- 2019年10月17日 17:50
3.8点問題と公正取引委員会の調査でも「食べログ」を批判するのが間違っている理由
2/2点数の偏り
算出ロジックや「食べログ店舗会員」について理解した上で、先に触れた点数の偏りについて考えてみましょう。
3.8点以上が非常に少なく、3.6点に集中しており、何かしらの壁があるのではないかという指摘がありました。3.8点以上となるためには、「食べログ店舗会員」になることが必要であるようなことが述べられています。
「食べログ」に掲載されている店舗は、4.0点以上がトップ500前後、3.5点から4.0点未満が全体のトップ3%、3.5点未満が全体の97%という構成。
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・点数・ランキングについて
このように明言されていることから、点数とトップから何店目であるかを定めるアルゴリズムが存在することは容易に想像できるでしょう。
点数とトップから何店目という枠が関連しているために、3.8点以上は非常に少ない店数となっており、3.6点あたりに集中してしまっていると考えても矛盾がありません。どのようなロジックを使っているかが分からない以上、点数の分布に何か偏りがあっても全く不思議ではないでしょう。
そうであるからこそ、「食べログ」は「有料集客サービスを利用しているかどうかが点数に影響することは一切ありません」と強調しているのだと思います。
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・食べログ店舗会員のご案内
アルゴリズムは日々改善されており、点数は原則月2回更新されているので、新しいレビューが投稿されなかったり、既存のレビューに修正がされなかったりしても、点数が変化することもあります。
このことを知らないために、点数が変わった際に、裏で何かが行われたと勘ぐる人も現れるのではないでしょうか。
東京のランキングを確認してみれば、3.8点以上どころか、トップ20の中にも「食べログ店舗会員」になっていない店舗がいくつも見かけられます。
レストランジャーナリストではなくとも、ファインダイニングによく訪れる人であれば、3.8点以上の中には、レストランガイドに決して媚びることがないような店舗がいくつもあることが分かるのではないでしょうか。
3.8点以上になるには、金銭を支払わなければならないと言及することは、3.8点以上の店舗に対して大変失礼なことです。全ての3.8点以上の店舗に対する風評被害に近いので、慎重に述べるべきところだと思います。
「食べログ」の関与
飲食店に対して、点数を上下させるような話が持ちかけられたことが、問題の発端でした。
もしも「食べログ」が、金銭のやりとりがあるかどうかによって、点数を上下させるシステムを採用しており、「食べログ」を運営するカカクコムが飲食店に不当な圧力をかけていたとしたら、完全にアウトでしょう。
しかし、何度も述べているように「食べログ」はこのようなシステムになっていないと説明しています。
「食べログ」のような巨大なプラットフォームがあると、善良な飲食店を食い物にするような悪質なコンサルタントが群がってくることでしょう。
点数の算出ロジックが明らかにされていないのをよいことに、良心のない業者が飲食店にコンタクトをとっている可能性は少なくありません。
飲食店に対して点数の上下の話があったとして、それがどの業者から話があったかが問題です。
悪質な飲食店コンサルタントが、飲食店の歓心を買おうとして、口からでまかせに点数が上がると吹聴したのであれば、むしろ「食べログ」は被害者であるといえるのではないでしょうか。
飲食店にとってのメリット
「食べログ」が存在していることによって、飲食店も多くのメリットを享受しています。
閉店したものも含めて全部で90万店が登録されており、チェーン店からファインダイニングやミシュランガイドの星つき店、ファストフードから会員制レストランやホテルレストラン、パティスリーから居酒屋やバー、フランス料理店までと、実に様々な飲食店があります。
日本全国で60万以上の飲食店があるといわれているので、「食べログ」にほぼ網羅されているといってよいでしょう。
「食べログ」に掲載されることによって、ユーザーに存在を知ってもらえることは、この現代においては特に重要です。なぜならば、情報が溢れている時代において、全く露出していないのは、そもそも気付かれないという文脈において、存在そのものが認知されず、訪れてもらうことが難しくなるからです。
先に述べたように、無料の「食べログ店舗準会員」でも情報を修正できるので、費用的な負担をかけずに、存在を知ってもらえるのはよいことでしょう。
悪いレビューにばかり目が向きますが、逆によいレビューによって客を集めるケースも当然のことながらあります。
質の高い食材を用いて、真摯に料理を作り、心を込めてサービスに努めてきたにもかかわらず、メディアに取り上げられないために繁盛していなかった飲食店にとっては、訪れてもらえた客による「食べログ」の好レビューはよい宣伝になるはずです。
特に観光地など地方にある飲食店はそうでしょう。「食べログ」があることによって、これまでメディア受けしなかった飲食店にも注目が当てられるようになったのは、素晴らしいことです。
「食べログ」によって恩恵を受けている飲食店は「食べログ」に対してあえて称賛の声を挙げませんが、「食べログ」で気に食わないことがある飲食店は積極的に不満を挙げるので、後者ばかりが目立っているように思います。
いずれにせよ、私がここで述べておきたいのは、「食べログ」の存在は、飲食店にとってデメリットだけではなく、メリットもあるということです。
ユーザーにとってのメリット
「食べログ」が存在していることによって、ユーザーにもメリットがあります。
日本全国の飲食店が網羅的に登録されているので、見知らぬ土地へ足を運ぶ時に、どういった飲食店があるのかと多いに参考となるでしょう。
もちろん、見知らぬ土地ではなく、地元であったとしても知らない飲食店はあるので、「食べログ」によって新しい飲食店を知る機会を得られます。
また、自分が食べに訪れた飲食店を記録したり、気になっている飲食店を記憶したりできることも、ユーザーにとって便利な機能でしょう。「食べログ」があることによって、飲食店を巡る楽しさを覚えた人もいるかもしれません。
他のレストランガイド
飲食店の評価には様々なものがあります。
「ミシュランガイド」は日本では最もよく知られたレストランガイドでしょう。食に関心がない人であっても、1つ星、2つ星、3つ星といった評価を聞いたり、3つ星が最高であると知っていたりするのではないかと思います。
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・逝去の報道で激震を与えた料理界の巨匠ジョエル・ロブション氏は何がすごいのか?
「世界のベストレストラン50」「アジアのベストレストラン50」はランキングでレストランが評価されることや、今の時代を彩るに相応しい華やかなエンターテインメント性を備えていることから、最近特に注目されている、世界的なアワードです。
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・今最も信頼されている食のアワード「世界のベストレストラン50」を知る
こういったレストランの格付けは、飲食店を評価するための大きな指標となることに間違いはありませんが、プロ目線の視点であり、10万店以上にもおよぶ東京にある飲食店を評価するには、掲載される飲食店数が少ないです。
それに対して、「食べログ」は地元にある飲食店も登録されており、食を専門としない普通のユーザーがレビューしているので、等身大という意味でも参考にしやすいでしょう。
「Retty」は「食べログ」の後に開始されたサービスであり、実名という信頼感や人とのつながりによって飲食店を発見できることから、多くの支持を得られています。どちらとも一般ユーザーが投稿できますが、性格は全く異なっているので、使い分けるのがよいのではないでしょうか。
完璧な飲食店の評価は存在しない
飲食店の評価に完璧なものなど存在しません。
絶対的な食味やサービス、ダイニング空間やテーブルウェアが存在しない以上、飲食店を客観的に評価することはできず、訪れる人の味覚や嗜好、経験や気分によって評価は大きく左右されるのです。
したがって、飲食店の評価には様々な手法が用いられるべきであり、異なるポリシーやあらゆる角度からの評価を重ね合わせることによって、各人にとってベストな飲食店に訪れることができればよいと思います。
「食べログ」のような誰でも参加できるような評価プラットフォームは、食のプロではない方が自由に評価するということで、極めて重要な役割を担っているのです。
飲食店を多面的に評価するために
「食べログ」は、月間利用者数が1億1877万人、口コミ投稿数が約3300万件、2019年9月の月間予約人数が約289万人にも到達する、レストランガイドの巨大サイト。
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・カカクコムのプレスリリース
「食べログ」が飲食店に対して直接、不当な営業をかけていたのであれば大問題ですが、不埒な飲食店コンサルタントによる圧力であったのであれば、「食べログ」はむしろ被害者です。明らかに黒であると認定されたのでなければ、「食べログ」の功績や状況を鑑みて、冷静に受け止める必要があるのではないでしょうか。
今回の件を機に、「食べログ」は信用できない、「食べログ」はなくてもいい、といった声も聞かれます。しかし、飲食店をより多面的に評価するためにも、多くのユーザーがレビューできる「食べログ」のようなグルメサイトがあった方がよいことは、間違いないのではないでしょうか。
※Yahoo!ニュースからの転載



