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テレビ朝日・平石アナ「言葉にならない」元NHK堀潤「類似したケース経験」報道番組で“不適切な演出”制作現場の問題点は



 テレビ朝日が16日夜、今年3月に放送された夕方の報道番組『スーパーJチャンネル』の企画コーナーについて、「極めて不適切な演出があった」として会見を開き、謝罪した。

 会見終了から約5分後に生放送が始まったAbemaTV『AbemaPrime』では、冒頭、テレビ朝日の平石直之アナウンサーが「夕方に会見を開くことは伝えられていたが、中身については“会見を見てくれ”ということだったので、私も初めて知った。本当にショックだ」と切り出し、今回の問題について約40分間にわたり議論した。

■平石アナ「本当に言葉にならない」



 3度にわたって『スーパーJチャンネル』を担当した経験もある平石アナは、「夕方のニュース番組というのは各局ほぼ同じ構成で、1分でも早く始めたいというせめぎ合いの中、5時スタートだった番組が今は4時50分台のスタートになっている。そのくらい熾烈な戦いになっている。

『スーパーJチャンネル』の放送時間は2時間以上あり、ニュースで全ては埋まらない。ニュースをやり、企画コーナーをやり、またニュースがあり、企画コーナーがあり、そして最後の企画コーナーについては7時以降のバラエティ番組などに繋げていくという構成になっている。

このうち企画コーナーにはバラエティ色があるが、やはり面白くないといけないところもあって、ディレクターにはバラエティなどの経験者も入っている。企画を選び、取材に行き、素材を持ち帰り、そして“事前プレビュー”という形で何度もチェックをして、そして放送に乗せている。

その中で放送するに値しないと判断された場合には、追加取材が発生するという厳しさもある。一方、他局がこういう企画をやってきそうだから、これを先にしよう等、ストックから放送の順序をやりくりすることもあるので、必ずしも追い詰めているというわけではない。

むしろ追い詰めれば追い詰めるほど問題が起こってしまう。もちろんそうしたことを防ぐ体制にはなっているが、やはりコストの面もあり、1人で小さいデジタルカメラを持って取材に行くこともある」と説明。

 その上で、「今回は何重にもあるそのチェックをすり抜けている。これはニュース番組だからという以前に、“作り話”だと言われても仕方がない事案だというふうに感じる。やはり見ている方を欺いている。あってはならない事態だ。見て下さっている方々、そしてお店の方々に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

1度でもこういうことがあると、全てが信用されなくなってしまうという危機感をもってやっているはずなのに、それが同僚、仲間に認識されていなかったことがとても残念で、本当に言葉にならない。現場は萎縮するとも思う。でも萎縮せざるを得ないようなことを起こしてしまったと。ここは一度下がってでも立て直さなければいけないと思う」と絞り出した。

■元NHKアナ堀潤「僕も類似したケースを経験した」



 元NHKアナウンサーの堀潤は「今は“報道番組”といいながらもバラエティのような要素も取り込んでいっているので、いわば“総合番組”になっている場合が多い。本丸のニュースには本職の記者やディレクターが絡んでいても、いわゆる“企画モノ”といわれるようなコーナー、街ネタに近いコーナーなどは、どんどん外部に発注しているので、方法論も異なる、“普段は報道とかやってないんですよね”という人も入った混成チームになる。

僕も自分が担当していた番組で類似したケースを経験した。新人に近いディレクターが街頭インタビューのVTRを観ていると、あまりにスラスラと欲しい意見が出てくる。気になったので尋ねてみると、“友達に集まってもらった”と言うので、“こっちから声をかけているなら、やらせになっちゃうよね”と指摘すると、“じゃあもう使えないですか?”と泣きそうな顔で言った。“番組の呼びかけに集まってもらった人たちは、一体どんな感想を述べるのか、というこのナレーションを入れれば大丈夫だよ”とアドバイスして、未然に防ぐことができた」と明かす。

 「“できないディレクターだな”と思われれば仕事はなくなってしまうし、納期もある。ベテランであればあるほど“街頭インタビューも撮れないんですか、先輩”みたいな空気になると、居づらくなる。今回のディレクターの方にも、色々なプレッシャーがあったのかもしれない。

一方、フリーランスで入ってきてくれているディレクターの方々の人物や仕事ぶりについては、やはり実際に作ってみてもらわないと分からない部分もある。問題のある取材を見破ることについては直感的・属人的な部分もあるので、現場が錯綜していたり、この人は絶対やらないだろうなみたいな感覚の中ですり抜けていってしまった可能性もある。実際に今回は49歳のディレクターの方で、それなりの年齢も重ねていて、業界経験もあった。

ただ、視聴者を舐めすぎだと思う。“こうすれば成り立つんでしょ”と思っているような制作者は、早く業界を辞めるべきだし、テレビ局が視聴者との信頼関係を構築したいのであれば、やはり情報開示を軸にした制作体制を考えなければならないと思う」

 さらに堀は「僕は尺の調整や演出として街頭インタビューをVTRに嵌め込むのが大嫌いだ。人々がどんなことを考えているのか、街場で聞くことはとても大事だし、ニュースの構成にも大きく関わってくるのに、それがきちんとできる研修体制が整えられていなかったり、余力がなかったりする。

だから実力のない聞き手が“すみません。成り立たないんで、こうやって言ってもらえませんか”とお願いしてしまう。本当に実力があれば、専門家に対しても“いや、先生のおっしゃる通りですね。

我々の想定と違いました”と正直に認め、すぐに構成を変えることができる。そういうスキルを持った人材を育てていかなければいけない。しかし若手局員も含め、“テレビとは何?ジャーナリズムとは何?”ということをしっかりと研修するだけの余力がないし、日本にはジャーナリズムが学べる大学も欧米などに比べれば少ない」とも指摘した。

■宮澤エマ「出演者も制作過程をわかっていない」



 スマートニュース社の松浦シゲキは「組織であるにもかかわらず、テレビ局には番組を作っている方々をリカバリーする体制はないのか。また、農作物の場合、どのように作られ、そして物流に乗せられたかが分かるようになっている。制作物についても、どのようにして視聴者に届けられているか、過程を明らかにすべきだ。そうでなければ、“いつもこんなふうに作られているんだな”と思ってしまう。僕だったら街頭インタビューなどの企画はやらないし、全て生中継にすればいい」と番組制作のあり方を強く批判。



 タレントの宮澤エマは出演者の立場から「番組作りがどのように行われているのか、わかっていないことが多いと改めて感じた。実際、取材をしてくださっている方々とはあまり接点もない状態で番組に出演しているし、“この番組では絶対にやらせはない”と自信を持って言い切ることはできない。

一方、街頭インタビューの仕事をしたことがあるが、“分からないお姉ちゃんが寄ってきたな”という感じでサーッと逃げられてしまい、すごく大変だった。ディレクターが一人で取材に行き、一人で仕上げなくてはいけないという場合のプレッシャーは大きいと思うし、面白い映像が全く作れなかった時の絶望は大きいと思う。“今回は難しそうです”という相談ができていたらこういう結果にはならなかったのではないか」と話していた。

 視聴者からは「報道なのかバラエティなのか、その境目が曖昧になっているのではないか」「一人に担当させて追い詰める環境があったのではないか」「責任者の報酬を減らしたとはいえ、体質を変え、本質的な原因を叩いてない以上、また発生するのでは」といった指摘も寄せられた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:テレビ朝日による緊急記者会見(54:18~)

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