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"オーガニックなら安全"神話の恐るべき盲点

形成外科医として長年肌と向き合ってきた落合博子さんは、世の中にある美容情報は科学的ではないことが多いと指摘します。例えば、「天然成分」と聞くと「安全」「肌にいい」というイメージを抱きがちですが、実はそうとも限らないのだそう。逆に「合成」「パラベン」のほうが安全なことも。“オーガニック信仰”の意外な落とし穴とは?

※本稿は、落合博子『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)の一部を再編集しました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/GSPictures)

実は怖い日本の「オーガニックコスメ」事情

「オーガニック」と聞くと、「肌にも地球にもやさしい」というイメージがありますね。

しかし科学的な視点で見ると、オーガニック化粧品にもリスクがあるといえます。

理由は簡単。日本には、化粧品に関するオーガニック認定基準がないからです。

そもそも「オーガニック」とは、化学肥料や化学農薬を使わない有機栽培のこと。オーガニックコスメは、そうした「有機栽培で育てられた植物性の原料を使ってつくられたコスメ」ということになります。

海外では、オーガニックコスメとして販売するには、政府機関や認証機関による厳しい基準を満たさなければなりません。

たとえば、フランスにはECOCERT(エコサート)やCOSMEBIO、ドイツにはdemeter(デメター)やBDIH、アメリカにはUSDA、HOFAなどがあります。

オーガニックコスメとして認証を受けるためには、有機栽培された植物からとれる成分のみが原料であることはもちろん、リサイクル可能な容器であるか、流通経路や流通手段が環境に配慮されているかどうかなど、細かな基準が数多くあります。

海外では、こうした厳しい審査をとおった商品のみが、「オーガニック」という表記を許されるのです。

しかし、日本で販売されているオーガニック化粧品には、このような認定基準がありません。そのため、たとえばオーガニック植物成分を1種類だけ少量配合しただけでも、「オーガニック」とうたうことができます。

もちろんなかには、しっかり海外機関の認定を受けている商品もあるでしょうが、メーカーの自己判断で何とでもいえてしまうのが実情なのです。

天然であるほどリスクがある

「天然成分由来」や「植物エキス」と書かれていると、つい安心・安全だと感じますが、その感覚は残念ながら間違っています。

なぜなら、「天然=何が入っているかわからない」ともいえるからです。

まだ解析しきれていない成分が混入している可能性もありますし、自然界のものは天候や産地によって左右されるので、品質にもバラつきもあるでしょう。

そして植物のなかには、毒性があったり、かぶれやアレルギーの原因となる成分があることも忘れてはいけません。たとえば漆などがそうですし、漢方にステロイド類似成分が含まれていることもあります。

植物由来だから万人に合って安心であるとは、けっしていえないのです。

「合成」のほうがむしろピュア

一方、「合成」と名がつくものには、なぜか肌によくないイメージがありますが、じつはそんなことはありません。

合成成分とは、自然界に存在する薬効成分を特定して、それを化学的につくり出したもの。ひとつの成分にフォーカスして生成されたものですから、曖昧で未知なるものを含む「天然」よりも、むしろピュアなのです。

もちろん、植物成分のすべてを否定しているわけではありません。植物ならではの心地よさや香りのよさもありますし、それが自分に合っていて肌にトラブルが起きないなら、使うことに何の問題もありません。

ただ、天然であるがゆえのリスクもまた、知っておいていただきたいと思うのです。

パラベンは肌に良くないのか

みなさんはパラベンにどんなイメージをお持ちでしょうか? 肌によくないと思っている方もまだまだ多いようです。そのせいか、「ノンパラベン」「パラベンフリー」など、防腐剤無添加とうたわれるスキンケア商品も数多く見られます。

「防腐剤」とはその名のとおり、商品の腐敗を防ぐために配合されている化学添加物のこと。もちろん化粧品だけではなく、食品や医薬品などさまざまなものに入っています。

そのなかでも馴染み深いのがパラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)ですが、パラベンは本当に肌やからだによくない成分なのでしょうか?

いまいちばん安全な防腐剤・パラベン

たしかにパラベンは人工的に合成された添加物です。しかし現在では、ラット検証や人体検証も含めた研究により、パラベンはもっとも低刺激ですぐれた防腐効果を持つ安全性の高い成分としてのエビデンスがとれています。

おそらく、この「パラベン=肌の害になる」というイメージは、パラベンが以前、表示成分のひとつであったことが原因のようです。

落合博子『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)

パラベンは30年以上前に当時の厚生省がつくった「アレルギー反応を起こす可能性のある表示成分」のリストに含まれていました。

ただ、先述したとおり、この旧表示指定成分の内容は古く、当時危険とされた成分のなかには、現在は健康食品としてサプリメントで販売されているものさえあるほど。

ですから、「パラベン=危険」の認識はあらためる必要があります。

安全性が保証されなければ、現在は許可が出ませんし、そもそも食品に使えるはずはありません。

パラベンやメチルパラベンは、防腐剤としてもっとも刺激がなく安全なものといえますから、悪者あつかいする必要はないのです。

「防腐剤フリー」は基本あり得ない

では、最近多々見かける「パラベン不使用」商品についてですが、パラベンが使われていないということは、当然ながらほかの防腐剤が配合されているはずです。

そもそも化粧品として販売許可を得るためには、「未開封で3年間保存が可能」という条件をクリアする必要があります。

防腐剤の配合なしに、この条件をクリアすることはほぼ不可能ですから、たいていの化粧品には、防腐剤もしくは、それに代わる成分が添加されているでしょう。

ただし、もし防腐剤が本当に無添加で3年保存の条件をクリアできない場合、「消費期限を化粧品の目立つところに記載すること」で販売の許可を得られます。

つまり、本当に防腐剤不使用の化粧品には、かならず消費期限が明記されているはずです。防腐剤がどうしても気になる方や、パラベンにアレルギーが出てしまう方は、こうした消費期限つきの製品を使うのがよいでしょう。

成分にリスクはつきもの

ただ、注記しておきたいのは、どの成分にもアレルギー反応が出てしまうリスクはあるということ。パラベンはかなり低刺激で安全性が高い成分ですが、それでもアレルギーを引き起こす可能性がゼロだとはいえません。大部分の人にとって大丈夫であっても、ある人にとっては合わない可能性もあるのです。

しかし、これはどの成分にもいえること。何かの作用があるということは、かならず副作用もあります。成分にはいつもメリットとデメリットの二面性があるものだからです。

そうした二面性を考慮してもなお、パラベンはリスクがかなり低く安全な防腐剤であると位置づけることができます。

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落合 博子(おちあい・ひろこ)
国立病院機構東京医療センター形成外科医長、再生医療研究室室長、日本抗加齢医学会専門医
1991年東北大学医学部を卒業。医師免許取得後、形成外科、創傷外科の専門医としての勤務を経て、2003年より国立病院機構東京医療センターで形成外科医長を務める。
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(国立病院機構東京医療センター形成外科医長、再生医療研究室室長、日本抗加齢医学会専門医 落合 博子 写真=iStock.com)

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