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44歳ひきこもり男性を家から"追放"が正しい訳

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働けない子を「自宅から出す」ような方法を模索すべき

そこで私は、できるだけ働けない子どもをできるだけ自宅から出すように方法を提案しています。経済的には自立ができないので、援助をしなければならないのですが、自宅に居座り続けられないようにするためです。

一人暮らしであれば、中古のワンルームマンションで十分です。自宅を自由に使える状態にしておき、ひきこもりではない子どもが相続します。そうすれば、ひきこもりの子にはワンルームマンションの一部屋といくらかの預貯金を遺してあげることができます。自宅を相続した兄弟姉妹は、自宅に住むのであれ、売却するのであれ、家族の状況に合わせて利用ができます。いずれにしろ、広い家で一人暮らしをする非効率さは避けられます。

ワンルームマンション+預貯金⇒ひきこもりの子
自宅⇒ひきこもりでない子

自宅の評価額と預貯金額にもよりますが、兄弟姉妹でおおむね公平に相続をして、さらにひきこもりの子が生活費を確保できます。

ただ、このやり方は生活費が二重にかかり、支出が多くなるのが難点です。両親とひきこもりの子どもが同居で生活するよりも、別居で仕送りをするほうが、支出は増えます。その結果、十分な預貯金を遺せない場合もあり、シミュレーションでの確認が必要です。


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

長女から意外な提案「将来、兄と私たち家族が同居すれば」

今回のケースで実際にシミュレーションをしてみると、なんとか長男の平均寿命ぐらいまでは貯蓄(1600万円)が枯渇せずにすみそうです。しかし、それほど余裕はなく、場合によっては資金不足となる可能性も否定できません。

私は、両親と長女にアドバイスしました。

「二重生活による支出の増加を少なくするためにも、ご長男の別居はできるだけ遅いほうが良いでしょう。ただし年齢が高くなるほど、転居をするのがおっくうになるものです。そのままご自宅に居続けると、ご自宅での一人暮らしになってしまいますので、タイミングが難しいところです」

すると、長女から思いもかけない提案がありました。

「将来、兄と私たち家族が同居するのはどうでしょうか?」

長女の家族とひきこもりの長男が公平に相続する唯一の方法

長女の提案によると、両親が健在なうちは、今のまま両親と長男で自宅に住んでもらい、両親が亡くなったら、そこに長女の家族が入るというのです。首都圏では住宅の販売価格が高くなっているので、自宅を相続できるのであればそこに住みたいと思っています。

トイレや小さなキッチンを2階に設け、2世帯住宅のようにすれば、同居は可能だと考えています。むしろ、同じ家に住むことで、何かあった場合でもすぐに対応ができます。相続は、

自宅の持ち分の半分+預貯金の半分⇒長男
自宅の持ち分の半分+預貯金の半分⇒妹

となり、遺産を公平に分けた上で、長男に預貯金を遺すことができます。


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/y-studio

通常は、1つの不動産を共有で2人が相続するのは良くないとされています。はじめは兄弟姉妹での共有ですが、その次にはいとこ同士となり、さらには遠い親戚との共有になり、関係性も薄くなります。売却などでは両者の合意が必要になり、トラブルとなることが少なくありません。

しかし、この家族の場合、長男には配偶者も子どももいませんし、今後もその見込みはありません。長男が亡くなると、自宅の長男の持ち分を相続するのは、長女または長女の子どもです。その時点で共有は解消されることになります。

シミュレーションをしてみても、マンションを購入し、二重生活を送ることによる支出増がなく、より多くの資産をお子様たちに残すことができます。

「これであれば、経済的な面でも、生活の上でも、安心ですね」

両親が亡くなり、長女の家族が同居するのはまだまだ先の話です。今後状況の変化もありますので、けっしてこれですべてが解決したわけではありません。しかし、ひとつの方向性が見えたことで、両親はもとより、長女も前向きに考えることができました。

両親は、長男ができるだけ自立した生活を送れるように、早めのに自宅の改修することを考えています。今回は、兄と妹の関係性が良いために、選択できた住まい方です。兄弟姉妹の関係が悪いことも多く、これは珍しいケースかもしれません。私にとっては、いろいろな可能性が考えられることを教えてくれたご相談事例です。

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村井 英一(むらい・えいいち)
ファイナンシャルプランナー
「働けない子どものお金を考える会」メンバー。 大手証券会社で個人顧客の投資相談業務を長年行い、ファイナンシャルプランナーとして独立後は、資産運用に限らず、家計の見直し、住宅購入、老後資金など幅広い相談を受ける。 特に、長期にわたる家計のシミュレーション分析を得意とし、ひきこもりや障害を持つお子さんとそのご家族の資金計画を行っている。
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(ファイナンシャルプランナー 村井 英一)

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