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バッテリー革命の過去と未来。モバイル機器を支えるリチウムイオン電池やそれ以前の2次電池の歴史を振り返り、未来の電池を考察する【コラム】

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■ポスト・リチウムイオン電池は「全固体電池」

容量増加に限界が見え始めたリチウムイオン電池の「次のバッテリー技術」として期待されているのは全固体電池です。全固体電池はその名の通りすべての材料が固体物質でできており、リチウムイオン電池やニッケル・水素充電池のような液体の電解質を持ちません。

そのため電解質を封入するための「パック」を必要としないために形状での自由度が高く、低温や高温環境に強い点や、爆発・炎上の危険性が低い(不燃性である)点が大きなメリットです。

また高電圧負荷にも強いなどの特性があり、前述の不燃性というメリットと合わせてモバイル用途以外にも電気自動車での活用に大きな期待が寄せられています。

しかし、現実にはまだまだ実用化への最初の一歩を踏み出したばかりで、基板実装用の小型バックアップ電池であったり、低消費電力のIoTモジュールなどへ搭載する程度のものが実用化されている段階です。

リチウムイオン電池のデメリットを克服し、リチウムイオン電池よりも高性能な代替エネルギーとして活用されるには、技術的なブレイクスルーがいくつも必要でしょう。

村田製作所が6月に発表した全固体電池のプレスリリース

かつてリチウムイオン電池の容量があまり大きくなかった頃、電気エネルギーを貯めるのではなく「その場で作る」ことに着目して開発が進められていたものに燃料電池がありますが、リチウムイオン電池の性能向上や燃料電池技術の小型化の失敗などから、現在はモバイル市場からほぼ撤退の様相です。

事実上全固体電池のみがモバイル分野における「ポスト・リチウムイオン電池」であり、日本政府も全力でその開発を支援している状況です。

東芝はモバイル燃料電池「Dynario」を2009年に発売したが、翌年の2010年には早々に販売を終了している

小型化で苦戦した燃料電池だが、効率的にエネルギーを生み出せる点や廃棄物として水しか排出しないという環境負荷の低さから、中規模の発電機としての活路を見出しつつある

■テクノロジーの原点と未来

私たちは毎朝スマホを充電台から手に取り、1日中使い、時にはモバイルバッテリーから充電し、また就寝前に充電器へスマホを置く生活を送っています。日々当たり前のように行っているこの作業の根源に、リチウムイオン電池はあります。

スマホの登場によって人々の生活は一変し、情報伝達手段のパラダイムシフトが起こりました。音楽シーンを見ても完全ワイヤレスイヤホンがブームを超えて市民権を獲得し、もはや当たり前の時代となりました。完全ワイヤレスイヤホンもまた、リチウムイオン電池があればこそ可能になった製品です。

筆者が吉野氏のノーベル化学賞受賞の報を知ったのも、まさにスマホでTwitterのタイムラインを読んでいる最中でした。世紀の発見と発明は私たちの生活を豊かに変え、そしてまた新しい発見と発明を生み出す礎となります。

10年後、スマホのバッテリーは全固体電池へと置き換わっているかもしれません。いや、そもそもスマホ自体が別の何かに取って代わられている可能性すらあります。

テクノロジーの原点を知ることは、テクノロジーの未来を知るカギなのかもしれません。

過去のテクノロジーが、未来のテクノロジーを創っていく

記事執筆:秋吉 健

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