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引き算のマーケティング − すべてを満たすことだけが戦略ではない

「5号館のつぶやき」さんが佐川急便について面白いことを書いていらっしゃいます。宛名も着払いの伝票までもが用意されている佐川急便の封筒で書類を送らなければならないことになって、苦労された顛末です。

もちろん佐川急便は、コンビニでの取り扱いはありません。そこで札幌の営業所や取次店を探されたのですが、それがないのです。

5号館のつぶやき : 佐川急便の秘密 :

正解は「5号館のつぶやき」さんが逡巡された「ほんのちょっとした書類を送るだけであのトラックを呼びつける」ことでした。佐川急便は取次店やサービスセンターは、札幌市内に限らず少なく、そのトラックが営業拠点というのが実態ではないでしょうか。

佐川急便の特徴は、個人を捨て、法人に絞っていることです。だからコンビニでの取次サービスはありません。しかし、それでいいのだと思います。「なにかをすること」だけが戦略ではなく、「なにかをしない」ことも戦略です。戦略には、足し算もあれば、引き算もあります。ターゲットを絞るというのも引き算です。

佐川急便は宅配便では完全に後発です。後発でありながら、どんどんシェアを伸ばしてきたのは、それまでの貨物を宅配便扱いへと集計方法を変更した事が大きな要因でしょうが、クロネコヤマトとは戦略的に差別化したからというのもあると思います。

しかも個人間から個人の宅配便市場は飽和してしまっています。伸びてきたのはインターネット通販の成長に支えられた企業から個人の宅配便、メール便などの企業から企業への宅配便で、佐川急便にとってはそれが追い風になったのでしょう。

ちなみに、平成21年の宅配便のシェアで見ると、クロネコヤマトが40.6%、佐川急便が36.2%で両社は拮抗しています。その2社のシェアを合計すると76.8%で、クープマンの「独占的市場シェア(73.9%)」を超えています。第三位の郵便事業とJPエクスプレスをあわせて14.7%であり、郵便事業は、なにかに戦略特化することが課題になってくるのでないでしょうか。

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:アニュアルレポート|ヤマトホールディングスより引用

誰にも好かれたい、総合的に優れたいという誘惑がつきものですが、よほどの強者でない限り、引き算のマーケティングのほうが正解なのです。

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