- 2019年10月18日 16:33
街の書店が消えてゆくー林真理子さんと幸福書房のその後
2/2「書店の娘として店番をしながら本を読んだ」という林真理子さん
幸福書房の閉店にあたって支援を申し出たという林真理子さんの事務所も訪ねて話を聞いた。書店がなくなっていくことにそこまで危機感を持ったのは、彼女が書店の娘として育ったことも背景にあるという。彼女の実家は、山梨駅前にあった林書房。母親が切り盛りしていたという。
「私の子ども時代は、学校から帰ってきたら、本を読みながら店番をしていました。本を読む習慣ができたという点ではとてもいい環境でした」

「店番をしながら小説もたくさん読みました。もちろん漫画も読んでいました。『りぼん』や『なかよし』ですね。『ベルサイユのばら』なんかも愛読していました」
当時は取次から駅止めで本が列車で送られてきて、店までリヤカーでそれを運んでいたという。
「母は『東京に話題の本を買い出しに行くと、みんなが本屋の前で行列を作ってくれた』と言っていました。『そんな時は本屋をやっている誇らしさを感じた』とも言っていました」
戦後、1990年代半ばまで、日本の出版界の売り上げは一貫して右肩上がりだった。不況になっても日本人は本代だけは減らさなかった。そんな国民だと言われてきた。しかし、90年代半ばをピークに、出版界の売り上げは毎年マイナスとなり底どまりしていない。
一時はリアル書店がアマゾンにお客をとられているという言われ方がされていたが、そういうことよりも情報そのものを印刷媒体でなくネットから入手するように生活習慣が変わったのが影響しているということだろう。特に20代30代はそうで、20代向けの女性誌市場が激減しているのは、彼女たちがもっぱらスマホから情報を得るようになったからだ。
そういう構造的な背景がある中で、書店は打撃を受け続けている。出版社の場合は、例えば紙のコミックの落ち込みをデジタルコミックがある程度カバーしているといった打開の道もあるが、リアル書店の場合は、デジタル化の影響が直撃しているわけだ。
10月に入って、取次業界3位の大阪屋栗田が11月から楽天ブックスネットワークに社名変更することが報じられた。取次業界4位の栗田出版販売が2015年に経営破綻して3位の大阪屋と合併して再スタートしたのは2016年だ。2018年に楽天グループ傘下となり、今回の社名変更。大阪屋とか栗田といった、業界でなじみのあった社名が消えることになるわけだ。
出版流通業界はこれからどうなるのか。そしてそれは出版文化とどう関わってくるのか。
かつて書店は都市の駅前に必ず存在するとされ、街の文化的拠点でもあった。その大きな変容は、何をもたらすのだろうか。
私ももう40年以上、雑誌の編集を続けてきて、書店がどんどんなくなっていくこの現状は本当に胸が痛む思いだ。
『創』書店特集の詳細は下記だ。

※Yahoo!ニュースからの転載



