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「テレビから干す」の実態―朝日新聞が特集記事―

7月23日付の本ブログに載せた「『テレビ出演させたい元SMAPの3人』―公正取引委員会 ジャニーズへ注意―」に対し未だに週刊誌などから取材が寄せられ、反響の大きさに驚いている。そんな中、朝日新聞が10月7日付朝刊2面に「『テレビから干す』芸能界変わるか」の見出しの記事を掲載。「実力・人気があっても、芸能界の圧力でテレビに出られず、干されるタレントがいるー。」とした上で、「決定的な証拠がないものの、(こうした現実が)社会で広く認識されてきた」と指摘し、「そんな『テレビと芸能界のブラックボックス』」に今、厳しい視線が注がれている」と問題提起している。

記事は2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でヒロインを演じ国民的人気を博した女優の「のん」(改名前は能年玲奈)さんと、元SMAPメンバーの稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人が、事務所との契約を解除後、テレビ地上波番組への出演が極端に減った経過を年表で示したイラストを併用して、全8段の特集記事で構成されている。

のんさんについては契約をめぐる所属事務所とのトラブルから独立、仕事獲得などを代理人に依頼するエージェント契約に切り替えて以降、ピーク時に年間200本近くあった地上波番組への出演本数がゼロになった、と詳述。「のんさんと事務所がトラブルになった当初、外部から『使わないで』と言われた。時間が経っても、局側が忖度して自主規制している」といった民放キー局の元プロデューサーの証言も紹介している。

元SMAPの3人に関しては「業界の構図 社会は厳しい目」の小見出しで、タレントがテレビから干される問題は「遅くとも1970年代にはあった」とした上で、「事務所の多くが専属マネジメント契約を結んでタレントを育て、テレビやCM出演の仕事で投資を回収する」、「予想外の独立や移籍は、育ての親を裏切る行為。破れば、半ば『見せしめ』として他のタレントの動きを封じてきた」などといった芸能文化評論家・肥留間正明氏の指摘を紹介。

芸能関係の訴訟を手がける弁護士らが「日本エンターテイナーライツ協会」を設立して、事務所の移籍制限などが常態化している芸能界の現実を公正取引委員会に訴え、公取委もジャニーズ事務所から独立したSMAPの元メンバー3人について、事務所が民放に圧力をかけた疑いがあるとして異例の注意をした、としている。

さらに「優秀な人材 流出するだけ」の小見出しでは、「移籍が盛んになれば出演料が高騰する。テレビ・タレント・芸能事務所の共同体を安定的に維持するには『干す』文化は必然だった」だったとする民放幹部の証言も引用。合わせて芸能界を幅広く取材するライター松谷創一郎氏の見解を載せている。

この中で松谷氏は「干すことが当然の世界は、視聴者にとって不利益である点を忘れてはならない」とした上で、「移籍制限をする業界の体質を変えなければ、優秀な人材は今後、テレビを見捨て、他のメディアへ流出していく。テレビと芸能界が沈没していくだけだ。」と語っている。

似たような話は日本映画黎明期の1950年代にもあったと記憶する。大手映画会社(松竹、東宝、大映、新東宝、東映)が専属監督・俳優について5社協定を結び、「スターを貸さない、借りない、引き抜かない」などと監督・俳優の自由な活動を縛り、反発してフリーランス宣言をした初代ミス日本の大映女優・山本富士子さんが映画業界から干される事態が発生した。山本さんは幸い、舞台に活路を見出し、引き続き女優として活躍、5社協定は71年に自然消滅するが、映画産業はその後、テレビの勢いに押され、衰退の道をたどった。

松谷氏は、SNSの普及やユーチューブ、ネットフリックスなどネットの動画配信サービスの台頭で、テレビを介さずに活躍できる場所が増えている指摘している。地上波テレビは変われるのかー。改めて注目したい。

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