで、市場には何の影響も発生しない。元々、その場に存在したお金を手品の如く再現させるだけだからだ。

 同じように、自然災害で消失した資産が明確に数値化できるのであれば、その消失分のお金を刷って補填しても何の問題も発生しない。
 その追加刷りしたお金を国の借金としてカウントするから、問題が発生するのである。

 もちろん、ここで書いたことは、あくまでも思考実験であり、現在の法律上ではできない相談だと思う。
 しかし、理屈の上では可能なことであり、被災者を経済的に救うことができるし、国の借金にもならない、そして、失われた資産が元に戻り、再建工事等の経済活動も躊躇することなく行われるので景気も良くなる。まさに「災い転じて福と為す政策」と成り得る。

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