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大阪の十条リスク低減案について

昨日の飲み会で、IR整備に纏わる大阪の条例案に関する話題が出たので、私の意見を少しまとめます。我が国のIR整備において、民間事業者にとっての最大の「リスク」とされているのが業界内で「10条問題」と呼ばれているIR整備法第10条に纏わるリスクです。以下IR整備法第10条


(認定の有効期間等)
第十条
区域整備計画の認定の有効期間は、前条第十一項の認定の日から起算して十年とする。

2 区域整備計画の認定を受けた都道府県等(以下「認定都道府県等」という。)は、区域整備計画の認定を受けた設置運営事業者等(以下「認定設置運営事業者等」という。)と共同して、区域整備計画の認定の更新を受けることができる。

3 前項の更新を受けようとする認定都道府県等は、認定設置運営事業者等と共同して、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の六月前から三月前までの期間内に、国土交通大臣に申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により当該期間内に当該申請をすることができないときは、国土交通大臣が当該事由を勘案して定める期間内に申請をしなければならない。

4 前条第五項から第九項まで及び第十一項から第十四項までの規定は、第二項の更新について準用する。

5 第三項の申請があった場合において、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の区域整備計画の認定は、その有効期間の満了後も当該処分がされるまでの間は、なお効力を有する。

6 第二項の更新がされたときは、区域整備計画の認定の有効期間は、従前の区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して五年とする。

要は「日本のIR整備の国からの認定は当初10年、その後5年ごとの更新」であるということなのですが、第一に大規模な不動産投資と回収が必要となるプロジェクトに対する認定がたったの10年というハッキリ言って常識外れな短期であること、第二にその更新にあたって毎回地方議会の議決を要件としており将来の政治状況なんぞ誰も判るわけがない中でそのリスクの大部分を民間が丸呑みしなければならないという2点において、民間の不動産開発投資の案件を、なぜだか公共事業開発かなんかのつもりで法律を作ってしまったという、IR整備法が「いわゆる『お役所仕事』の集大成」であると業界内で嘯かれている最大の原因となっている条文であります。

この辺りの問題に関しては、私は大分以前にかなり詳細にまとめたオピニオンペーパーもまとめていますのでご興味のある方はご参照ください。

我が国のIR事業の制度的リスク要因とその補完手法に関する考察

で、このポンコツな法律が既に成立してしまっている為に、その中で日本のIR整備計画の検討を進めなければならない民間企業と各自治体がエライ苦労をしているワケですが、大阪の吉村府知事からこれを補完する以下のような条例案の提示があったというのが冒頭でご紹介したお話です。以下、スポニチからの転載。
【大阪府市】府 条例でIR計画の認定更新基準明確化へ~十条リスク配慮
https://sponichi.net/sponichi-plus/ir/20191005-osaka/

・10月1日、吉村洋文・大阪府知事は、府議会本会議にて、IR整備法第十条の認定更新に関わる条例制定の方針を明らかにした
・IR整備法は、国のIR区域整備計画の認定から10年後、その後、5年ごとに認定更新を求める
・認定更新では、都道府県(政令市)の首長同意、議会議決、立地市町村の首長同意(+条例により議会議決)が必要
・府は、条例で更新時の基準を定め、それを満たせば、同じ事業者の事業継続を可能とする

大阪府吉村知事によると、条例であらかじめIR整備計画の議会同意等に関して更新基準を定め、その基準を満たせば自動的に事業者の事業継続を保証するというもの。これをもって「IR事業者は、政治の変動リスクを過度に気にすることなく、長期的な視点で投資が可能となる」としているワケです。

ただね正直、コレに関しては民間側にとってはあんまりリスク低減にはならんなあというのが私の個人的な感想。今の議会によって条例で何らかの「基準」を定めたとしても、将来「もし、カジノ反対派が議会の過半を占めた時」にその条例そのものが覆されるリスクは変わらないですからね。この条例は寧ろ民間のリスク低減というよりは、IR整備を推進する議決を行う今の議会が、10年後も同じ「推進派優勢」で維持されていることを前提として、計画更新にあたっての(彼らにとっては)無駄な議会闘争が行われるリスクを低減する為の条例にしかなっていません。繰り返しになりますが、反対派が議会の過半を占めた時点でこの条例は何時でも覆されますし、今の議会が未来の議会の議決を拘束することはできませんから。

先日パブコメが締め切られたIR整備による基本的考え方(案)の中では、この10条問題にまつわるリスクを何とか低減させようと色々な妥協や工夫を国側も必死に考えてくれたのは判るのですが(ちゅうか法律の範囲内でホントに最大限工夫をしてる)、そもそものIR整備法がポンコツである限りその工夫にも限界があるワケでして、結局、法そのものが抱えている明らかな問題はIR整備法付則第四条で定められている「最初の整備計画の認定の日から起算して5年を経過した場合」に行われるとされるIR整備法そのものの改正論議の中で修正を入れて行くしかないのだと思います。

それまで、民間および各自治体の皆様、および新しくIR整備を担当することになる各省庁の皆様は、こんなポンコツな法律を作った人達に対してブーイングを浴びせ続ければ良いと思いますよ。

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