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なぜ韓国人美女ゴルファーは日本に渡る? 新婚のイ・ボミ、「セクシー・クイーン」アン・シネ…… - 高月靖

 今年9月30日、日本女子オープンゴルフ選手権の練習ラウンドに参加した韓国人女子プロゴルファー、イ・ボミ(31)。彼女がグリーン上で左手のグローブを外すと、集まった記者たちの間からどよめきが起こった。薬指に光る婚約指輪が、初めてメディアの目に触れたからだ。

【写真】「セクシー・クイーン」ことアン・シネ

「ボミちゃん」の愛称で親しまれるイ・ボミは、とりわけ多くの日本人ファンに愛される韓国人女子プロゴルファーの代表格。その婚約が公表されたのは、9月27日のことだ。


イ・ボミ選手 ©文藝春秋

 相手は3歳半年上の韓国人俳優イ・ワン(35)。もっとも俳優イ・ワンと聞いてすぐ顔が思い浮かぶのは、熱心な韓流マニアか古い韓国ドラマファンかも知れない。日本でいまも代表作に数えられるのは、2003年の「天国の階段」(日本初放送は2004年)。その後はこれといった話題作に恵まれず、端正なルックスの割には俳優としてやや物足りないキャリアに甘んじている。

 むしろ「美人女優キム・テヒの弟」と言ったほうが、日本でも韓国でも通りがいいだろう。義兄にあたるキム・テヒの夫は、ピ(RAIN)ことチョン・ジフン。「スピード・レーサー」「ニンジャ・アサシン」など、ハリウッド映画への出演でも知られる韓国の大スターだ。

「パク・セリキッズ」をスターにしたゴルフダディたち

 こうして12月から芸能ファミリーの仲間入りをすることになったイ・ボミ。もっともそんなセレブなイメージとは裏腹に、彼女が2007年にKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)デビューした時のキャッチフレーズは「山奥の少女」だった。出身地が江原道麟蹄郡、韓国東北部の山間に位置する辺鄙な田舎町だったからだ。

 山奥育ちの彼女とゴルフの接点ができたのは、小学校5年生だった1998年の時。テレビでパク・セリの劇的なUS女子オープン優勝を見た父親に、ゴルフを勧められたのがきっかけだ。

 当時20歳になって間もないパク・セリは、史上最年少でUS女子オープンを制したのに続いて同年に全米女子プロゴルフ選手権でも優勝。アジア通貨危機で不況のどん底にあった韓国は、この快挙に大きく刺激され、一躍女子プロゴルフブームが沸き起こった。

 イ・ボミ、キム・ハヌル、シン・ジエら1988年生まれの選手らは、こうしたブームを背景に生まれたパク・セリキッズとも呼ばれる。そして彼女たちをスターに育て上げたのが、韓国で「ゴルフダディ」と呼ばれる父親たち。パク・セリ自身も、コーチ兼マネージャーを務めた父親の厳しい指導を受けたといわれる。

 イ・ボミの父親も、娘の練習を助けるために労を厭わなかった。海沿いの束草市に転居した後は、練習場まで片道1時間の道のりを毎日クルマで送り迎えしたという。

 こうして2007年にデビューしたイ・ボミは、2009年にKLPGAツアーで初優勝。2010年にKLPGA大賞、賞金女王、最少ストローク、年間最多勝などに輝く。日本女子ツアーへの参戦は、2011年からだ。2012年の「PRGRレディス」初優勝を皮切りに勝利を重ね、2015年、2016年と連続で賞金女王の座を獲得。2017年以後は不振が続いたが、伴侶の支えを武器に復活を目指す構えだ。

日本人ファンの声援も日本進出の原動力?

 イ・ボミをはじめ、キム・ハヌル、最近では「セクシークイーン」の異名を持つアン・シネといったスター選手を次々と日本へ送り込んでくる韓国女子プロゴルフ界。その背景には、日本と異なる韓国スポーツ界のエリート主義も垣間見える。

 伝統的に高学歴=エリート志向が強い韓国は、過酷な受験競争でも有名。学力でなくスポーツの成績を争う若者たちも、エリート選抜の競争に晒される構図は変わらない。学歴のため深夜まで子供を高額な予備校に通わせるのと同様に、スポーツの場合も厳しいエリート教育を施そうとするわけだ。

 いっぽうで日本進出が盛んな背景には、ファンの反応の違いもあるらしい。日本女子ツアーにたびたび参戦しているユン・チェヨンは、昨年現地メディアで次のように語った。

「日本のファンはホールとホールの間で秩序よく並び、選手の顔を見ながら声援を送ってくれる」

「選手の迷惑にならないよう写真の撮影にも気を遣ってくれて、まるで家族のようだ」

「進出した海外で適応するのに苦労することも多いが、ファンの関心と応援が助けになってくれた」

 もっとも当初は、韓国女子プロゴルファーの日本進出を歓迎しない風潮もあったのも事実。だがそんなムードをひっくり返す転機を作ったのが、一所懸命な日本語で明るくファンに接するイ・ボミだ。

 日韓関係が悪化するいっぽうの昨今は、韓国で日本製ゴルフ用品のボイコットまで飛び出す始末。海外でスポーツに打ち込む選手の努力やファンの声援まで、そうした雑音に動かされないでほしいものだ。

(高月靖/週刊文春デジタル)

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