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香港デモを嗤う日本人はすぐ中国に泣かされる

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マスク姿の若者たちを次々と捕まえていく異常さ

若者たちのデモが続く香港で10月4日、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は議会の承認なしに長官の権限で法律を制定できる「緊急状況規則条例(緊急法)」を発動した。緊急法の発動は半世紀ぶりである。

これに基づき、翌5日に「覆面禁止法」が施行され、デモ参加者がマスクやゴーグル、覆面で顔を覆うことが禁じられた。この結果、8日までに計77人の身柄が拘束された。


9月21日22:18 香港 元朗(ユンロン)。拘束され取り調べを受けるデモ参加者。 - 撮影=的野弘路

香港政府は「デモの若者たちが顔を隠していることが警察の捜査を妨害し、デモ隊の暴力行為をエスカレートさせる」との説明を繰り返し、マスク姿の若者たちや学生を次々と捕まえている。

これが政府のやることだろうか。異常である。開いた口が塞がらない。

混乱を収拾するには「話し合い」を重ねるしかない

22年前、1997年8月の香港では、死亡した3歳男児から鳥インフルエンザウイルス(H5N1タイプ)が検出され、人には感染しないと考えられていたこのウイルスが人にも感染することが分かり、世界に衝撃を与えた。その後、香港政府は香港のすべてのニワトリの殺処分を断行し、人への感染を未然に防ぎ、WHO(世界保健機関)など国際社会から大きく評価された。

この鳥インフルエンザ禍のとき、香港政府高官や政府関係者をはじめ、香港のあるゆる人はマスクを付けていた。もしまた大きな問題になったときはどうするのか。

そもそも香港の警察がデモ隊に催涙ガスを浴びせかけるからマスクを着用するのだ。マスクを禁止したところで、デモに香港人口の4人に1人に相当する200万人(主催者側発表)もの市民を動員できるエネルギーを押さえ付けることなどもはやできまい。


9月21日23:15 香港  元朗(ユンロン)。警告の後、デモ隊に向け催涙弾を放つ警官隊。 - 撮影=的野弘路

中国と香港政府は武力による制圧を国際社会に強く批判されることを懸念し、逮捕者を増やすことでデモを鎮圧しようと覆面禁止法を施行したのだろう。苦肉の策なのだが、中国と香港政府はそこまで行き詰っているのである。

中国も香港政府も何が重要であるかを理解していない。大切なのは市民との対話だ。混乱を収拾するには、何回も話し合いを重ねるしかない。近道はないのだ。

中国の市場力に、あのNBAもすぐに白旗をあげた

NBA(米プロバスケットボール協会)のチームのひとつ、ロケッツの幹部が香港デモの若者たちに共鳴してツイートした。香港の若者たちが「自由のために闘おう」と既存メディアやネットを通じて海外にも発信しているからだ。


9月21日23:13 香港 元朗(ユンロン)。市民の頭上で炸裂する催涙弾。煙に曝されるとむき出しの皮膚が焼けるように痛む。 - 撮影=的野弘路

ところが、である。中国当局から強い反発を受け、ツイートの削除を余儀なくされた。そのうえNBAは「発言が不適切で深く反省している」との声明まで出した。

背景にはこんな歪んだ構図がある。いま中国ではNBAのテレビ中継の視聴者が何億人もいる。広告を出すスポンサー企業にとって中国は金のなる大木なのだ。スポンサー企業はそんな中国を大切にする。NBAといえども、スポンサーには勝てない。簡単に言えば、中国の市場力にアメリカのプロスポーツ界が負けたのである。

香港を「対岸の火事」ではなく、「他山の石」にしたい

自由と民主主義を求める香港。これに共鳴したアメリカのスポーツ界。しかし中国政府が成り上がったその経済力を武器にしてクレームを付ける。

これと同じ構図が日本国内でいつ起きてもおかしくない。いやもうすでに起きているかもしれない。

相手は共産党による一党独裁国家である。人口は14億人と世界第1位、経済規模はアメリカに次ぐ第2位だ。NBAがクレームに屈したように、中国が市場力を背景に頻繁に文句をつける事態となれば、日本の社会から自由が失われ、民主主義そのものが成り立たなくなる。沙鴎一歩はこれを強く懸念している。だから香港の問題をたびたび取り上げているのだ。


9月21日23:07 香港 元朗(ユンロン)。ガスマスクを装着し、催涙弾の使用を警告する警官隊。 - 撮影=的野弘路

香港の民社派市民や学生、若者たちの中国に対抗する活動は「対岸の火事」ではなく、「他山の石」だ。そう捉えることで、日本は中国と真っ当に勝負できる。あのふてぶてしい面構えの習近平国家主席を黙らせることができるのだ。

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